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じんうにょうかんがん

腎盂尿管がん

最終更新日
2022年11月17日
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2022/11/17
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

腎盂尿管(じんうにょうかん)がんとは、腎臓で作られた尿が集まる“腎盂”と腎盂から膀胱へつながる“尿管”から発生するがんのことです。

発症すると尿に血が混ざるようになり、がんが大きくなり尿の流れがうっ滞すると腎盂や尿路が拡張する“水腎症”と呼ばれる状態が引き起こされ、背中や脇腹の痛み、発熱などの症状がみられることがあります。また、腎盂尿路がん患者の30%は膀胱がんを併発するとされています。

基本的な治療は手術ですが、抗がん剤などによる薬物療法や放射線療法が必要になる場合もあります。また、進行している場合には尿管が閉塞(へいそく)していることもあり、腎臓に管を通して生成された尿を体外へ排出させる“腎ろう手術”を行うことがあります。

原因

腎盂尿管がんの原因ははっきり分かっていない部分もありますが、喫煙習慣、尿路結石や尿感染症などによる慢性的な炎症などが発症リスクを高めるとの指摘があります。

また、そのほかにも鎮痛剤であるフェナセチンや抗がん剤であるシクロスホスファミドなどの薬剤の使用や一部の塗料への曝露によって腎盂尿管がんの発症率が上昇すると報告されています。

症状

腎盂尿管がんでもっともよくみられる症状は尿に血液が混ざる“血尿”です。ごく初期の段階では肉眼で分かる血尿はみられませんが、進行してくと肉眼でも分かるような血尿がみられるようになります。

また、尿中の血液が固まると尿管を詰まらせて尿がうっ滞し、腎盂や尿管が拡張する“水腎症”の状態になることがあります。このような状態になると、背中や脇腹の痛み、排尿痛、頻尿などの症状が引き起こされ、長期間にわたってこの状態が改善されない場合は腎臓の機能が低下していきます。

検査・診断

腎盂尿管がんが疑われるときには、次のような検査が行われます。

画像検査

がんの有無を確認し、がんの大きさや位置、転移の有無を調べるために画像検査が行われます。もっとも簡便に行うことができるのは超音波検査ですが、詳細な評価をする場合にはCT、MRI、PETなどの検査が必要になります。

血液検査、尿検査

腎機能や貧血の有無などの評価を行うために血液検査が行われます。また、尿検査では血液やがん細胞の混入の有無が調べられます。血液検査や尿検査では腎盂尿管がんの診断を下すことはできませんが、診断のための手掛かりの1つとして行われます。

腎盂尿管鏡検査

尿道から膀胱を通って尿管、腎盂に内視鏡を挿入し、内部の状態を詳しく調べる検査です。体への負担が大きな検査ですが、がんが疑われる病変があるときは内視鏡で組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べることで確定診断をすることができます。

治療

腎盂尿管がんの基本的な治療法は手術です。手術ではがんがある部位だけでなく、腎臓や尿管につながる膀胱の一部も同時に切除するのが一般的であり、病状に応じて開腹手術、腹腔鏡下手術(ふくくうきょうかしゅじゅつ)、ロボット手術などが選択されます。

一方で、進行して転移がある場合などは手術前に抗がん剤治療をしてがんを小さくしてから手術をしたり、手術後に追加で抗がん剤治療や放射線治療を行ったりすることも少なくありません。

また、腎盂尿管がんは進行すると尿管が閉塞して水腎症の状態になることがあります。そのような場合には、がんの治療をする前に腎臓に管を通して尿を体外へ排出させる“腎ろう手術”が必要になります。

予防

腎盂尿管がんは明確な発症メカニズムが不明な部分もあるため、完全に予防できる方法は現在のところ確立していません。

しかし、喫煙習慣や慢性的な炎症が発症リスクを上げるとの報告もあるため、禁煙尿路結石などの治療を継続して行うことが発症リスクの低減につながります。また、特定の塗料などへの曝露でも発症リスクが高まることが指摘されているため、適切な防護を行うことが大切です。

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