しょくどうあからしあ

食道アカラシア

最終更新日:
2022年11月28日
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2022/11/28
更新しました
2017/04/25
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概要

食道アカラシアとは、食道の運動機能障害の1つです。蠕動運動(ぜんどううんどう)が失われ、下部食道括約筋(食道と胃のつなぎ目の筋肉)の機能に異常が生じることで食べ物がうまく通過しなくなる病気のことです。30~50歳代で発症するケースが多いとされていますが、どの年齢層でも起こります。

私たちが口にした飲食物は食道を通って胃の中に運ばれます。このとき食道が蠕動運動を行うことで飲食物はスムーズに胃へ運ばれ、これが障害されます。また胃と食道のつなぎ目は下部食道括約筋によって固く閉じられており、胃の内容物が食道へ逆流しないようになっています。飲食物が通るときはそのタイミングに合わせて下部食道括約筋が緩み、飲食物が胃の中に運ばれる仕組みになっています。食道アカラシアは下部食道括約筋が十分に緩まなくなる病気ですが、明確な発症メカニズムは解明されていません。

食道アカラシアを発症すると喉のつかえ感や吐き気・嘔吐、胸痛などの症状がみられるようになります。治療は、従来は下部食道括約筋を緩めるための薬物療法、下部食道括約筋を広げるためにバルーン拡張術や外科手術が行われてきましたが、現在では、経口内視鏡的筋層切開術(POEM)が保険適用されて標準治療となっています。

原因

食道アカラシアは、食道の運動機能障害の1つです。蠕動運動が失われ、胃と食道のつなぎ目にある下部食道括約筋が十分に緩まないことで、飲食物がスムーズに食道から胃へと通過しなくなる病気です。

下部食道括約筋が緩まなくなる原因は不明な点が多々ありますが、下部食道括約筋を緩めたりきつく閉じたりする機能を司る迷走神経に何らかの異常があることが指摘されています。

症状

食道アカラシアでは下部食道括約筋が十分に弛緩しないことで、口から取り込んだ飲食物が食道内に停滞しやすくなります。そのため、発症すると食後の胸のつかえ感や痛みが生じるようになり、重症化すると吐き気や嘔吐を伴うことも少なくありません。治療をせずに長期間放置していると、食道の拡張が生じて最終的には食事を取れなくなるとされています。また、拡張した食道に停滞した飲食物が逆流することで咳が出やすくなったり、誤嚥(ごえん)して肺炎を引き起こしたりすることもあります。

また、食道アカラシアの患者さんでは、食道がんの発症リスクが高まることが分かっており、患者の3~5%は将来的に食道がんになるとの報告もあります。

検査・診断

食道アカラシアが疑われるときは以下のような検査が行われます。

画像検査

バリウムの食道への停滞や食道の拡張の有無を調べるために食道造影検査やCTなどの画像検査を行う必要があります。一方、この画像検査では食道アカラシアと似たような症状を引き起こす食道がんなどの鑑別を行うことも可能です。

上部消化管内視鏡検査

食道の内部を詳しく観察するために行う検査です。食道アカラシアは進行すると、食道の拡張や食道内の飲食物の貯留がみられるようになります。一方で初期段階では異常がみられないことも多く、上部消化管内視鏡検査のみでは発見できないことも少なくありません。

食道内圧測定検査

食道にカテーテルを挿入して食道の中の圧と蠕動運動の様子を調べる検査です。

食道アカラシアでは蠕動運動の異常がみられ、また下部食道括約筋の圧が高くなります。

治療

従来は、薬物療法、バルーン拡張術、さらに外科手術が行われてきましたが、現在では、POEM(経口内視鏡的筋層切開術)が標準治療となっています。すでに保険適用となっており、日本国内で少なくとも3,000例以上の治療がなされ、専門施設で行えば、極めて安全かつ効果的な治療法です。多数の臨床研究報告が国内外からなされており、国際的にも標準治療となりつつあります。

POEMは外科手術と異なり、体表に傷をつけることなく、全身麻酔下で消化管の内側から筋層を切開する内視鏡を用いた手術です。保険診療ではありますが、高度の内視鏡技術と病態の理解が必要なことから、専門施設での治療がすすめられます。

また食道アカラシアの高度進行例であっても、まずはPOEMを行います。結果としてPOEMが無効であれば、最終的に外科的な食道切除・再建術が必要となる場合がありますが、そのようなことは極めてまれで、ほとんどの症例でPOEMが有効です。

予防

食道アカラシアの明確な発症メカニズムは解明されていないため、確立した予防法もないのが現状です。

しかし、食道アカラシアは食道がんに移行するリスクが高いことが分かっています。喉のつかえ感などの症状が続くときは軽く考えずに早めに医療機関(消化器内科)で相談するようにしましょう。

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