ひゃくにちぜき こども

百日咳(こども)

口・のど

目次

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概要

百日咳(ひゃくにちぜき)は、その名の通り長期間激しい咳が続く病気で、百日咳菌を原因とする感染症です。特に6か月未満の乳児、新生児では無呼吸発作、呼吸停止を起こし死に至ることもあるため注意が必要です。治療には、マクロライド系の抗生物質が菌の抑制に使用されます。発症の予防と重症化を防ぐために、定期接種となっている4種混合ワクチンを早期に接種することが大切です。

また、百日咳に感染した場合、感染を広げないように特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまでは、登校・登園は停止するように学校保健安全法で定められています。登校・登園許可証が必要な場合は医療機関にご相談ください。

原因

百日咳は、百日咳菌が原因となる感染症です。名前の通りに、激しい咳が長期間続きます。潜伏期間は7~10日間程度です。主な感染経路は、飛沫(ひまつ)感染・接触感染であり、感染力が非常に強いことが知られています。患者さんと家族内で接触した場合の感染率は実に90%程度であると考えられています。しかし、患者さんや周囲の方がマスクを着用することによって、ある程度の予防効果が期待できます。予防接種が定期接種となっていますが、効果は4~12年程度であるため、予防接種の効果が減弱あるいは消失した成人での発症や、成人から乳児への感染が問題になっています。

症状

百日咳の症状はカタル期、痙咳(けいがい)期、回復期の3つの期間に分けられます。

カタル期(1~2週間)

百日咳の初期の症状は咳や鼻水など、いわゆる「風邪」の症状です。発熱は微熱か、平熱であることが大半です。徐々に乾いた咳が強くなります。

痙咳期(2~4週間)

痙咳期には、百日咳に特徴的な咳発作が徐々に見られるようになります。短い咳が連続的に起こり、続いて息を吸う際にヒューという笛のような音が出る発作が繰り返されます(ウーピング)。

発作がないときには無症状ですが、気管への刺激があったときなどに発作が起きるようになります。激しい咳のために体力が消耗し、咳き込んで嘔吐をしたり、顔の赤みやむくみが出たりすることもあります。発熱はないか、あっても微熱のことが多いです。

回復期(2~3週間.人により数か月)

痙咳期を過ぎ回復期になると咳発作は少なくなっていきますが、完全に発作がなくなるまでに数か月(名前の通り100日以上)かかることもあります。

新生児や6か月未満の乳児の場合、無呼吸発作(息を止めてしまう)やチアノーゼ(血液中の酸素濃度が低下し皮膚(ひふ)や唇が青紫になる)といった症状をきたすことがあります。重症な場合には、酸素投与・人工呼吸などの処置が必要になります。また、痙攣(けいれん)や呼吸停止が起こり重篤な場合には死に至ることもあります。成人も含め年長児以降の場合は症状が比較的軽く、長引く咳を呈することが多いです。このため、医療機関を受診することも少なく、診断の遅れにつながります。また、受診しても検査ではっきりと診断することが容易でない場合も多いです。

検査・診断

百日咳の診断には、症状や周囲の流行状況が手掛かりとなります。また、菌培養や、血清学的検査、血液検査や遺伝子検査などを通して診断へとつなげます。血液検査では、白血球数が増多し、特にリンパ球が増加(70%以上)することもあります。菌培養で陽性が出た場合は確定診断となりますが、菌が検出されにくい場合などもあるため、同定が困難になることも考えられます。そのほか、血清学的検査、遺伝子検査なども行うと診断の確実性が担保されます。

治療

百日咳の治療には、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系の抗生物質を使用し、菌の増殖を抑えます。また、水分補給や栄養補給をきちんとすることも大切です。咳き込んで嘔吐することがあるので、母乳やミルクは少量ずつ回数を多く摂取するようにしましょう。また、部屋の加湿・加温により咳の誘発を抑えることができます。

百日咳の主な感染経路は飛沫感染であり、患者さんや周囲の方がマスクを着用することにより予防効果が期待できます。百日咳の予防接種は、国が受けることを強くすすめる「定期接種」に入っています。百日咳は生まれて間もない時期にかかった場合に重症化しやすいことから、できるだけ早期に接種することが望ましいと考えられます。

しかし、予防接種の効果も数年で消失するため、年長児以降に百日咳に罹患(りかん)することは多いです。これらの人が感染源となり新生児・乳児に重症の百日咳感染をもたらすことが知られているため、咳が長引く場合は速やかに受診することが望まれます。