原因
睡眠相後退症候群のはっきりとした原因は、現在のところ明らかになっていませんが、いくつかの要因が指摘されています。その1つとして、夜型の遺伝子の存在が確認されており、それにより思春期頃から就寝時刻の後退が生じます。また、気分障害や不安症(不安障害)などの病気、限局性学習症(学習障害)、注意欠如多動症、自閉症スペクトラムなどの神経発達症、あるいは慢性疲労などによる体調不良が原因となることがあります。これらの状態では、正常な生活リズムに戻ることに対する心理的苦痛から、翌日の起床や、登校・通勤を避けようとする行動が生じ、結果的に寝つきの悪化や起床困難につながることがあります。さらに近年では、インターネットの普及に伴い、ゲームやSNS、動画視聴のデジタルコンテンツの影響が生活リズムを乱すきっかけとなるケースもあります。
日光を浴びる時間が減ったり、適切でないときに日光を浴びてしまったりすることで、体内時計をうまく調整できなくなることもあります。また、明るい部屋で眠る、眠る直前まで携帯電話やパソコンなどの強い光を浴びることなどによって光に対する感受性が弱まり、日光を浴びても体内時計を調整できなくなる可能性もあると考えられています。
私たちの体内時計の周期は通常24時間より少し長いとされており、起床時に日光に当たることなどによって周期をリセットし、社会生活に必要な24時間周期に合わせる仕組みがあります。しかし、睡眠相後退症候群では、この仕組みがうまく機能しなくなり、睡眠や覚醒のリズムに乱れが生じていると考えられます。
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