治療
過食症の治療は外来通院治療が基本であり、安定した治療関係のもとで患者を取り巻く重要な対人関係をめぐる生活環境上の問題を扱います。同時に最近では食行動異常に特化された認知行動療法的アプローチがとられています。過食症の患者では、公私にわたる複合的なストレスが要因になり、ストレスに対処する方策として過食が生じていることが大半です。そのため、過食・嘔吐の背後に潜む不適切な自己評価や対人関係上の問題など、病状発症の根源に対して1つひとつ具体的に明らかにしつつ対処することで治療を進めることになります。
また、過食症の治療においては、家族に対する治療者からの援助も大切です。両親に対する治療者からの心理的な支えは、長期的な観点からも重要なポイントです。また神経性過食症では自助グループなど集団療法の活用も有効とされます。
過食症の経過中には、身体的な問題を抱えることもあります。電解質異常を抱える場合には不整脈を発症するリスクもありますので、入院治療が行われることもあります。さらに、抑うつ気分が強くなることに関連して、自殺が懸念される状況もあるため、患者の生命保護の観点からの入院適応となることもあります。
過食症は、神経性食欲不振症と同様に完治を目指すことが難しい病気であると考えられています。過食による症状を緩和しつつ病気の寛解状況が保てるよう、見守りの姿勢で対処することが重要です。
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