てんじょうひょうそうかくまくしょう

点状表層角膜症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

点状表層角膜症とは角膜の表面に細かい点状の傷がついている状態のことで、病名というよりは状態を表す言葉です。

角膜は5層構造(表面側から上皮、ボウマン膜、実質、デスメ膜、内皮)になっており、点状表層角膜症は一番表面にある上皮が部分的に脱落した状態です。傷がさらに深い部分まで及ぶと、「角膜びらん」や「角膜潰瘍」という診断名に変わります。

個々の点状の傷が治っても傷の原因がなくなっていなければまたすぐに新しい傷ができ、点状表層角膜症は治りません。傷の原因はさまざまであり、治療法もそれぞれ異なります。点状表層角膜症があればその原因をつきとめ、原因となっている病態の治療をしなければなりません。
 

原因

ドライアイ

本来角膜の表面は涙で保護されていますが、ドライアイがあるとその保護効果が弱くなり、角膜に傷ができやすくなります。

コンタクトレンズ

とくにソフトコンタクトレンズは角膜表面にはりついた状態で使用するため、カーブが目にあっていなかったりもともとドライアイがあったりすると角膜に傷ができやすくなります。

まばたきが浅い、あるいはできない

涙は定期的にまばたきをすることで角膜表面を覆うようにできています。まばたきが浅かったり、あるいは顔面神経麻痺脳腫瘍などでまばたきができない状態が続くと、角膜に傷ができやすくなります。糖尿病があると全身の知覚(痛みなどを感じる感覚)が低下するため目の渇きや痛みを感じにくく、普通の方よりまばたきが浅くなったり少なくなったりします。

さかまつげ

さかまつげの先端が慢性的に角膜に接触していると、その部分には常に点状表層角膜症がでるようになります。さかまつげとは違いますが、目に小さな異物がはいってそれがまぶたの裏にはりついてしまった場合なども、点状表層角膜症の原因になります。

紫外線

いわゆる「雪目」とは紫外線による点状表層角膜症のことです。スキーなどに行って雪で反射した紫外線を角膜に浴びることで、数時間後に角膜に傷ができます。溶接作業後にも点状表層角膜症がおこりやすいため、保護メガネの使用が重要です。

点眼の使いすぎ

点眼の使いすぎでも点状表層角膜症になります。点眼薬のほとんどには有効成分以外にも防腐剤などの添加物が含まれており、点眼を使いすぎることによってそれらの成分による副作用が出て点状表層角膜症になります。処方薬でも市販薬でも、点眼は決められた回数を守って使うことが大切です。点眼のみならず、一部の内服薬によってもドライアイをひきおこすことで点状表層角膜症の原因になることがあります。

症状

傷の数や密度によりますが、軽症であれば目の異物感程度、あるいは症状がない場合もあります。傷が多くなれば眼痛が出ますが、主に目の表面がチカチカして痛いという感じで、目の奥が重くなるような痛みは通常出ません。

また、角膜は本来透明な組織ですが、点状の細かい傷が密集してたくさんできるとスリガラスのような状態になるため、かすんで見えるようになったり、光の散乱によってまぶしく感じたりすることもあります。傷がかなり多くなると角膜自体やその周辺にある結膜に炎症が起こり目が充血することもあります。

検査・診断

フルオレセインという特殊な色素を目につけ、細隙灯顕微鏡(眼科で診察のときに顔をのせる機械)で青い光で診察すると、角膜の傷を観察することができます。

それ以外には点状表層角膜症の原因を調べるためにドライアイの検査(涙の分泌量や乾くスピードを調べます)をしたり、角膜知覚(細い糸のようなものを角膜に接触させて、敏感度を測ります)を調べたりします。

治療

原因によってまったく異なります。上記の原因のうち、まず予防が可能なのはコンタクトレンズ、紫外線、点眼の使いすぎです。コンタクトレンズを使用する場合は眼科での定期検診を受けることが大切です。ドライアイやさかまつげが原因であれば、点眼や手術などの治療が必要です。

まばたきが浅い、あるいはできない場合の点状表層角膜症はなかなか治りにくいことが知られています。点眼や眼軟膏などを使い、痛みや視力低下で日常生活に支障をきたすことがないようにできるだけ傷が少ない状態を維持します。
 

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