概要
指咬創とは、指を動物などに噛まれることによって引き起こされる状態を指します。傷が関節や骨にまで達して、関節炎や骨髄炎を発症することもあるため、初期治療が重要となります。また、状況によっては狂犬病や破傷風などの疾患を引き起こすことがあります。指咬創が生じた際には、局所を洗浄します。感染がある場合には、抗生物質の使用や排膿も検討します。
原因
犬や猫などの動物に噛まれることで発症することがあります。けんかをしているときや性交渉の際に生じることもあります。
犬や猫、ヒトの口の中には多くの雑菌が存在しています。かつ、指の構造的に皮膚と関節、骨の距離がとても近いことから、傷が生じると病原体が組織の奥深くにまで達しやすいです。
指咬創を生じると、皮膚の表面だけではなく骨や関節、軟部組織にまで感染が波及することもあるため注意が必要です。
症状
傷が生じた部位に痛みや出血、腫れなどが生じます。感染が組織の奥深くまで波及すると、痛みの増強や関節の動かしにくさ、発赤・腫れの拡大、熱感などが生じることもあります。また、膿が傷口から出てくることもあります。
また、状況によっては、狂犬病や破傷風などが引き起こされることもあります。
狂犬病を発症すると1~2か月ほどの潜伏期間を経た後、発熱や吐き気、疲れやすさなどの症状が出現します。その後病状が進展し、最悪の場合には死に至ります。
破傷風では、数日から数週間ほど経過した後に、口があけにくい、食べ物が食べにくい、などの症状が出現します。狂犬病と同じく生命を脅かす可能性のある疾患であり、早急な対応が求められます。
検査・診断
指咬創が生じた際には、何に、いつ咬まれたのか、といった情報が重要です。また、局所の腫れや発赤、熱感などの所見も重要です。感染の拡大や骨折が疑われる際には、レントゲンやCT、MRIといった画像検査を行うこともあります。神経や腱、骨、血管の状態を詳細に観察します。また、異物の有無を確認します。狂犬病や破傷風などが疑われる場合には、これらの診断に適した検査が追加されます。
治療
指咬創が生じた際には、局所を洗浄することが大切です。丁寧な洗浄を行っても感染が波及することがあるため、慎重な経過観察を行います。適宜、抗生物質の使用や排膿も検討します。抗生物質の使用に際しては、さまざまな細菌に対応できるものを使用することが大切です。
破傷風の発症が懸念される際には、トキソイドワクチンや免疫グロブリンの投与も検討します。破傷風は一度発症すると最悪の場合死に至ることもある疾患であるため、こうした処置により発症を予防する必要があります。
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