しんせいじかんえん

新生児肝炎

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概要

新生児肝炎とは、新生児期から続いていると推定される、明らかにそれと指摘できる原因が存在しない肝炎を指します。新生児期に肝臓に障害を与える何かしらのきっかけとなる誘因が存在し新生児肝炎発症に至ると考えられています。出生児1万人に1人の発症率であり、男児や低出生体重児に多い病気であると報告されています。

新生児肝炎では黄疸や白色便を認めることがあり、これらに付随した栄養障害や体重増加不良が症状として出現します。多くの場合において生後半年までに治癒する一過性の病気として経過しますが、なかには長期的な肝障害を残すこともある病気です。

原因

胆汁は肝臓で生成された後、肝臓内に存在する「肝内胆管」を通った後、肝臓の外に存在する「胆管」に入ります。同じく肝臓の外に位置する胆嚢は胆汁を貯める貯蔵庫としての役割を果たしていますが、胆嚢管と呼ばれる管を通して胆管と合流します(総胆管と呼ばれます)。

その後、肝臓内もしくは胆嚢から分泌された胆汁は総胆管を通って、膵液と混じり最終的には十二指腸へと注ぎ込まれることになります。 胆汁の流れは肝臓内から十二指腸に至るまでのどこにおいても阻害される可能性がありますが、新生児肝炎では肝臓内において障害される「肝内胆汁うっ滞」が病気の本体です。

新生児肝炎は、その定義上「明らかな原因を指摘できないもの」となっており、何故一部の新生児において新生児肝炎(肝内胆汁うっ滞)が発症するのかはわかっていません。

単一の原因が存在するというよりはむしろ、新生児特有の胆汁分泌の未熟性(胆汁は新生児期において生理的にうっ滞しやすい傾向があります)、周産期における血流障害(子宮内発育不全、新生児仮死など)、経口摂取開始時期の遅延(早産児に発症する壊死性腸炎の影響など)などが複合的に影響しあった結果、病気が発症すると考えられています。

症状

新生児肝炎の初発症状は、黄疸であることが多いです。新生児肝炎の病気の本体は肝内胆汁うっ滞であることを「原因」において記載しましたが、胆汁は黄色をしています。肝臓の外に排泄できない胆汁は一部血液の中に入り込み、結果として「黄疸」の症状が出現することになります。

特に眼瞼結膜(白目に当たる部分です)において、黄疸症状を指摘することができます。黄疸成分は痒みを起こすことになり、痒みのために落ち着きがない、といった症状をみることがあります。

さらに、体内に蓄積した胆汁成分は尿中に排泄されるようになります。したがって、尿の色が褐色調に変化します。また、正常の便の色は胆汁由来の色ですので、胆汁が便に充分量存在しない結果として、白色便といった症状を呈するようになります。

また、肝臓内に胆汁が滞ることから、肝臓が腫れる「肝腫大」と呼ばれる症状を示すこともあります。肝腫大に続発して、解剖学的に連携性のある脾臓も腫大する「脾腫」を起こすこともあります。 消化管内に分泌される胆汁は、脂肪成分を中心とした栄養素の吸収に際して必要不可欠な物質です。

胆汁分泌が障害される新生児肝炎においては、栄養吸収障害を反映した症状をみることもあります。すなわち、体重増加不良をみたり、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)吸収障害に関連した症状をみたりします。たとえばビタミンDであれば骨の成長に影響が及びますし、ビタミンK欠乏になると出血傾向を示すことがあります。

検査・診断

新生児肝炎は、黄疸をきっかけとして病気が疑われます。血液中の黄疸成分は「ビリルビン」と呼ばれる物質になりますが、なかでも「抱合型ビリルビン」が上昇していることを血液検査で確認します。

新生児肝炎の診断に際しては、肝内胆汁うっ滞を来しうる他の病気を除外することが必要です。サイトメガロウイルス感染症を代表とするウイルス性疾患でも肝内胆汁うっ滞を来しますし、Alagille症候群と呼ばれる遺伝性疾患でも類似の症状を呈します。また、一部の先天性代謝疾患でも同様です。

こうした疾患を除外するために、血液検査(ウイルス抗体のチェックや代謝産物測定、遺伝子検査など)や画像検査、肝生検などが行われます。

治療

新生児肝炎を根本的に治療する方法は確立されておらず、対症療法的に胆汁排泄を促し、黄疸を軽減させることになります。胆汁排泄を促進するために、「ウルソデオキシコール酸」が使用されます。

胆汁排泄が不足することから、成長に必要な必須栄養素が欠乏する可能性が出てきます。新生児肝炎では長鎖脂肪酸と呼ばれる長い脂肪酸の吸収障害をみることがあるため、より短めに加工してあるミルクを使用することがあります。

また脂溶性ビタミン欠乏を来す可能性もありますので、サプリメントを併用することもあります。 基本的には生後半年までに肝内胆汁うっ滞は自然に改善し、新生児肝炎は治癒に向かいます。しかしながら、ときに障害が永続することもあります。肝障害の程度が強い場合には、肝移植が選択されることもあります。

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