概要
自己免疫性出血病XⅢとは、出血しやすくなる稀な病気です。自己免疫性とは、自分の体を守る仕組みの免疫が誤って自分自身を攻撃してしまう、ということです。止血するために働くタンパク質の一つである凝固因子“XⅢ”(13)が、自分の免疫細胞によって壊され、止血できなくなることがこの病気の本質です。自己免疫性後天性凝固因子欠乏症とも呼ばれます。子供に遺伝することはなく、他の原因となる基礎疾患や薬剤などの非遺伝的(後天的)な要因によって凝固因子が減ります。軽い打撲だけ出血しやすくなるだけでなく、稀に自然出血が起きることがあります。突然出血することがあり、脳や心臓に出血が起きると致命的になることがあります。治療は免疫反応を抑えることにより、凝固因子13が破壊されるのを防ぎ、重篤な出血を防ぐことが主な目的になります。指定難病であり、重症や長期間治療が必要になった場合は、医療費の補助を受けられる可能性があります。都道府県ごとに認定が必要になりますので、詳しくは主治医もしくはかかりつけの病院にご相談ください。
原因
免疫細胞が誤って自分の凝固因子13に付着する自己抗体を作りだすことが原因です。自己抗体が結合した凝固因子13は肝臓や脾臓などで壊されてしまい、うまく働くことができなくなります。自己抗体がどうしてできてしまうのか直接的な原因は明らかになっていません。下記に挙げるような基礎疾患に合併することがあります。
症状
高齢者に多く発症し、全身のいたるところから出血する可能性があります。自覚症状としては、歯茎から出血する、筋肉や皮膚から自然に出血する、関節の中が出血し腫れる、痛みがでる、などがあります。心臓や脳、肝臓、胃や腸など複数の内臓から出血する可能性もあり、それぞれ臓器ごとに異なる症状が出る場合があります。意識が遠のいたり、便に血液が混じったりすることがあります。
検査・診断
血液検査
血液に含まれる免疫細胞を調べます。きちんと止血する機能が保たれているか確認します。凝固因子13に対する自己抗体の有無についても調べます。また、肝臓や心臓に障害が起きていないか調べることも可能です
画像検査
内臓に出血が起きていることが疑われた場合、出血源を特定するために画像検査を行います。レントゲン検査やCT検査が一般的です。関節や骨に近い部分の出血を調べるためにMRI検査が行われることがあります。
治療
治療の目的は出血のコントロールです。症状や重症度に応じて、外来での通院治療か入院治療を決定します。重篤な出血の危険性が高い場合には、入院しながら治療を行います。重篤な出血を合併している場合には、止血のために凝固因子13を輸血します。短期間であれば止血の効果を期待できます。しかし、自己抗体があるため、補充した凝固因子13はすぐに壊されてしまいます。そのため、免疫抑制薬といって自己抗体を抑える内服薬の治療を併用する必要があります。数か月~1年間、症状が完全によくなるまで治療を継続する必要があります。長期間服用するため、様々な副作用が出現することがあります。そのため、定期的に外来通院しながら経過観察を行う必要があります。例えば、感染症にかかりやすく重症化しやすいため、発熱などの症状が出た場合にはすぐに医療機関を受診することが重要です。軽症の場合、外来通院しながら治療を行うこともできます。凝固因子の機能がある程度保たれている場合は、特に治療を行わず外来で定期的に採血を行いながら経過をみることができます、年齢や症状、凝固因子の数値によって治療方法は大きく異なります。
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