はいせんがん

肺腺がん

最終更新日:
2024年10月17日
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2024/10/17
更新しました
2018/08/02
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概要

肺腺がんとは、肺に発生するがんの一種です。肺がんの組織(細胞の集まり)を詳しく顕微鏡で調べると、がんの細胞の特徴に応じて以下の4つのタイプに分類されます。

  • 腺がん(肺腺がん)
  • 扁平上皮(へんぺいじょうひ)がん
  • 大細胞がん
  • 小細胞がん

肺腺がんは、肺がんの中でももっとも頻度が高く、肺がんの約半数を占めるといわれています。肺がんの代表的な原因として喫煙習慣が指摘されていますが、肺腺がんは喫煙習慣がない場合でも発生するケースが多いといわれています。

肺がんを発症すると、咳や痰、血痰(血液が混ざった痰)、胸痛、呼吸苦などの症状が生じることがありますが、肺腺がんはほかのタイプの肺がんよりも症状が現れにくいのが特徴です。

原因

肺がんの原因には喫煙習慣やアスベストの吸入、大気汚染などが挙げられますが、肺腺がんはこれらの原因がなくても発症するケースが多いとされています。

また、肺腺がんはEGFR遺伝子*など特定の遺伝子異常を原因として発症することがあります。しかし、こうした特定の遺伝子異常は全ての患者にみられるわけではなく、原因がはっきり分からないケースも少なくありません。

*EGFR遺伝子:細胞の増殖に関わる上皮成長因子受容体(EGFR)というタンパク質を作り出す遺伝子

症状

肺腺がんは、初期段階では自覚症状が生じにくいといわれています。自覚症状がないまま、健診などで撮影したX線写真をきっかけに診断に至るケースがあります。

進行すると咳、痰、血痰、呼吸苦などの呼吸器症状や、動悸、胸痛などの症状も引き起こされるようになります。さらに、がんが大きくなって周囲の神経にダメージを与えると、嗄声(声が枯れる)や物が飲み込みにくくなるといった症状が現れることがあります。

検査・診断

肺腺がんが疑われる場合は、以下のような検査が行われます。

画像検査

肺の中に病変があることを確認するだけでなく、位置や大きさ、リンパ節や他臓器への転移がないか調べるためにX線、CT、MRI、PET-CTなどによる画像検査を行います。近年ではCTなどの画像検査の精度が上がったため、ごく早期段階の肺腺がんも発見することができるようになっています。

気管支鏡検査

気管支に内視鏡を挿入してがんの疑いがある部位を詳しく観察する検査です。病変がある場合には組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる病理検査を行い、確定診断を下します。

生検

がんの組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査です。気管支鏡検査で到達できる範囲にがんがある場合は、気管支鏡を用いて組織を採取します。一方で、気管支鏡では到達しにくい範囲にがんがある場合は、がんの位置をCT画像で確認しながらがんの病変に向かって皮膚から針を刺して採取するCTガイド下生検を行うことがあります。

血液検査

全身の状態を評価し、肺がん腫瘍(しゅよう)マーカーを調べるために補助的に血液検査を行うことがあります。

遺伝子検査

肺腺がんは特定の遺伝子変異(異常)によって引き起こされることが分かっているため、生検で採取した組織を用いて遺伝子変異の有無を調べます。治療方針を決めるうえで重要な検査です。

治療

病気の広がり具合、肺がんの細胞が持つ特徴、患者の年齢や全身状態などを総合的に評価し、手術療法や化学療法、放射線療法、分子標的薬などを適切に組み合わせて治療を行います。

近年は検査技術が向上し、ごく早期の肺腺がんが発見可能となっており、手術治療においては小さな範囲のみ切除する負担の少ない手術(縮小手術)も行われるようになっています。また、薬物療法においては、肺腺がんの原因となるさまざまな遺伝子変異をターゲットとした分子標的薬や、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つよう作用する免疫チェックポイント阻害薬を使用した治療が進んでいます。

予防

肺がんは喫煙習慣が発症の大きなリスクとなりますが、肺腺がんは喫煙習慣がない場合でも発症するケースが多く、確立した予防法はないのが現状です。早期段階では自覚症状が出にくいため、定期的に健診や人間ドックを受けるとよいでしょう。

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