治療
甲状腺眼症の治療は、症状の重症度、病気の活動性、そして患者の生活の質(QOL)を総合的に評価して決定されます。甲状腺眼症には、炎症が強い活動期と、炎症が沈静化して症状が固定する非活動期があります。
活動期の治療の中心は薬物療法です。症状の程度によっては、放射線療法と併用されることもあります。非活動期に入っても眼球突出や複視などの症状が持続する場合は、眼窩減圧術や斜視手術などの外科的治療が検討されます。また、治療と並行して生活習慣の改善指導も行われます。
薬物療法
一般的な治療方法は炎症や自己抗体の反応を抑えるステロイドの投与です。症状の程度や炎症の範囲に応じて、投与方法が選択されます。
活動期で症状が強い場合は、短期間に大量のステロイドを点滴で投与するステロイド・パルス療法が実施されます。炎症の範囲が限局的な場合は、まぶたの腫れや外眼筋に直接ステロイドを注射する局所療法が選択されることがあります。炎症が比較的軽度の場合は、ステロイドの内服薬が用いられることもあります。
甲状腺眼症に対して有効な治療選択肢が限られていたことが課題でした。今後、抗体を用いた治療など、さらなる甲状腺眼症の治療法の幅が広がることが期待されています。
放射線療法
眼窩組織に放射線を当てる治療法です。甲状腺眼症では、眼窩内の外眼筋や脂肪組織にリンパ球*が入り込んで、炎症反応を引き起こします。放射線療法では、この炎症を引き起こすリンパ球を破壊して炎症を抑えます。
*リンパ球:白血球の一種で、免疫に関わる細胞。
眼窩減圧術
眼窩の周囲にある骨の一部を切り取り、眼球が収まるスペースを拡げる手術です。眼窩内の圧力を下げて、眼球突出や視神経圧迫を軽減するために行われます。
斜視手術
手術によって、目を動かす筋肉の位置をずらし、斜視を改善します。
生活習慣の改善
甲状腺眼症を悪化させる主な要因として、ストレスや喫煙が挙げられます。特に喫煙は重要な因子であり、禁煙を指導することが大切です。禁煙を継続することで、まぶたの腫れや目の奥の痛みといった症状が軽減することもあります。
目を守るためには早期に適切な治療を受けることが大切
提供:アムジェン株式会社
監修:オリンピア眼科病院 神前あい先生
甲状腺眼症は重症化すると複視の進行や視神経障害による視力低下の恐れもあるため、早期診断・早期治療につなげるためにも、気になる症状があれば一度チェックシートで確認してみましょう。




*近くではなく少し遠くを見てください(ドアの端やカレンダーなど)
作成年月:2024年11月
実績のある医師
周辺で甲状腺眼症の実績がある医師
オリンピア眼科病院 副院長
眼科
東京都渋谷区神宮前2丁目18-12
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