すいみんそうこうたいしょうこうぐん

睡眠相後退症候群

同義語
DSPS,睡眠・覚醒相後退障害,DSWPD
最終更新日:
2025年03月19日
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2025/03/19
更新しました
2017/04/25
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概要

睡眠相後退症候群とは、睡眠・覚醒のタイミングが、慣習上または社会的に許容される時間帯より2時間以上相対的に後退する状態のことです。その結果、明け方に寝て昼過ぎに起きるなど、寝入る時間帯と起きる時間帯が遅くなり、いわゆる“昼夜逆転”のような生活になり、社会生活に大きな支障をきたす状態となります。

睡眠相後退症候群は、はっきりとした原因は明らかではありません。これは、朝起きられないと一言でいっても、夜型の遺伝子の影響や、日常生活(学校生活や職場)への不適応、生活リズムの乱れなど複数の要因が関与しているためです。特に若い世代に多くみられ、夜になかなか寝付けないことで、学校や仕事のために朝になって起きようとしてもまったく起きられない状態に陥ります。また、無理に起床しても眠気や頭痛食欲不振などの症状を引き起こすことがあります。

治療としては、体内時計をリセットすることを目的とした高照度光療法や、体内時計を制御するメラトニンなどを用いた薬物療法によって睡眠のリズムを整えることが主体となります。

原因

睡眠相後退症候群のはっきりとした原因は、現在のところ明らかになっていませんが、いくつかの要因が指摘されています。その1つとして、夜型の遺伝子の存在が確認されており、それにより思春期頃から就寝時刻の後退が生じます。また、気分障害や不安症(不安障害)などの病気、限局性学習症(学習障害)、注意欠如多動症、自閉症スペクトラムなどの神経発達症、あるいは慢性疲労などによる体調不良が原因となることがあります。これらの状態では、正常な生活リズムに戻ることに対する心理的苦痛から、翌日の起床や、登校・通勤を避けようとする行動が生じ、結果的に寝つきの悪化や起床困難につながることがあります。さらに近年では、インターネットの普及に伴い、ゲームやSNS、動画視聴のデジタルコンテンツの影響が生活リズムを乱すきっかけとなるケースもあります。

日光を浴びる時間が減ったり、適切でないときに日光を浴びてしまったりすることで、体内時計をうまく調整できなくなることもあります。また、明るい部屋で眠る、眠る直前まで携帯電話やパソコンなどの強い光を浴びることなどによって光に対する感受性が弱まり、日光を浴びても体内時計を調整できなくなる可能性もあると考えられています。

私たちの体内時計の周期は通常24時間より少し長いとされており、起床時に日光に当たることなどによって周期をリセットし、社会生活に必要な24時間周期に合わせる仕組みがあります。しかし、睡眠相後退症候群では、この仕組みがうまく機能しなくなり、睡眠や覚醒のリズムに乱れが生じていると考えられます。

症状

睡眠相後退症候群は一般的な“夜更かし”など、自発的に夜遅くまで起きているケースとは異なり、生活リズムが乱れて自分で修正するのが困難となるため、学校や仕事などの社会生活に大きな支障を引き起こします。

特に思春期から青年期にかけて発症することが多く、無理をして社会生活にリズムを合わせることで日中の眠気、倦怠感、頭痛、頭重感、食欲不振などの身体症状が生じるようになります。また、学校の試験といった大切なスケジュールがあっても朝起きることができないことで、重要な機会を失うなど社会的な問題も引き起こされます。

また、睡眠相後退症候群は、パーソナリティ障害、不安症、気分障害などの精神的な病気を併発するケースがあるのも特徴です。

検査・診断

睡眠相後退症候群が疑われるときは、入眠時間や起床時間、日中の活動などを記録して総合的に診断されます。

また、睡眠相後退症候群は不安症や気分障害などの精神的な病気を併発するケースがあるため、これらの病気が疑われる場合は必要に応じて検査などを行うこともあります。

治療

睡眠相後退症候群と診断された場合は、生活リズムのズレを改善するための治療が必要となります。具体的には、体内時計のズレをリセットするため午前中に高照度光を浴びる高照度光療法を行ったり、体内時計の制御に関わるメラトニンという脳内物質を調節する薬を用いた薬物療法を行ったりします。また、これらの治療のほかにも毎日同じ時間帯に起きるといった対策を行います。しかし、強制的に睡眠リズムを通常の時間帯に戻そうとすると、かえって体調を崩してしまうケースもあります。このような場合には、患者の生活リズムを考慮し、学校や勤務時間を個人の睡眠パターンに合わせて調整するという柔軟なアプローチを検討することも有効な選択肢となります。

予防

睡眠相後退症候群では“昼夜逆転”のような乱れた生活リズムになりますが、意図的に夜更かしすることで発症するわけではありません。そのため、確実に予防できる方法はないのが現状です。

一方で、睡眠相後退症候群は精神的な不調や社会的な悩みなどが背景にあるケースもあります。夜寝入りにくい、朝起きられないといった症状が続くときは軽く考えず、できるだけ早めに医師に相談するようにしましょう。

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