でんぷう

癜風

最終更新日:
2024年10月08日
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2024/10/08
更新しました
2017/04/25
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概要

癜風(でんぷう)とは、皮膚に存在する癜風菌という真菌(カビ)が過剰に増殖することによって、胸や背中、肩などの皮膚に淡褐色(たんかっしょく)や白色、紅褐色(こうかっしょく)などの円形や楕円形の斑(色が変化した部分)が生じる病気です。癜風菌は健康な方の肌にも存在する常在菌で、十数種類の菌種があります。特に癜風の原因となりやすい菌種には、マラセチア属真菌のMalassezia globosaMalassezia restrictaなどがあります。

癜風は子どもに生じることは少なく、思春期以降によくみられます。特に高温多湿、皮膚に脂質が多い条件下で発症、悪化しやすいことが特徴です。熱帯地方では、人口の20〜30%が癜風にかかっているという報告もあります。

原因

癜風は、通常は無害な皮膚の常在菌である癜風菌が、何らかの原因で過剰に増殖することによって生じます。健康な若い人にもよく生じる疾患ですが、増殖に関わる要因としては、主に高温多湿で皮膚に脂質の多い環境が挙げられます。それ以外の悪化要因としては、ステロイド薬の使用、妊娠低栄養糖尿病などの病気による免疫機能の低下が挙げられます。人にうつることはないと考えられていますが、体質的に癜風菌が増加しやすい方がいることも分かっています。

症状

癜風の主な症状は、胸や背中、肩などの皮膚に、境界がはっきりとした円形や楕円形の斑が複数生じることです。斑の色調は人によって異なり、淡褐色、白色、紅褐色などがみられます。たいてい、通常の肌の色味が濃い場合には色が抜けたような白色の斑(白色癜風)が現れ、肌の色味が薄い場合には褐色の斑(黒色癜風)がみられます。病気が進行すると、小さな斑同士が融合して、より大きくなることもあります。また、癜風の斑は日光を浴びても日焼けしないという特徴があるため、周辺の皮膚が日焼けすると目立ちやすくなる場合があります。

癜風で生じる斑には痛みなどの自覚症状はありません。そのため背中など自身では確認しづらい位置に発生すると、発見が遅れる場合があります。そのほか、病変部分をこすると鱗屑(りんせつ)という細かなフケのようなものがみられます(カンナ屑現象)。

合併症

癜風は、同じように癜風菌によって生じる“マラセチア毛包炎”を合併することがあります。マラセチア毛包炎の症状として、大きさのそろった小さな赤い発疹丘疹(きゅうしん))が挙げられます。丘疹は胸や背中、肩などに左右対称に広がり、表面が光沢し、かゆみを伴うこともあります。

検査・診断

癜風が疑われる場合は、癜風菌の増殖を確認するために、病変の鱗屑を採取し顕微鏡で観察します。鱗屑は病変部分をメスで軽くこすったり、テープを貼り付けたりして採取します。

癜風菌の様子はKOH(水酸化カリウム)直接検鏡法という方法を用いて観察します。採取した鱗屑を顕微鏡で見たときに、太く短い線のような“菌糸(きんし)”や丸い“胞子”を確認することで確定診断に至ります。これらが多数観察できる状態を“スパゲティとミートボール現象”と呼びます。

菌糸や胞子が見にくい場合は、採取した鱗屑を専用の染料で染めて観察する場合もあります。

治療

癜風と診断されたら、まずは抗真菌薬の塗り薬を検討します。日本では、アゾール系やアリルアミン系と呼ばれる抗真菌薬の軟膏、クリーム、外用液が保険適用となっています。治療を開始すると比較的早期に症状が軽快し、いったんは治癒しますが、皮膚の色がもとに戻るまでには、治癒後数か月から数年程度かかる場合があります。抗真菌薬の塗り薬で改善がみられない場合は飲み薬を検討することもあります。飲み薬はイトラコナゾールが保険適用となっています。

また、癜風菌は病気でないときにも皮膚に存在する常在菌であることから、治癒後に再発しやすく、2年後にはおよそ50%が再発するという報告もあります。

予防

癜風は高温多湿の環境で発生しやすいため、予防には日頃から室温や湿度の調整を心がけることが大切です。汗をかいた後はシャワーを浴びるようにするなど、皮膚を清潔に保つことを心がけましょう。

癜風の再発予防の治療法はまだ確立されていません。しかし、近年は医薬部外品として抗真菌薬が配合されたボディソープやシャンプーも販売されており、使用によって癜風の治療・予防効果が期待できると考えられています。再発を繰り返す場合は、これらの製品の使用を考えてもよいでしょう。

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