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肺分画症とは?肺葉内か肺葉外かで症状や治療法が異なる

肺分画症とは?肺葉内か肺葉外かで症状や治療法が異なる
内田 広夫 先生

名古屋大学大学院医学系研究科 小児外科学教授

内田 広夫 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年12月07日です。

正常な肺とは別に異常な肺が生じる「肺分画症(はいぶんかくしょう)」には、肺葉内にできるものと肺葉外にできるものがあり、それぞれで症状や手術方法が異なります。

今回は、名古屋大学大学院医学系研究科 小児外科教授である内田広夫先生に、肺分画症の症状や手術方法についてお話を伺いました。

肺分画症(はいぶんかくしょう)とは、正常な肺の外側または内側に、異常な肺(分画肺)ができる病気です。

正常な肺は、気管支によって空気の出し入れを行っていますが、分画肺には空気の通り道となる気管支が正常な気管支とつながっていません。また、正常な肺は肺動脈から栄養されていますが、分画肺には肺動脈がなく、代わりに大動脈から分岐する異常血管からの栄養で存在しています。

肺分画症

肺分画症は、分画肺が肺の内側にできる「肺葉内肺分画症」と外側にできる「肺葉外肺分画症」の大きく2種類に大別されます。

肺葉内肺分画症では、分画肺と正常な肺はつながって存在していますが、肺葉外肺分画症では、分画肺は正常な肺からは独立した形で存在しています。

そのため、同じ肺分画症であっても、肺葉内か肺葉外かで症状や治療法が大きく異なります。次項では、肺分画症の種類別の症状について解説します。

肺葉内肺分画症では、分画肺の中にある異常な気管支が、正常な肺とつながっていることはほとんどないため、気道内に分泌され溜まったものが出る通り道がありません。そのため、近くの肺の炎症の影響を受けやすく、細菌感染を起こしやすいことから、結果的に肺炎などの感染症を発症することがあります。

このとき、肺炎の症状として発熱や咳、痰などがみられます。

一方、正常な肺から完全に独立している肺葉外の分画肺は、肺炎などの感染症を起こすことはほとんどありません。また、肺分画症そのものによる症状はないことがほとんどです。

しかし、まれに分画肺が捻れる「捻転(ねんてん)」が生じることがあります。分画肺が捻転すると、分画肺に流れる血流が遮断されるため、分画肺が腐敗し始めます。そして、腐敗した分画肺は、検査画像上で肺腫瘍や縦隔腫瘍と似たような像を呈することが多く、肺分画症の診断が遅れる場合があります。また、捻転による痛みを生じることもあります。

肺分画症は妊婦健診で行う超音波検査(エコー)によって胎児期に診断できることもあり、肺分画症を発症している場合には、分画肺の中に肺動脈ではない異常血管が認められます。

生後は超音波検査と胸部レントゲン検査を行います。また、肺分画症では手術を行う必要があるため、術前に詳細な情報を得るために、CT検査(エックス線を使って体の断面を撮影する検査)も行います。

肺分画症と診断されたら、分画肺を切除する手術を行います。

当院では、通常胸腔鏡手術で行っています。胸腔鏡手術とは、胸に1cm程度の穴を3〜4か所あけ、そこから胸腔内を観察するためのカメラ(胸腔鏡)や、手術の器具を挿入して行う手術です。

切除方法は、肺葉内肺分画症か肺葉外肺分画症で異なります。次項でそれらについて解説します。

肺葉内分画症

肺葉内にある分画肺を切除する場合には、分画肺がある肺葉ごと切除をします。たとえば、左下葉の一部分に分画肺がある場合には、左下葉ごとすべて切除します。

また、肺葉を切除する際に、本来綺麗に分かれているはずの肺葉がうまく分離されていない「分葉異常」がみられる場合、手術の難易度が高くなります。これは分葉異常が起きていると、肺葉の分かれ目を作りながら肺葉の切除を行わなくてはいけないためです。そのため、分葉異常に対する肺葉切除は、通常の肺葉切除に比べて手術時間が長くなります。

肺葉外にできた分画肺を切除する場合には、分画肺だけを摘出する手術を行います。肺葉内肺分画症とは異なり、正常な肺を切除する必要はありません。

先ほどもお話ししましたが、肺葉外肺分画症は、肺からは完全に独立した組織であるため、肺炎などの感染症を起こす確率は高くはありません。そのため、切除せずに経過観察だけでよいのでは、ともいわれることもあります。

しかし、感染症が起こるリスクは少なからずあり、捻転が生じると痛み、発熱などを伴うこともあるため、当院では肺葉外肺分画症であっても時期をみて原則切除を行うようにしています。

術中、まれに肺や心臓、大血管などの臓器の損傷(副損傷)が起きることがあります。この場合には、術中に損傷部位の修復を行います。

また、肺は血流が豊富な臓器であるため、術中に大量の出血が起こることがあります。出血が生じた場合には、輸血が必要となることもあります。

術後に気胸(肺に穴が開き、肺がつぶれること)を発症すると、胸腔内への空気漏れが持続して、退院が延びることがあります。胸腔にドレーンという管を挿入して、体外に空気を排出することで治ることが多いですが、場合によっては気胸に対する手術を行う必要もあります。

創部(手術によってできる傷)から細菌が感染して、創部が化することがあります。創部の状態によって、抗生剤の投与や、切開排膿などの処置を行います。

また、まれに胸腔内に膿瘍(のうよう)が生じることがあり(胸腔内膿瘍)、この場合にはドレーンを挿入して排膿する処置が必要となることもあります。

胸腔鏡手術では、胸を膨らませるためのガスを使用します。まれに、このとき使用するガスが皮下に漏れて、皮下気腫が起こることがあります。皮下気腫は自然と治ることがほとんどですが、時間がかかることもあります。

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