きつおん

吃音

同義語
吃音症,どもり
最終更新日:
2023年07月18日
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2023/07/18
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概要

吃音(きつおん)とは、言葉を発するのに必要となる器官に特別異常がないにもかかわらず、言葉を滑らかに話すことのできない“発話障害”の1つです。日本では人口の1%程度の患者がいると考えられていますが、医療機関を受診していない患者も多く存在すると推測されています。

なお、滑らかに話せない状態を“どもり”と表現することもありますが、近年では差別的な表現とみなされているためむやみに使うことは推奨されません。

種類

吃音には、大きく分けると先天的な要因などによって生じるとされる“発達性吃音”と後天的な原因で生じる“獲得性吃音”があり、そのほとんどは発達性吃音であるといわれています。

発達性吃音

発達性吃音は、2語文(2つの単語から成る文)以上の言葉を話すようになる2~5歳頃に発症しやすいといわれています。ただし、なかには学童期以降に発症する方もいます。年齢とともに自然治癒する方もいますが、8歳以降は自然治癒しにくく、症状が継続しやすいといわれています。男女比は2~4:1と男性に多いことが特徴です。

獲得性吃音

獲得性吃音はさらに“神経原性吃音”“心因性吃音”“薬剤性吃音”に分類されます。

神経原性吃音

脳梗塞(のうこうそく)脳出血、脳外傷脳腫瘍(のうしゅよう)など、脳の損傷が原因で生じる吃音をいいます。

心因性吃音

心理的なショックや慢性的なストレスなどをきっかけに生じるとされる吃音をいいます。主に青年期以降に発症する吃音で、具体的な原因が分からない場合や、原因と考えられる物事を取り除いても吃音が残る場合もあります。

薬剤性吃音

ドパミン作動薬や抗うつ薬などの薬を服用することにより生じる吃音です。子どもによくみられ、原因となる薬の服用を中止することで症状が消失します。服用の中止が難しい状況では、薬の量を減らすことが検討されます。

原因

発達性吃音の原因

発達性吃音の発症には、体質的な要因(患者自身が持つ吃音のなりやすさ)、発達的な要因(急激な言語発達などがみられる時期)、環境の要因(引っ越しなど生活環境の変化)といったいくつかの要因が複雑に影響しあっていると考えられています。

特に体質的な要因の影響は強く、発達性吃音の患者のおよそ半数が、家族にも吃音の病歴があるといわれています。

獲得性吃音の原因

獲得性吃音の原因には、先に述べたとおり脳の損傷をはじめ精神的なショックやストレス、特定の治療薬の服用などがあります。

症状

吃音の中核症状としては、以下のようなものが挙げられます。

<吃音の中核症状の例:「りんご」と言いたい場合>

  • 音を繰り返す(連発)……「り、り、り、りんご」
  • 音を引き伸ばす(伸発)……「りーんご」
  • 言葉を発するまでに時間がかかる(ブロック・難発)……「……(間があく)りんご」

このような中核症状以外に、随伴症状(言葉を発する際に顔を歪める、手足も一緒に動かしてしまうなど)や回避(言いにくいときに違う言葉に言い換えたりするなど)といった二次的症状を伴う場合もあります。また症状によって他人から注意される、笑われるといった経験や、自分自身が“うまく話せない”と感じてしまった結果、発話そのものに嫌悪感や不安を抱くようになる方も少なくありません。

検査・診断

吃音が疑われる場合、これまでの病歴や現在抱えている症状などについて詳しく話を聞いたうえで、まずは声を出したり音を産生したりする器官に異常がないかどうか確認します。

診断には吃音症状の検査が有用です。吃音症状の検査は“吃音検査法”と呼ばれる方法に従って言語聴覚士(ST)*が行うことが一般的で、状況絵(さまざまな状況が描かれているイラスト)の説明や文章の音読などにより吃音症状が現れているかどうかを確認します。基準上は、発話100文節のうち3回以上吃音中核症状が現れた場合に吃音と診断されます。

しかし患者によっては、自分の名前など特定の単語を発するときや電話をかけるときなど、特定の場面でのみ症状が現れ、通常の吃音検査法では中核症状が認められない方もいます。このような場合は、特定の条件でほぼ一貫して吃音中核症状がみられれば吃音と診断することが一般的です。

また吃音中核症状だけでなく、身体の動きが現れる随伴症状や、言いにくい言葉を違う言葉に言い換える回避など、付随するさまざまな症状についてもよく観察し、診断や治療に役立てます。

*言語聴覚士(Speech-language-hearing Therapist):言葉によるコミュニケーションの問題について評価を行い、患者に合った訓練や指導を行う職。

治療

発達性吃音の場合、70~80%ほどは自然治癒するといわれています。しかし残りの20~30%は症状が残り、日常生活に影響が出るケースもあるため、年齢や症状の程度に応じて治療や生活面でのサポートを検討します。

吃音の治療方法は患者の年齢や状態、重症度によって異なりますが、環境調整法や流暢性形成法、吃音緩和法などの言語訓練が行われるほか、カウンセリングや心理療法も検討されます。有効な薬物療法などはまだ明らかになっていません。

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