概要
仙腸関節炎とは、骨盤を構成する一部である仙腸関節に炎症が生じた状態です。仙腸関節は脊椎の両側にあるため、炎症が生じた場合、腰や臀部、太ももの痛みや感覚障害などの原因になります。
ほかの病気などでも同じような部位に痛みが生じることが多くあり、また、仙腸関節炎の原因もさまざまであることから、診断は慎重に行われます。
原因
仙腸関節炎は、感染(代表的には黄色ブドウ球菌)や外傷(交通事故や転倒など)など、さまざまな原因によって生じることがあります。
また、ほかの病気の症状のひとつとして生じることもあります。病気の例としては、関節リウマチや強直性脊椎炎、ベーチェット病、乾癬性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎などが挙げられます。
そのほか、妊娠中に子宮が大きくなることにより骨盤の内側から力が加わり、仙腸関節に負担がかかって炎症が生じることもあります。
症状
腰やお尻の痛みなどを自覚することがあります。仙腸関節付近の神経が障害されて、太ももや鼠径部、下肢に痛みが広がったり、感覚異常を生じたりすることもあります。
また、こうした症状によって、歩行などの日常生活動作に支障が生じることがあります。そのほか、ほかの病気が原因となっている場合には、それぞれの病気による症状がみられることがあります。
検査・診断
仙腸関節炎では、仙腸関節を中心としたレントゲン写真、CT検査、MRI検査、骨シンチなどの画像検査が行われます。
また、ほかの病気が原因であることが疑われる場合には、炎症の程度(CRPや白血球数、赤沈など)、HLA型の検索、リウマチ因子の検索などを行うために血液検査が行われることもあります。
初期の段階では原因が明らかでない場合もあり、経過中に必要な検査が追加されることもあります。
治療
仙腸関節炎では腰を中心に痛みが生じるため、対症療法として鎮痛剤が用いられます。なお、仙腸関節炎の原因はさまざまであるため、根本的な治療方法としては原因に応じて決定されます。
感染症が原因の場合には抗生物質が、自己免疫の異常が関与していると想定される場合には、ステロイドや免疫抑制剤、TNFα阻害薬などが用いられることがあります。
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