概要
線維性骨異形成とは、正常な骨が線維組織や異常な骨組織によって置き換わってしまう病気のことを指します。一つの骨が影響を受けることがある一方、複数の骨が異常を示すこともあります。
10〜30代の若年層に多い病気であり、骨疾患としては比較的頻度の高いものです。
発症すると骨がもろくなったり、骨折や局所の腫れがみられたりすることもありますが、無症状であることも少なくありません。
原因
線維性骨異形成は、骨を作る細胞に遺伝子異常が生じることを原因として発症すると考えられています。ただし、親から遺伝するタイプの遺伝子異常ではなく、孫など次世代に遺伝して病気が伝わるというものでもありません。
また、線維性骨異形成は、マッキューンオルブライト症候群と呼ばれる病気に関連して生じることもあります。
この病気も遺伝子異常により症する病気ですが、骨を形成する細胞以外にも遺伝子異常が生じるため、皮膚やホルモン産生臓器など各種臓器に異常がみられます。
症状
骨の変形や脆弱性(弱くもろいこと)、骨折、局所の腫れなどが起こります。
一か所の骨に病変が生じる場合、大腿骨や脛骨といった下肢の骨に生じることが多いです。影響を受ける骨によって、左右の足の長さの差、痛みによる歩行障害などがみられます。
また、下肢以外にも頭蓋骨が障害を受けることもあります。頭蓋骨が障害を受けると、周囲の神経が圧迫されることがあるため、視力低下や複視(ものが二重に見える)などの症状が現れる場合もあります。そのほかにも、眼球が飛び出てしまったり、頭痛が出現したりします。
マッキューンオルブライト症候群に関連した発症の場合
マッキューンオルブライト症候群と関連して発生する線維性骨異形成の場合、骨以外の臓器にも症状が現れます。
生まれつき、カフェオレ斑と呼ばれる皮膚の色調変化がみられたり、甲状腺機能亢進症、末端肥大症、クッシング症候群、思春期早発症などのホルモン異常が現れたりすることもあります。
これらホルモン異常と関連して、動悸や疲れやすさ、震え、手足の肥大、肥満、高血圧、高血糖、糖尿病、性発来の異常など、多種多様な症状・病状を示します。
検査・診断
線維性骨異形成では、レントゲン写真やCT検査、骨シンチグラム、MRIといった画像検査を行い骨の病変を詳細に確認します。組織の一部を採取して、顕微鏡で詳しく観察する病理検査が行われることもあります。
身体診察や経過からマッキューンオルブライト症候群が疑われる場合には、血液検査や尿検査などを行い内分泌の異常を確認します。
また、異常を現す組織の一部を採取して、遺伝子検査を行うこともあります。
治療
治療方法は、病変が生じている部位、痛みの有無、神経症状の有無などに応じて決定されます。もし大きな自覚症状がない場合には、無治療のまま経過観察することもあります。
痛みが強い場合や骨折が懸念される場合、神経症状を引き起こしている場合などには手術的な治療方針が検討されます。具体的にどのような手術を行うかは、病変が生じている部位も考慮しつつ判断されます。
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