しんせいじかんえん

新生児肝炎

最終更新日:
2025年01月07日
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2025/01/07
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概要

新生児肝炎とは、通常生後2か月以内に発症する肝炎です。はっきりした発症メカニズムは解明されていません。一般的には生後半年から1歳ごろまでには自然と改善します。しかし、重症な場合には肝硬変に至るケースや、肝機能が著しく低下して命に関わるケースもあります。黄疸(おうだん)などの症状が続くときは、できるだけ早く医療機関を受診する必要があります。

原因

新生児肝炎は、生後早期にウイルス感染により肝臓の細胞がダメージを受けることで発症します。原因の約20%は特定されており、サイトメガロウイルス、(ふうし)ウイルス、A型またはB型肝炎ウイルスなどへの感染です。残りの約80%の原因は特定できないものの、同様にウイルス感染によるものと考えられています。

症状

新生児肝炎を発症すると、多くは黄疸が継続して現れます。黄疸は、血液中のビリルビンという物質が増えることによって皮膚が黄色くなる症状です。ビリルビンは赤血球が破壊される際に放出され、通常であれば主に肝臓で代謝されて胆汁内に排出されます。その後、ビリルビンを含んだ胆汁は胆囊に蓄積され、十二指腸へと流れ込みます。しかし、新生児肝炎を発症すると肝機能が低下するためにビリルビンを上手く代謝できず、肝臓や血液内に蓄積して、血液中のビリルビン濃度が上昇すると考えられています。

黄疸のほかにも、白っぽい便や肝臓の腫れなどの症状が生後2か月以内に現れたり、脂肪の吸収が低下することで出血傾向や体重増加不良がみられたりすることがあります。新生児肝炎の多くは生後半年ごろには自然に回復し、黄疸や肝機能なども改善しますが、中には急激に重症化して肝硬変や肝不全などに至るケースもあるため注意が必要です。

検査・診断

新生児肝炎が疑われるときは、以下のような検査が必要となります。

血液検査

肝機能(AST、ALTといった肝酵素など)、黄疸(直接・間接ビリルビン)、胆汁うっ滞(γ-GTP、LAPなど)、血液凝固系(PT、APTTなど)といった血液検査が必須です。原因を調べるために各種ウイルス検査を行うこともあります。

そのほか、肝機能が低下する代謝性疾患、内分泌疾患などを鑑別するために、血液検査に加えて尿検査などが必要になることもあります。

胆汁うっ滞:胆汁がつくられて分泌されるまでの過程に異常が生じ、胆汁の成分が体の中に蓄積されること。

画像検査

肝臓や胆嚢などに何らかの病気がないかを調べるために、超音波やMRIなどを用いた画像検査を行うこともあります。

肝生検

皮膚から肝臓に針を際して組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べる検査です。血液検査や画像検査のみでは診断が難しい場合に行われることがあります。

治療

新生児肝炎は原因ウイルスに対する治療を除き、根本的に治療する方法は確立されていません。そのため、症状を和らげる対症療法が主体となります。具体的には、黄疸があるときは胆汁排泄を促進するウルソデオキシコール酸やフェノバルビタールを、肝機能低下があるときは肝臓の細胞を保護するタウリンなどを使用します。便が白いなど脂肪の吸収低下がみられるときは、ビタミンKなどの脂溶性ビタミンを注射や大量内服で投与します。重症な黄疸などがある場合にはステロイドの投与が行われることもありますが、免疫力の低下をはじめとしたさまざまな副作用が生じる可能性があるため、医師と相談のうえ症状を見ながら投与されます。

新生児肝炎の90%以上は1歳までに自然に治るといわれていますが、中には肝機能低下が急激に進行して肝硬変や肝不全に至るケースもあります。肝硬変を発症した乳児は肝移植が必要になることもあります。

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