概要
壊疽性筋膜炎とは、筋肉や神経、血管などが存在する皮膚の下において、細菌が感染する病気を指します。傷口に細菌が侵入することで発症し、感染部位の痛みや腫れ、発赤などに加えて、全身症状としての発熱や倦怠感などが生じます。
進行が早く、病変部位によっては四肢切断を要することもあります。最悪の場合は死に至ることもあるため、早急な治療が必要です。
原因
皮膚の下に細菌感染が生じることで発症します。下記のような状況で生じることがあります。
など
多くの菌が原因となり、たとえば、A群溶血性連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、バクテロイデス、クレブシエラ、クロストリジウムなどが挙げられます。複数の種類の細菌が同時に感染することもあります。
症状
感染部位の痛みや腫れ、発赤などに加え、全身症状としての発熱や倦怠感などが生じます。病状の進行は非常に急速であり、皮膚が灰色調に変色することもあります。
たとえば、肛門や陰嚢周辺に病変が生じた場合は、全体が腫れ上がり、組織の壊死が広がって強い痛みを生じます。足に病変が広がると、足の機能が喪失し、切断を余儀なくされることもあります。
ガスを産生する菌に感染した場合には、皮膚を抑えたときにプツプツとした感覚を生じることもあります。
検査・診断
壊疽性筋膜炎では、炎症状況を確認するために血液検査で白血球数やCRPなどが測定されます。また、病変を評価するためにCT検査が行われ、原因となっている病原体を特定するために、膿や切除した組織片を用いた培養検査が行われます。患者さんが病気の増悪因子である糖尿病などの疾患にかかっている場合には、これら疾患の重症度も評価します。
治療
壊疽性筋膜炎は急速に進行するため、治療は迅速である必要があります。具体的には、切開排膿、壊死した組織の切除、抗生物質による治療などを行います。
病変の切除範囲が大きい場合には、植皮術が必要とされることもあります。手足の切断や精巣の摘出などを検討することもあります。外科的な処置の後も病変部位の洗浄を繰り返し、感染のコントロールを行います。
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