尋常性天疱瘡は天疱瘡のなかでももっとも患者数が多い症例で、デスモグレイン3という特殊なたんぱく質が関与していることが分かっています。はたしてデスモグレインとは何なのでしょうか? また、尋常性天疱瘡とはどのような病気で、他の天疱瘡とはどう違うのでしょうか? 自己免疫疾患研究のトップランナーであり慶應義塾大学医学部皮膚科教授の天谷雅行先生にお話をお聞きしました。
尋常性天疱瘡は中年層や高齢者など年齢をある程度重ねた方に好発する病気で、天疱瘡の中で最も発症例が多い病気です。子どもにはあまり見られません。この病気は、体内の免疫システムが、皮膚の最も外側に位置する表皮細胞をつなぎとめているたんぱく質(デスモグレイン)を誤って攻撃してしまうことによって起こります。
原因は免疫グロブリン(IgG)という自己抗体だといわれています。デスモグレインという分子に対して自己抗体(自分自身を攻撃してしまう抗体のこと)が攻撃を行い、病気を起こすということが指摘されています。
しかし、なぜデスモグレインに対して抗体ができてしまうのか、なぜその抗体を持つと天疱瘡になってしまうのか詳しいことはまだわかっていません。
尋常性天疱瘡の抗原(抗体が攻撃する標的物質)は主にデスモグレイン3で、半数の方はデスモグレイン1に対しても抗体を持ちます。(デスモグレインの詳細は『天疱瘡とは? 粘膜や皮膚に水疱ができ、びらんを生じる指定難病』)
尋常性天疱瘡の患者さんの体内にあるデスモグレイン3に免疫グロブリン(IgG)という自己抗体がくっついてしまうことで、その接着をはがそうと人体の免疫システムが誤作動を起こします。その結果、接着機能を担うデスモグレイン3を攻撃して、水疱という症状が粘膜に現れると考えられています(粘膜優位型の尋常性天疱瘡)。また、デスモグレイン1にも抗体を持つ人は、皮膚にも同様の症状が現れます(粘膜皮膚型の尋常性天疱瘡)。
尋常性天疱瘡の水疱は弛緩性水疱といい、その特徴は透明で柔らかく、大きさが様々なことです。病変のある皮膚を軽く刺激すると大きく水疱が剥けてしまい、痛みのあるびらん(表皮細胞がはがれてただれ、内側が見えてしまう状態)を形成します。水疱が口腔内にできることが多いのも特徴で、これは口内炎の何倍もある10円玉~100円玉くらいの大きさまで広がります。広がったびらんは非常に痛みを伴い、やがて潰瘍となります。次々と口腔内粘膜に水疱ができ、それはもろく次々と破れていくため、食べものを食べられないどころか飲み物を飲むだけでも痛みが発生します。
慶應義塾大学大学院医学研究科 皮膚科学 教授
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