けいしつえん

憩室炎

別名:大腸憩室炎/腸憩室炎
大腸・小腸

目次

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概要

憩室炎とは、何らかの原因で憩室とよばれる部分に細菌感染が起こり、腹痛や発熱といった症状が現れることを指します。

憩室とは、消化管の壁の一部が内側から外側に向かって袋状に突出したものをいいます。特に大腸に多く、地域などにより差はありますが大腸憩室は非常に一般的なものです。

大腸は部位によって盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸に分けられます。盲腸や上行結腸に憩室がある場合を右側大腸型、S状結腸に憩室がある場合を左側大腸型と呼び、その間の横行結腸や下行結腸、また両側にある場合を両側型としています。

大腸憩室があるというだけで症状が現れることはなく、治療の必要もありませんが、合併症が起こる可能性はあります。憩室があることで起こりうる2大合併症が、この憩室炎と憩室出血(憩室から出血を起こし血便がでること)です。

原因

憩室に便が詰まったりすることをきっかけとして細菌感染が起こり発症します。

大腸の壁は、内側から粘膜・粘膜下層・固有筋層・漿膜(しょうまく)下層・漿膜という5層からなっています。大腸憩室の多くは、このうちの固有筋層の部分を欠いているという特徴を持っており、このような構造の憩室を仮性憩室とよびます。

憩室ができるメカニズムは、大腸の運動異常が起こることで腸管の中の圧力が高くなり、大腸の圧力に弱い部分が外側に突出して袋状の憩室ができると考えられています。食物繊維の摂取が長期間にわたって不足すると、こうした腸の運動異常を起こしやすくなり、憩室ができやすいといわれています。

近年では食生活が欧米化していきていること、また高齢化が進んできていることから、日本でも大腸憩室症が増えてきているとされます。

症状

大腸憩室炎で一番よくみられる症状は腹痛です。また発熱がみられることもあります。

腹痛を感じる場所は、憩室炎の起こる場所によって違いますが、右の下腹部の痛みの場合には急性虫垂炎(いわゆる盲腸)と見分ける必要があります。急性虫垂炎と比べると、吐き気や嘔吐が少なく症状が出てから病院を受診するまでの時間が虫垂炎より長いという特徴があります。

検査・診断

診察

腹部に圧痛(押した部分に痛みを感じること)を認める、腫瘤(しゅりゅう)を触れる(憩室炎を生じている部分が腫れてしこりのように触れる)などの様子がみられます。

血液検査

憩室炎による炎症反応の上昇を反映して、白血球やCRPの値の上昇を認めます。

画像検査(腹部超音波検査、CTスキャン検査)

腹痛のある場所に一致して、憩室とその周りの組織が炎症を起こして腫れたり浮腫(むく)んだりしている様子が観察されます。ひどくなると、憩室炎を起こしている部分の大腸に穴が開いてしまったり(穿孔(せんこう))、お腹に水が溜まったり(腹水)、憩室炎の周りに膿が溜まってしまったり(膿瘍(のうよう))することがあります。

治療

憩室炎では、抗菌薬を使用した内科的治療が中心となります。多くは入院のうえで食事を一旦お休みし、点滴を行いながら抗菌薬を7~10日使用します。炎症の程度が軽いものであれば、入院はせずに外来通院で抗菌薬を内服して治療することも可能です。その際には、症状が悪くならないか慎重に経過観察しながら外来再診で確認します。

憩室炎が悪化してしまうと膿瘍をつくったり、大腸に穴が開いたりすることがあります。このような場合には外科的な手術が必要です。手術の術式は、状況によってさまざまですが、腸管を切除したり、膿瘍ドレナージ(膿をお腹の外に出すためのチューブを挿入する手術)をおこなったりします。お腹の中の炎症がひどい場合などは、人工肛門をつくることもあります。

憩室炎は、一度治癒しても再発する可能性があるため、注意が必要です。再発を予防するには食物繊維を十分に摂って便秘を起こさないように気を付けることが適切だといわれていますが、はっきりとその効果が証明されているわけではありません。