概要
口角びらんとは、口の端に相当する口角にただれやひび割れなどの症状が出現した状態を指します。
口角びらんは、さまざまな原因によって生じる可能性があります。たとえば、繰り返しの嘔吐や、乳幼児では食べカスや、よだれなどにより口周りの清潔が保たれていないことで生じるケースもあります。また、何らかの病気が原因となり生じることもあります。
原因
口角びらんは、口周りに細菌やカンジダなどの病原体が多く繁殖する状況で発生します。病原体の繁殖は、口周りの清潔が保てない際に生じる可能性があります。
具体的には、よだれや食べカスなどの物理的な刺激や、繰り返しの嘔吐に関連して生じることがあります。
そのほかにも、鉄欠乏性貧血やビタミンB欠乏症、セリアック病、クローン病、糖尿病、ダウン症候群、シェーグレン症候群など全身性の病気に関連して口角びらんが生じることもあります。
症状
口角びらんを生じると、口の端に相当する口角にさまざまな皮膚症状が引き起こされます。たとえば、口角が赤くただれてしまったり、ひび割れを起こしてしまったりします。
そのほかにも、水ぶくれやかさぶたができたり、出血がみられたりすることもあります。
また、口角びらんが生じる状況では、皮膚のバリア機能が低下しています。そのため、口角を起点とした感染症が引き起こされ、皮膚の赤みやただれなどの症状がさらに悪化することもあります。
検査・診断
口角びらんは、特徴的な皮膚所見を詳細に観察することで診断されます。口周りに細菌やカビが存在していることを確認するために皮膚の一部を擦りとり、その検体を用いて顕微鏡検査や培養検査が行われることもあります。
また、口角びらんは、全身疾患を原因として引き起こされることもあるため、原因を調べることを目的とした検査が行われることもあります。
たとえば、鉄欠乏性貧血であれば血液検査を行い、ヘモグロビンやフェリチン、鉄などの値を確認します。シェーグレン症候群であれば、唾液分泌量や涙液分泌量を測定したり、血液検査で自己抗体の評価を行ったりします。
実際にどのような検査を行うかは、全身症状を総合的に評価したうえで決定されます。
治療
口角びらんは、症状や原因によっては無治療でも改善が期待できるケースもあります。治療を行う場合には、細菌や真菌に対応するための抗生物質や抗真菌薬を使用することが検討されます。
また、皮膚病変の改善を促進させるために、ワセリンやステロイド外用薬などを使用することもあります。
鉄欠乏性貧血やビタミンB欠乏が原因として考えられる場合には、鉄剤やビタミン剤の補充療法を行います。口周りの不潔な状況が口角びらんを引き起こしている場合には、食べカスをしっかりと拭き取る、乳幼児では指シャブリを控えさせるなどの対策も大切です。
口角びらんの経過は、原因によってさまざまです。治療をおこなう際には、どのような原因によって引き起こされているのかを知ることが求められます。
そのため、口角びらんが生じた際には医療機関を受診し、診断に基づく治療方法をとることが大切です。
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