はいぶんかくしょう

肺分画症

肺

目次

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概要

肺分画症とは、正常な空気の通り道(気管支)と交通がなく、肺動脈ではなく大動脈からの血液で栄養される異常な構造の肺のことを指します。肺は空気中の酸素を身体に取り込み、体外に二酸化炭素を排出する役割を持つ臓器です。そのため、肺が正常にはたらくためには、空気との物理的な交通性を持っていることが必須です。また、正常な肺は肺動脈および気管支動脈に由来する血液によって栄養を受けることも特徴のひとつです。

しかし、肺分画症では、(1)気管支との交通性、(2)肺動脈からの血液支配、の2つの特徴が損なわれています。つまり、肺分画症では、肺の組織が空気の通り道から隔絶されてしまい、正常なガス交換を行うことができません。さらに、血液の供給も肺動脈ではなく大動脈から受けるようになっています。

肺分画症は先天性のものであり、胎児エコー検査をきっかけにして発見されることが多くあります。しかし、出生前には見極められないケースもあります。その場合、無症状で経過し、健診などのレントゲン写真で指摘を受けることもあります。そのほか、繰り返す肺炎や血痰などが診断のきっかけになることもあります。

肺分画症の診断を受けた際には、そのほかの臓器合併症がないかどうかを含めた精査が必要です。また、出産に関しても、高度医療の可能な施設での分娩が検討されます。肺分画症の治療は、基本的には異常構造を示す肺の外科的な切除術です。無症状であっても、後に肺炎を繰り返すリスクや心不全を発症する可能性もあるため、治療介入の妥当性について検討される疾患です。

原因

肺分画症のはっきりした原因は明らかにはなっていません。しかし、肺の組織が形作られる過程で異常が発生し、肺分画症が生じると考えられています。
 

症状

多くの場合、赤ちゃんに大きな症状がみられることはありません。しかし、胎児期の間に、赤ちゃんが心不全を起こしている状態である胎児水腫がみられることもあります。一方、胎児期や出生時に明らかな症状を伴わずに、新生児期、乳児期を過ごすケースもあります。

また、肺分画症は、そのほかの合併奇形を有することもあります。肺分画症の程度や合併症の有無によっては、出生後から呼吸障害が現れることもあり、さまざまな治療を組み合わせて行うことが必要とされます。

そのほか、繰り返す喀血(かっけつ)や肺炎(発熱や咳、呼吸障害など)を生じることもあります。また、肺分画症の程度が非常に強い場合、異常な肺構造に対して心臓が多くの血液を送ることになり、心不全症状が現れることもあります。心不全を発症すると具体的には、息切れや動悸、疲れやすさや咳、痰などの症状が出現します。

検査・診断

肺分画症は、出生前の胎児エコー検査をきっかけとして疑われることがあります。また、胸部単純レントゲン写真でも病気を疑うことがあります。より詳細に異常が起こっている部分を確認するために、胸部CT検査も行われます。

肺分画症を診断するためには、異常な肺構造に対して血液が大動脈を介して送られていることを同定することが必要です。これを確認するために、造影剤を用いたCT検査や血管造影検査、MRI検査などもおこなわれます。

治療

肺分画症が胎児期にみられた場合でも、多くは妊娠を継続することが可能です。しかし、胎児水腫の状態に陥ると、胎児に対しての治療介入(胎児の胸に針を刺して胸水を抜くなど)が検討されます。胎児の状態によっては、満期に達していない場合でも早期の出産を計画します。この場合には分娩後に赤ちゃんの状態が安定しないことも予測されるため、新生児医療に特化した施設での分娩が勧められます。

肺分画症は、異常な血管構造を含めて、異常な肺を手術的に摘出する治療方法がとられます。無症状のままで発見されることもある疾患ですが、肺分画症の異常構造物を放置することで肺炎を繰り返す可能性があることや、心不全を続発するリスクが伴うことなどを考慮して、手術介入を行うことが前向きに検討されます。

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