すいほうせいるいてんぽうそう

水疱性類天疱瘡

最終更新日:
2024年02月21日
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2024/02/21
更新しました
2017/04/25
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概要

水疱性類天疱瘡(とは、皮膚や粘膜にむくんだ赤い皮疹(浮腫性紅斑)、水疱(水ぶくれ)、皮のめくれ(びらん)などが生じる病気で、類天疱瘡に含まれる自己免疫性疾患*の1つです。類天疱瘡には水疱性類天疱瘡のほかに、粘膜類天疱瘡、後天性表皮水疱症などがあります。中でも水疱性類天疱瘡はもっとも発症頻度が高いといわれており、国の指定難病になっています。

2012年に発表された難病情報センターの情報によれば、水疱性類天疱瘡は子どもから大人まで幅広い年代で発症がみられますが、特に60~90歳代の高齢者に多いといわれています。男女差はみられず、正確な統計はありませんが、患者数は1万5,000~2万人ほどと考えられます。また、水疱性類天疱瘡は通常遺伝することはありません。

*自己免疫疾患:本来自分の体を異物から守る役割を果たしている免疫機能に何らかの異常が起こり、免疫が自身の正常な細胞や組織を攻撃してしまう病気のこと。

原因

水疱性類天疱瘡は、皮膚を構成する“表皮”と“真皮”を接着させる役割を持ったタンパク質であるBP230やBP180に対し、自己抗体が作られることによって起こる病気です。自己抗体がタンパク質と結合することで症状が現れます。なお、自己抗体が作られる原因はまだ分かっていません。

また近年では、2型糖尿病の治療薬“DPP-4阻害薬”を服用することによって、頻度は決して高くはないものの、水疱性類天疱瘡を発症する可能性があることが分かっています。この場合の特徴として、赤い皮疹が生じずに水疱(水ぶくれ)が生じる傾向があります。頻度としてはまれではあるものの、DPP-4阻害薬を服用している人は注意が必要です。

症状

手足や体幹などの皮膚にかゆみを伴うあるむくんだ赤い皮疹(浮腫性紅斑)や、大きく膨れた水疱(水ぶくれ)、皮のめくれ(びらん)などが生じます。水疱は皮膚の深い層で生じるため皮が分厚く、なかなか破れないことが特徴です。水疱が破れると皮がめくれ、浸出液を生じてびらん状態になり痛みを伴うこともあります。また、水疱やびらんはみられず、かゆみを伴う赤い発疹のみを生じる場合もあります。

水疱性類天疱瘡の症状の多くは皮膚のみにとどまりますが、まれに口腔粘膜などの粘膜にも症状が現れる方もいます。

検査・診断

水疱性類天疱瘡が疑われる場合、皮膚生検と血液検査で診断することが一般的です。

皮膚生検

皮膚生検とは局所麻酔を行い、皮膚の一部を小さく切り取って顕微鏡で確認する検査です。正確に診断するためには必須の検査です。さらに、“直接蛍光抗体法”という手法を用いて、体の中で自己抗体がどこに結合しているかを確認します。

血液検査

血液検査では、血清中の自己抗体の有無について確認します。“CLEIA法”あるいは“ELISA法”という手法で、BP230やBP180に対する自己抗体を調べることができます。

治療

水疱性類天疱瘡では、一般的にステロイド薬の内服を中心とした薬物療法が検討されます。薬物療法のみでは十分に効果が得られない場合、血漿(けっしょう)交換療法なども検討されます。

治療によって症状が落ち着いてきたら徐々に治療薬を減らしていきます。適切な治療によって“寛解”と呼ばれる症状が認められない状態に至ることを目指します。しかし、中には、治療をしてもなかなか症状が改善しない方や治療薬を減らすことによって再発してしまう方もいます。

薬物療法

水疱性類天疱瘡では、原因となる自己抗体を作り出す細胞に効果のある“免疫抑制療法*”が行われます。軽症の場合は、ステロイドの外用薬やテトラサイクリン系抗菌薬などの内服が検討されることがあります。中等症以上の場合は、まずステロイドの内服が検討されます。治療効果を高め、ステロイドによる副作用を抑えるために、免疫抑制薬を併用してステロイドの量を減らすこともあります。

ステロイドの内服を使用しても症状が治まらない場合、ステロイドパルス療法や免疫グロブリン**大量静注療法、血漿交換療法が検討されます。ステロイドパルス療法、免疫グロブリン大量静注療法はどちらも注射による治療です。

*免疫抑制療法:免疫抑制薬を使用し、免疫機能を抑える治療のこと。

**免疫グロブリン:抗体の主成分のこと

血漿交換療法

体の中の血液をいったん抜いて、血球成分と血漿成分に分離した後、自身の血球成分と新鮮な血漿(あるいはアルブミン溶液)を体に戻す治療法です。1回の血漿交換で処理される血漿の量は3L程度であり、血液全てが置き換わるわけではありません。分離した自身の血漿成分を除去することで、病気の原因となっている物質を取り除き、症状の緩和などが期待できます。

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