えしせいきんまくえん

壊死性筋膜炎

同義語
壊疽性筋膜炎,NSTI,necrotizing soft tissue infections
最終更新日:
2025年03月12日
Icon close
2025/03/12
更新しました
2018/09/12
掲載しました。
この病気の情報を受け取るこの病気は登録中です

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

医師の方へ

概要

壊死性筋膜炎とは、主に筋膜(筋肉を包む膜)への細菌感染をきっかけに、急速に周囲の組織に壊死(えし)が広がっていく感染症です。壊死とは細胞が死滅することを指し、その部分の機能は完全に失われてしまいます。命に関わることもある病気です。

この病気は主に筋膜に感染が起こることから壊死性筋膜炎という名称が付いていますが、実際には皮膚や筋肉などの軟部組織にも感染が及ぶため、「壊死性軟部組織感染症」という呼び方もされています。

主な感染経路は皮膚の傷口からの細菌の侵入です。感染が生じると、感染部位に強い痛みや腫れが生じ、患部が熱を持ち、皮膚が赤くなったり薄い紫色になったりします。その後、皮膚は赤黒く変色していき、急速に組織の壊死が拡大していきます。

発症後は全身状態が急激に悪化し、生命に関わる危険な状態となる可能性があります。壊死が進行すると、手足の切断が必要となる場合もあるため、早期の診断と治療が非常に重要です。緊急性が高く、広範囲にわたる手術が必要になる場合もあるため、救命救急センターや大学病院などの緊急処置の設備が整った医療機関での対応が求められます。

治療としては、感染部位や周囲組織を取り除くデブリードマン、輸液*や人工呼吸器などによる全身管理、抗菌薬の投与などが行われます。

*輸液:血管から体内に栄養や水分、薬剤などが含まれた液体を入れること。生命の維持や栄養補給などを目的に行われる。

種類

壊死性筋膜炎は、感染する細菌(原因菌)によって以下の病型に分けられます。

I型

嫌気性菌*を中心とした複数の細菌による混合感染で発症します。複数の細菌が同時に感染することも少なくありません。糖尿病末梢動脈疾患(まっしょうどうみゃくしっかん)など血管に異常がある方、免疫機能が低下している方、手術を受けた方は、発症するリスクが高いとされています。特に性器や肛門(こうもん)周囲から発症した場合は、フルニエ症候群(フルニエ壊疽(えそ))と呼ばれます。

II型

単一の細菌感染によって発症し、主にA群溶血性レンサ球菌や黄色ブドウ球菌の感染によるものが多くみられます。また、A群溶血性レンサ球菌による劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、健康な方にも発症するケースが増加しており、特定の持病がない場合でも発症する可能性があります。

*嫌気性菌:増殖するのに酸素を必要としない菌。

原因

壊死性筋膜炎は、主に皮膚の傷口から細菌が侵入することで発症します。切り傷や熱傷(やけど)、虫刺され、注射などによって皮膚に傷ができ、そこから細菌が入り込んで感染が始まります。ただし、明確な原因が特定できないケースもあります。

この病気を引き起こす主な細菌には、A群およびG群溶血性レンサ球菌、エロモナス・ハイドロフィラ、ビブリオ・バルニフィカス、黄色ブドウ球菌、大腸菌、(りょくのうきん)などがあります。特に、A群溶血性レンサ球菌やビブリオ・バルニフィカスは「人食いバクテリア」として知られており、急速に進行し、重篤な症状を引き起こすことが特徴です。また、ビブリオ・バルニフィカスは、感染した魚介類を摂取することでも発症する可能性があります。体のどの部位にも感染する可能性がありますが、特に下肢に発症しやすいといわれています。

症状

主な症状は、感染部位の強い痛みや腫れです。患部が熱を持って赤くなり、発熱を伴うこともあります。よくみられる症状の例としては、片方の足や腕の強い痛みと高熱が挙げられます。

この病気は急速に進行するのが特徴で、時間が経つにつれて、感染部位にやけどのような水ぶくれができたり、皮膚が赤黒く変色したりするなど、壊死の症状が現れます。

さらに、全身の状態も急速に悪化し、高熱や心拍数の増加、血圧の低下、意識障害といった症状が現れることがあります。特に重症化した場合、感染した手足の切断が必要になることもあり、さらに進行すると命に関わる危険な状態になることもあります。そのため、これらの症状がみられた場合は、速やかに専門の医療機関を受診するようにしましょう。

検査・診断

壊死性筋膜炎の診断では、まず皮膚の痛みや腫れ、赤みや変色などの症状がみられるかを確認します。これらの症状に加えて、病気の進行が早く、脈拍や血圧、意識状態などに異常が伴う場合には壊死性筋膜炎の可能性を疑います。

確定診断を行うには、感染部位を切開して実際の患部の状態を確認する必要があります。具体的には、筋膜など感染が疑われる箇所を部分的に切開し、壊死が生じているかどうかを調べます。加えて、感染部位の一部を採取して原因菌を特定する検査を行います。そのほか、炎症の程度や感染部位の状態を把握するために血液検査や画像検査などが行われます。

治療

治療としては、デブリードマン、全身管理、抗菌薬の投与などが行われます。

デブリードマン

デブリードマンは、壊死した部位や感染が疑われる周囲の組織を切除する手術です。この処置は、感染や壊死が広がるのを防ぐために早期に行う必要があります。発症から1〜2日以内の受診が望ましく、早期に処置を行うことができれば救命率が高まります。しかし、処置が遅れると、感染が急速に進行し治療が困難になる可能性があります。重症化した場合は、感染した部位(手足や精巣など)の切断が必要となることがあります。

全身管理

病気が進行して、意識障害や血圧の低下、呼吸困難など全身状態が悪化した場合に行われる治療です。血圧低下に対しては輸液や昇圧薬の投与、呼吸困難に対しては人工呼吸器の使用などが行われます。

抗菌薬の投与

手術と並行して、点滴で細菌の増殖を抑える抗菌薬の投与を行います。

昇圧薬:心臓の収縮を助けたり、血管を収縮させたりすることで血圧を上昇させる薬剤。

医師の方へ

医師向けの専門的な情報をMedical Note Expertでより詳しく調べることができます。

この病気を検索する

この記事は参考になりましたか?

この記事や、メディカルノートのサイトについてご意見があればお書きください。今後の記事作りの参考にさせていただきます。

なお、こちらで頂いたご意見への返信はおこなっておりません。医療相談をご要望の方はこちらからどうぞ。

「壊死性筋膜炎」を登録すると、新着の情報をお知らせします

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

メディカルノートをアプリで使おう

iPhone版

App Storeからダウンロード"
Qr iphone

Android版

Google PLayで手に入れよう
Qr android
Img app