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子どもの百日咳の症状と検査方法・治療
百日咳とは百日咳菌という細菌に感染することで、激しくしつこい咳が長期間にわたり出続ける感染症です。生後6ヶ月未満の乳幼児が発症すると重症化することもあるため、ワクチンによる予防を徹底することが大...
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子どもの百日咳の症状と検査方法・治療

公開日 2017 年 11 月 09 日 | 更新日 2017 年 12 月 04 日

子どもの百日咳の症状と検査方法・治療
堀越 裕歩 先生

東京都立小児総合医療センター からだの専門診療部(内科系) 感染症科 医長

堀越 裕歩 先生

百日咳とは百日咳菌という細菌に感染することで、激しくしつこい咳が長期間にわたり出続ける感染症です。生後6ヶ月未満の乳幼児が発症すると重症化することもあるため、ワクチンによる予防を徹底することが大切です。

今回は、東京都立小児総合医療センターの感染症科医長である堀越先生に、子どもの百日咳の症状についてお話を伺いました。

この記事で書かれていること

  • 7~14日の潜伏期間を経て発症する
  • 初期には百日咳と風邪の判断が難しい。進行すると「コンコンコン、ヒュー」という特徴的な呼吸音を伴う咳がでる
  • 軽症であれば、病院で処方した抗菌薬で治療可能。生後6か月未満の赤ちゃんの場合や症状が重い場合は、入院が必要になることも

子どもの百日咳の症状と特徴

  • 初期症状として咳や頭痛・発熱などの風邪と似た症状が出る
  • コンコンコンという連続性の咳のあとにヒューという呼吸音を伴う特徴的な咳が続く

百日咳の初期症状(カタル期)

百日咳の初期症状には咳や頭痛・発熱という風邪とよく似た症状がみられます。一般的な風邪であれば1~2週間で治りますが、百日咳の場合、咳がその後も長期間にわたり続きます。その名のとおり、100日に渡る長期間、数カ月間も咳が出続けることもあります。

初期症状がみられる段階で百日咳と判断することは小児科の専門医でも難しく、お子さんが「コンコンコン、ヒュー」という特徴的な呼吸音を伴う咳が出た場合、1週間以上(1歳未満では期間の限定は無し)強い咳が続くようであれば病院を受診しましょう。

百日咳の咳の症状

初期症状が出始めてからさらに7〜14日で、「コンコンコン、ヒュー」という呼吸音を伴う特徴的な咳が出るようになります。連続する咳で肺から息を吐き切ってしまい、苦しくなり息を吸う音がヒューと聴こえ、笛のような音と表現されることもあります。この咳は比較的長い期間にわたり続きます。また年長児や大人では、普通の咳が長く続くこともあります。

しかし、多くのウイルス、マイコプラズマ、クラミジア、結核などの感染症、気管支喘息でも長期にわたり咳が続くことがあるため、判別が難しいケースもあります。

百日咳の潜伏期間

百日咳は細菌に感染してもすぐに発症せず、7〜14日の潜伏期間を経てから発症します。

発症してから3週間は菌の排出が強いため、感染力が強いことが知られています。

生後6ヶ月未満の赤ちゃんの百日咳

赤ちゃん

乳幼児にとって百日咳はリスクの高い病気であり、以下の症状が出ることもあります。

  • 無呼吸発作
  • けいれん
  • 意識消失

また生後6か月未満の赤ちゃんの場合、ワクチンを接種していないと、死に至ることもあり、治療に入院が必要になることもあります。厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/whooping_cough/index.html)上では、

「百日咳にかかった場合、一般に0.2%(月齢6ヵ月以内の場合は0.6%)のお子さんが亡くなってしまうといわれています。また、肺炎になってしまう お子さんが5%程度(月齢6ヵ月以内の場合は約12%)いるとされており、その他けいれんや脳炎を引き起こしてしまう場合もあります。」

厚生労働省「百日咳」より引用

と、紹介されています。百日咳で重症化や死亡する子供の多くは、ワクチン接種開始前の3か月未満の乳児、ワクチン接種をしていない乳児、小さく生まれた乳児、もしくは慢性の病気をもっている乳児です。

特に乳児の場合、「百日咳かもしれない」と思った時点で、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

百日咳と風邪を見分けるには?

