原因
未熟児網膜症は、眼球の血管が正常に発達しないことが原因で発症します。網膜の血管は、妊娠15~18週ごろを境に作られはじめます。網膜自体は眼球のなかの大部分を裏打ちしており、すべての領域において血管が作られるには時間が必要です。また、部位によって、完成する時期も異なります。具体的には、鼻側の網膜の血管は36週ごろに血管供給が完了しますが、外側の網膜はそれよりも遅く妊娠40週ごろまで時間を要します。
網膜の血管は、網膜が眼球から離れないように接着させる「ノリ」のようなはたらきもしています。網膜の発達が未熟な領域は、簡単に網膜剥離を起こします。網膜の血管は妊娠週数が若いほど未完成であり、網膜剥離を引き起こす脆さがあることを意味します。
早産児や低出生体重児は、網膜の血管が完成していない状態で出生します。出生後も網膜に対しての血管発達はしますが、お母さんのお腹のなかで観察されるような正常な発達をする例ばかりではありません。出生前後における低血圧、出生時の低酸素とその後の酸素供給(未熟な早産児ほど生命を助けるために酸素が投与されます)などの要素が複雑にからみあい、血管の発達が影響を受けます。本来は網膜に沿って発達すべき血管が、眼球の内部(硝子体と呼びます)に向かって伸びるようになります。
異常な血管はとても脆く出血をしやすい性質を持ち、網膜を牽引することから網膜剥離を引き起こしやすくなります。未熟児網膜症の発生には、IGF-1やVEGFと呼ばれる物質が関わっているとも報告されています。
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