インタビュー

男性更年期障害とは

男性更年期障害とは
松田 公志 先生

関西医科大学附属病院 病院長、泌尿器科学講座 教授/評議員・理事

松田 公志 先生

この記事の最終更新は2016年03月20日です。

関西医科大学腎泌尿器外科学講座教授の松田公志先生は2002年1月から「男性更年期外来」を設け、治療に当たってきました。男性更年期障害の症状と考えられる原因についてお話を伺いました。

男性ホルモンは主に睾丸の精巣でつくられ、筋肉や骨格をつくったり、脂質、糖代謝を促進したり、性機能を維持したりする役割のほか、脳の認知機能、心理機能にもかかわっていると考えられています。

男性更年期障害では、心・体・性機能の3つに症状が現れます。具体的な症状としては、うつ傾向になる・体がだるい・筋力が低下する・骨がもろくなる・勃起しない・性行為ができない、などです。

私は約30年前に、染色体異常が原因で生まれつき男性ホルモンがうまく出ない「クラインフェルター症候群」(※参考記事:クラインフェルター症候群とは。性染色体異常が原因の男性不妊症)の患者さんを診たことがあります。この時男性ホルモンを注射したところ、3週間後に来院されて「この間使った薬はなんでしょうか。今までモノクロだった世界が突然カラーになりました。こんなに人生は楽しいものだったんですね」という言葉を聞いてたいへん驚きました。男性ホルモンが、男性の気分に大きく関係するというのをその経験で実感したのです。

男性更年期障害を日本で一番初めにクローズアップなさったのは「日本男性医学の父」と呼ばれる、札幌医科大学名誉教授の熊本悦明先生です。熊本先生は、1980年ごろから「男性にも更年期障害がある」と先生一人、その重要性を唱え続けておられました。そこで前述の経験で男性ホルモンの重要性を知った私は、それをきっかけに男性更年期障害のことを勉強し始め、2002年1月に当院に「男性更年期外来」を開設しました。

かつては男性に更年期があるということさえ受け入れられていない状況だったのです。

その他の要因としては、ストレスの増加が考えられます。経済が右肩上がりだった時代には多くの方がその恩恵に預かれましたが、世の中が経済的に厳しくなってきて、そこから漏れる方が現れて、気持ちも沈みがちにならざるを得ない部分が大きくなっているのかもしれません。

実際に来院される方のお話を聞いていても、健康で元気に精力的に仕事をしているのだけれども、若いころに比べるとちょっと気持ちがついていかなくなった・調子が出ない・昔のように楽しく仕事ができなくなったという方がたくさんおられます。

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