原因
詳しいメカニズムはまだ解明されていませんが、甲状腺に関わる抗体*ができることが主な原因と考えられています。本来、抗体は病原体から体を守るために生成されますが、免疫機能に何らかの異常が起こることで自分自身を攻撃する抗体(自己抗体)がつくられることがあります。甲状腺眼症では、甲状腺に関わる自己抗体が眼球周囲の組織にも作用し、炎症を引き起こします。
甲状腺の細胞には、甲状腺ホルモンの分泌に関わる“甲状腺刺激ホルモン受容体(TSH受容体)”と呼ばれるタンパク質が多く存在しています。このTSH受容体は、眼球が入っている頭蓋骨の窪みである眼窩の周囲の筋肉や脂肪にも存在しています。そのためTSH受容体に対する自己抗体ができると、甲状腺だけでなく、外眼筋や眼球の周りにある脂肪組織も攻撃され、炎症を引き起こすと考えられています。
甲状腺眼症は、バセドウ病に合併することが多く、まれに橋本病にも合併します。これらの病気では甲状腺に異常がありますが、甲状腺機能が正常でも甲状腺眼症を発症することがあります。また、甲状腺眼症を増悪させる因子として、喫煙、ストレスが知られています。
*抗体:体の免疫に関わるタンパク質のこと。病気の原因になる細菌やウイルスなどを異物と認識し、異物を攻撃したり、体から排除したりするはたらきを持つ。
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