概要
喉頭乳頭腫とは、主には声帯を中心に発生する良性腫瘍のひとつです。ヒトパピローマウイルスとの関係性が指摘されている病気ですが、感染した人すべてが喉頭乳頭腫を発症するわけではありません。そのため、他の因子も関与していると推定されています。
喉頭乳頭腫は、小児期に発症することもある病気です。喉頭乳頭腫が生じた部位によって症状は異なりますが、声枯れや呼吸困難などの症状が出現することがあります。良性腫瘍ではあるものの、治療後の再発も多い病気とされます。小児期に発症した場合ほど再発をしやすく、複数回の治療が必要とされます。また、ごく稀に悪性化してしまうこともあります。
現時点では根的な治療方法が確立していないため、定期的な検査を受けることが重要になります(2018年2月時点)。
原因
喉頭乳頭腫は、喉頭に生じる良性腫瘍を指します。なかでも声帯に腫瘍性の病変が生じることが多いです。喉頭乳頭腫は、ヒトパピローマウイルスによって引き起こされる病気です。ヒトパピローマウイルスは数多くのタイプが知られていますが、そのうち6型と11型が病気の発症に深く関係しています。
ヒトパピローマウイルスは、出産時にお母さんから赤ちゃんにうつることがあります。また、性的接触(特にオーラルセックス)を通して感染することがあります。
このほかの日常生活における行為などでは、感染が広がるリスクはほとんどないと考えられています。
ただし、ヒトパピローマウイルスに感染した人がすべて喉頭乳頭腫を発症するわけではありません。病気の発症には、その他の免疫学的な要素や遺伝的な素因なども関与していると考えられています。喉頭乳頭腫は小児期に発症することが多い病気ですが、大人が発症することもあります。タバコや逆流性食道炎、放射線治療などがきっかけとなって、喉頭乳頭腫の症状が増悪する可能性も指摘されています。
症状
喉頭乳頭腫は、声帯に生じることが多い疾患です。声帯は声を形成する重要な器官であり、また空気の通り道にもなる大切な部位です。そのため、喉頭乳頭腫を発症すると、声や呼吸に影響が生じることがあります。
具体的には、腫瘍によって声帯の動きが制限され、声枯れの症状が出現します。腫瘍が大きくなると空気の流れも大きく制限されてしまい、呼吸困難やチアノーゼ、喘鳴などの症状も出現します。こうした症状は喘息や慢性気管支炎とも似ています。また、呼吸に対しての影響のみではなく、ものが飲み込みにくい、身体の成長が遅れる(小児の場合)、などといった症状がみられることもあります。
喉頭乳頭腫は良性腫瘍ですが、治療をして切除しても再発することが多いです。小児期に生じるものほど再発しやすく、何度も治療が必要とされます。
年齢を重ねるにつれて、再発しにくくなることもあります。稀ではありますが、喉頭乳頭腫が悪性化することもあるため、症状の経過には注意が必要です。
検査・診断
喉頭乳頭腫では、実際に腫瘍性病変が喉頭に生じていることを確認するために、内視鏡検査を行います。また、病変部位の組織を一部採取して(生検と呼びます)、顕微鏡を用いることでどのような変化を起こしているかどうかも確認します。
この検査は、喉頭乳頭腫の診断に重要であるばかりでなく、悪性腫瘍が生じていないかどうかを同時に確認することもできます。
ヒトパピローマウイルスの感染を原因とする病気であるため、どのようなタイプのウイルスであるかを確認するための検査が行われることもあります。
治療
喉頭乳頭腫は、外科的な治療が基本となります。腫瘍性病変を摘出するために、レーザーや鉗子などが使用されます。治療に関連して喉頭が形態的に変化してしまうこともあるため、注意深く治療を続ける必要があります。
外科的な治療方法以外には、インターフェロンの局所注入療法もあります。また、漢方薬の使用が検討されることもあります。しかし、根本的に再発を予防できる治療方法は確立されていません(2018年2月時点)。
喉頭乳頭腫は、徐々に再発しにくくなることもある反面、喉頭がんが発生することもあります。再発のリスクだけでなく悪性腫瘍の発生も考慮に入れながら、定期的に内視鏡検査、組織生検による病理検査を行うことが重要です。
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