けいしつえん

憩室炎

同義語
大腸憩室炎
最終更新日:
2021年12月20日
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2021/12/20
更新しました
2017/04/25
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概要

憩室炎とは、消化管にできた憩室と呼ばれる部分に炎症が起こる病気のことです。憩室とは消化管の一部分が小さな風船の袋のような状態になることで、ほとんどが大腸(結腸)に発生します。憩室は無症状であることが多く、その時点では治療の必要はありません。しかし、便が詰まるなどして炎症が起こると憩室炎となり、症状がみられるようになります。

主な症状は左下腹部の痛み、圧痛、発熱などです。また、周囲の臓器との癒着、瘻孔(ろうこう)(のうよう)腹膜炎といった合併症が生じることもあります。

憩室は加齢によって頻度が増加する傾向があります。日本でも高齢化に伴ってその頻度は高くなっていますが、憩室炎が増えているかどうかは明らかではありません。

原因

憩室は消化管の壁の弱い部分に圧力がかかることで発生するといわれており、食物繊維の少ない食生活で便秘がちになることなどが発症の原因になると考えられています。

憩室炎の発症リスクを高める因子としては喫煙や肥満が指摘されており、発症リスクと共に合併症にかかるリスクも高くなることが知られています。

また、憩室は大腸の右側と左側にできる場合があります。憩室炎のリスクが高まるのはどちらの部位か、はっきりとしたことは分かっていませんが、大腸の左側に発生した憩室炎は合併症を伴い重症化しやすいといわれています。

症状

憩室炎の主な症状は左下腹部の痛み、圧痛、発熱、吐き気、嘔吐、下痢などです。消化管出血がみられることは少ないとされています。

瘻孔に伴う尿路感染症(膀胱との間に瘻を形成した場合)や腹膜炎などがみられることもあります。

検査・診断

憩室炎は左下腹部の痛みなどをきっかけに疑われることが多く、身体所見、血液検査、画像検査の結果をもとに診断されます。特に、憩室炎に似た病気(虫垂炎など)との鑑別や、憩室炎で起こりやすい合併症を診断するためには画像検査が重要で、CTまたは超音波検査が行われることが一般的です。また、大腸がんなどほかの消化管疾患がないことを確認するために、憩室炎が治癒したタイミングで大腸内視鏡検査を行うこともあります。

治療

憩室炎の治療は合併症がみられるか(瘍・穿孔(せんこう)を伴うか)によって異なります。

主な治療方法には抗菌薬投与、腸管安静、外科手術などがあり、治療の経過を確認しながら治療法を決定していきます。

膿瘍・穿孔を伴わない憩室炎の治療

膿瘍・穿孔を伴わない憩室炎では、抗菌薬を投与しながら腸管の安静を保つことで症状が軽快する場合があります。高熱や血液検査で高い炎症反応がみられる場合には入院したうえで食事制限をして腸管を安静に保ち、水分や栄養補給のための点滴を行うことが一般的です。しかし、これらの症状がみられず腹痛がコントロールされている場合は、外来で治療が可能なことも多いです。

一部の患者は治療後も改善がみられず膿瘍が出現し、膿瘍を伴う憩室炎に準じた治療が必要になることもあります。また、治療後も再発を繰り返す場合や、腸管狭窄(ちょうかんきょうさく)、瘻孔といった症状がみられる場合などは、大腸を切除する手術が必要になることがあります。

膿瘍・穿孔を伴う憩室炎の治療

膿瘍・穿孔を伴い、広い範囲に腹膜炎がみられる場合(汎発性腹膜炎)は危険な状態であるため、大腸や周りの臓器を切除する緊急手術が必要になります。膿瘍が小さく腹膜炎の範囲が限られている場合は抗菌薬やドレナージ治療(カテーテルなどを用いて(うみ)などを体外に排出する治療)で対応できることもありますが、症状が改善しない場合は大腸を切除する手術が必要になります。

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