あすべすとかんれんしっかん

アスベスト関連疾患

同義語
石綿肺,アスベスト症
俗称/その他
アスベスト肺
最終更新日:
2021年06月18日
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2021/06/18
更新しました
2017/04/25
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概要

アスベストとは、天然に採取される鉱物の一種であり、石でありながら軽い綿状の性質を持つことから、石綿(せきめん、いしわた)とも呼ばれる物質です。

加工しやすいことに加えて、耐火性・断熱性・電気絶縁性が高く、一時期は断熱材や保温材、防音材として建築物に多く使用されていましたが、アスベストを吸入すると肺がん悪性中皮腫(あくせいちゅうひしゅ)などの悪性疾患をはじめとした健康被害を引き起こすことも知られており、現在日本では使用が禁止されています。しかし、建築材として過去に使用されたものについては今でも残存している部分もあります。

また、アスベストに関連した健康被害は数日や数か月後に出現するというものではなく、中には数十年経ってから発症するものもあります。そのため、一時的なものではなく、長期的に続く問題と捉える必要があります。

原因

アスベストはその性質上非常に軽く、環境中に飛散しやすい物質です。多くの建築物で使用されていた過去があり、たとえば老朽化した建物や工事現場などからアスベストが環境中に撒き散る可能性があります。

空気中に漂うアスベストを吸い込んでも、多くは痰などに混じって体の外に排泄されます。しかし、吸い込んだ量が多い場合は、完全に排泄されずに肺・胸膜(肺を覆っている膜)に沈着することがあります。

特に長期間アスベストに曝露(ばくろ)されると、よりいっそう肺・胸膜にアスベストが沈着する危険性が高まります。アスベストは人の目には見えないほど細かい繊維からなっており、体内の中でも特に肺組織の深くにある肺胞(はいほう)、胸膜に沈着します。肺に沈着したアスベストは異物としてマクロファージという細胞が排除しようとしますが、排除されない場合には長期にわたって肺にとどまり、炎症が生じることになります。肺、胸膜の組織が長い間傷つけられ、発生した炎症性物質によりDNAが損傷された結果、遺伝子異常が生じ、細胞ががん化すると考えられています。喫煙はDNAを損傷するため、喫煙者ではさらにリスクが高まると考えられています。

症状

アスベストに関連した健康被害は、肺がん悪性中皮腫、アスベスト肺などが中心です。アスベストに曝露されて数十年経ってから(15年~40年ほどといわれています)、これらの病気に関連した症状が出現します。具体的な症状としては咳や息切れ、胸の痛みなどがあり、原因不明の体重減少から発見されることもあります。

そのほかにも、指先が太鼓のバチのような形になることもあります(バチ指)。アスベスト肺では、特に肺の下のほうに病変が生じることが多く、背中に耳を当てるとバリバリという呼吸音が聞こえることもあります。

検査・診断

アスベストに関連した健康被害は肺に影響が現れるため、X線や胸部CTなどの画像検査が行われます。画像検査によって肺がん悪性中皮腫などの腫瘍(しゅよう)性病変が認められたり、胸膜と呼ばれる肺を覆う組織が分厚くなっていることが確認されたりします。また、胸水がたまっていることもあります。アスベスト肺では肺の組織が障害を受けており、肺の線維化や石灰化などを認めます。

そのほかにも、喀痰(かくたん)検査と呼ばれる痰の検査が行われることもあります。痰の中にがん細胞がみられたり、アスベストに関連した物質が特定できたりすることもあります。胸水を採取し、その中に悪性細胞をみることもあります。また、病変部位の実際の組織を採る生検では、顕微鏡で悪性腫瘍を診断します。

治療

アスベストにより引き起こされた病気によって、治療方法は異なります。たとえば、肺がん悪性中皮腫の治療では、手術、化学療法、放射線療法が行われます。アスベストに関連した健康被害に対して、アスベストに曝露されないような環境づくりが大切です。また、アスベストに関連した健康被害は数十年後に発覚することが多いため、建築業に関係する人をはじめ、アスベストに継続的に曝露される可能性のある人は定期的な検診を受けることが大切です。喫煙者はアスベストによる健康被害を発症するリスクがさらに高まります。そのため、積極的な禁煙が重要です。

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