お伝えしたとおり、初期症状の段階では百日咳を疑う材料が乏しいため、判断が難しいです。百日咳が進行すると特徴的な症状が見られるようになるので、判断がしやすくなります。具体的な判断材料は下記のとおりです。

  • コンコンコン、ヒューという呼吸音を伴う咳が1週間以上続く
  • (1歳未満の子どもの場合は、上記のような咳が出た場合、期間を伴わず百日咳を疑いましょう)
  • 咳込んだ後に嘔吐する激しい咳が続く
  • 呼吸を止めてしまう無呼吸発作を起こす(特に3か月未満の乳児にみられる)
  • 酸素が不足してチアノーゼ(唇や爪の先など皮膚や粘膜が青紫になること)が現れる
  • 百日咳のワクチン(四種混合ワクチンに含まれる)の予防接種をしていない(3か月から接種可能です)
  • 同居家族が1か月以上の長引く咳をしている

これらの症状がみられた場合、病院では次にご紹介する血液検査もしくは、培養や拡散増幅法(LAMP法)によって確定診断をします。

百日咳の検査方法

  • 血液検査
  • 培養法
  • 拡散増幅法(LAMP法)

百日咳の検査には大きく血液検査と培養法、拡散増幅法(LAMP法)の3種類があります。

血液検査

通常2回の採血が行われ、最初の血液検査と2回目の血液検査で百日咳の抗体の結果を比較して診断します。ワクチン接種でも抗体が上昇するので判断に注意が必要です。また百日咳に感染していると白血球のリンパ球数が増加するのも参考になります。

培養法

鼻の奥に綿棒をいれて、粘膜から百日咳菌の有無を調べます。しかし、培養が難しい細菌で生えないこともあります。

拡散増幅法(LAMP法)

培養法と同じく鼻の奥に綿棒のようなスワブをいれて採取し、百日咳菌の遺伝子の有無を調べる検査方法です。最も鋭敏な方法とされます。

百日咳の診断には、一般的に血液検査が主流です。しかし、培養法は結果が出るまでに1週間、血液検査だと2~3週間もの時間がかかり、早期の結果が望まれる百日咳にとってはこの点が課題でもあります。そんな中、2016年に新しく拡散増幅法(LAMP法)が登場し、最短数時間で検査結果がわかるようになりました。しかし、多くの病院では院内で検査ができず、

検査会社に外注するため数日かかります。

子どもの百日咳の治療

薬

  • 抗菌薬の服用(初期症状の段階において効果が高い)
  • 6か月未満の赤ちゃんの場合、入院が必要になることも

百日咳の症状が軽症であれば、病院で処方した抗菌薬で治療することができますが、お子さんが生後6か月未満の赤ちゃんの場合や症状が重い場合は、入院が必要になることもあります。また、百日風は細菌が出す毒素で気道が傷つけられるため、抗菌薬を服用し、細菌をやっつけたあとも、気道が回復するまでに時間がかかり、咳が続くことが多いのが特徴です。

感染から時間がたつと、菌がいなくなった後も気管支のダメージにより咳だけが続きますが、このようなケースでは、抗菌薬は効果がないため服用する必要がありません。抗菌薬は生きている百日咳菌にだけ効くからです。

 

百日咳 (堀越 裕歩 先生)の連載記事

小児患児に感染症が多いにも関わらず、それぞれの診療科が独自に感染症診療を行うという小児医療の現状を変えるべく、2008年トロント大学トロント小児病院感染症科に赴任。感染症症例が一挙に集約される世界屈指の現場において多くの臨床経験を積むとともに、感染症専門科による他診療科へのコンサルテーションシステム(診断・助言・指導を行う仕組み)を学ぶ。2010年帰国後、東京都立小児総合センターに小児感染症科設立。立ち上げ当初、年間200件~300件だったコンサルタント件数は現在1200件を超える。圧倒的臨床経験数を誇る小児感染症の専門家がコンサルタントを行うシステムは、より適正で質の高い小児診療を可能にしている。現在は後進育成にも力を注ぐ。

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