だつぶんかがたしぼうにくしゅ

脱分化型脂肪肉腫

同義語
DDLPS
最終更新日:
2024年07月09日
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2024/07/09
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概要

脱分化型脂肪肉腫は、脂肪肉腫というがんの一種で、皮下や筋間*などの脂肪組織の細胞に悪性の腫瘍(しゅよう)が生じる病気です。

全身の骨や軟部組織(筋肉や脂肪、神経など)に悪性の腫瘍ができる病気を肉腫(サルコーマ)といい、そのうち脂肪組織の細胞から発生する悪性の腫瘍を脂肪肉腫と呼びます。脂肪肉腫には、“高分化型”、“脱分化型”、“粘液型”、“多形型”、“粘液多形型”の5種類があり、それぞれ悪性度や発生部位、好発年齢などが異なります。

脱分化型脂肪肉腫は脂肪肉腫の5つの中で高分化型脂肪肉腫に次いで多くみられ、40~50歳代で多く発症するといわれています。脂肪肉腫の中でも悪性度が高く、後腹膜**に発生しやすい点が特徴です。

脱分化型脂肪肉腫の原因はまだ完全に解明されていませんが、何らかの遺伝的変異が関与していると考えられています。また、約10%は高分化型脂肪肉腫から発生するといわれています。

治療では、まず手術による腫瘍の切除を検討し、切除が難しい場合や遠隔転移がある場合には化学療法や放射線療法を選択します。

*筋間:筋組織と筋組織の間

**後腹膜:胃や腸などの臓器が入った部分を腹膜といい、腹膜と背骨の間に位置する領域を後腹膜という。

原因

脱分化型脂肪肉腫の90%以上に、がんの抑制に関わるMDM2遺伝子や細胞増殖に関わるCDK4遺伝子の変異が関与していると考えられています。しかし、なぜ遺伝子変異が起きるのかについては分かっていません。

症状

自覚症状がみられることが少ないため、健康診断などの画像検査で偶然発見されることも多いといわれています。

脱分化型脂肪肉腫は後腹膜や四肢に多く発生します。発生部位にしこりや腫れを生じることもありますが、症状が乏しいため発見される頃には10cmを超える巨大な腫瘍になっていることもあります。後腹膜腔*に非常に大きな腫瘍が生じている場合には、お腹が張って苦しい、便が出にくいなどの症状がみられることもあります。

*後腹膜腔:腹膜の背中側にある空間のこと。

検査・診断

診断ではまず血液検査と画像検査(X線検査・CT検査・MRI検査)が行われます。多くの場合、血液検査では異常はみられません。また、画像検査では腫瘍の存在を確認できても、どのようなタイプの腫瘍であるかを判断することはできません。そのため、診断を確定するためには腫瘍の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる生検が必要となります。生検の結果により治療の方法を決定しますが、腫瘍が皮下など浅い場所に生じており小さい場合などは手術で腫瘍切除を行う場合もあります。

治療

脱分化型脂肪肉腫の治療では、まず手術による腫瘍の切除を検討します。がん細胞が周辺組織に広がっていることも考慮し、通常は腫瘍だけでなく周辺組織も一緒に切除する広範切除術を行います。場合によっては、腫瘍周囲の臓器*の合併切除が必要になることもあります。

切除が難しい場合や転移がある場合には、化学療法や放射線療法が行われます。化学療法ではドキソルビシンの単剤投与が第一選択となっています。このような治療を行っても、脱分化型脂肪肉腫はほかのタイプと比べて再発や転移が起こりやすく、2年前後で約50%の人に局所再発が生じるといわれています。しかし、最近ではMDM2阻害薬やCDK4阻害薬など新薬の開発が進められており、切除が難しい脱分化型脂肪肉腫に対する有効な治療法として効果が期待されています。

*腫瘍周囲の臓器:四肢などでは皮膚、筋肉や骨。後腹膜腔では腸、肝臓、脾臓、膵臓など。

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