症状
褐色細胞腫の典型例では、高血圧や頭痛、動悸、発汗、悪心、発汗過多、顔面蒼白、不安感、便秘、体重減少、胸痛など多彩な症状を示します。このような症状は、交感神経ホルモンであるカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)の作用によるものです。カテコールアミンは副腎髄質や交感神経終末で作られ、交感神経を活性化して、血圧を高くしたり脈拍を早くしたりする作用を持っています。生理的にも血圧や脈拍を調整する重要なホルモンですが、褐色細胞腫はこのホルモンを過剰に作り出してしまうため、高血圧など多彩な症状が引き起こされるのです。
症状の程度はカテコールアミンの分泌量にある程度相関します。無症状の場合もありますが、さまざまな刺激(食事・運動・ある種の薬剤・侵襲的な検査など)によってカテコールアミンが大量に分泌されることもあります。これを褐色細胞腫クリーゼと呼び、血圧の著しい上昇をきたして臓器障害を起こし致命的になる場合もあります。
また、耐糖能異常による糖尿病や、脂質異常症を伴うことが多く、分泌過剰が著明な場合には腸閉塞や心不全、たこつぼ型心筋症、重篤な感染症などを合併することがあります。
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