原因
食道狭窄には、先天性のものと後天性のものがあります。
先天性
原因として多いのは、胎児の分化段階で食道内に気管の軟骨が入り込んだ気管原基迷入型狭窄です。そのほかには食道の筋肉の一部が肥厚した筋線維性狭窄、食道内に粘膜の膜がある膜様狭窄があります。
後天性
食道の機能に異常があるものや、物理的な狭窄が生じるものなどさまざまな原因があります。
食道アカラシア
食道平滑筋と下部食道括約筋(LES)の運動を支配する迷走神経に異常が生じて、食道が食べ物を通過させるのに必要な蠕動運動とLESの弛緩不全が引き起こされ、食道下部が狭窄する病気です。
食道炎
食道の粘膜に炎症が起きて、びらん(ただれ)や潰瘍を形成する病気です。もっとも多いのは胃酸が食道内に逆流することで粘膜が傷害される逆流性食道炎です。ほかには、カビやウイルス感染によるものや、鎮痛薬などを飲んだ後に正常に胃に入らず食道内に長時間残ったことで生じる薬剤性食道炎などがあります。
食道炎は通常では瘢痕を残さずに治癒することがほとんどです。重症例や未治療の状態が長く続いたときには、粘膜の引きつれなどを生じ、これが食道狭窄になってしまうことがあります。
食道裂孔ヘルニア
横隔膜の食道裂孔ヘルニアに胃の一部が入り込む病気です。LESの機能異常が生じやすく、逆流性食道炎となって食道狭窄を引き起こすことがあります。また食道裂孔部に胃がすっぽりときつく入り込んだ場合には、それ自体が通過障害の原因となります。
食道がん
食道がんは食道粘膜にがんの塊ができるので、食道の内腔が狭くなって食道狭窄となります。特に進行がんで起こりやすく、中部食道に多いといわれています。
また内視鏡治療や放射線治療後にも場合によっては粘膜に瘢痕が残ったり、外科手術後には食道をつなぎ合わせた部分に狭窄が生じたりすることがあります。
他臓器病変の圧排
甲状腺病変やリンパ節腫大などによって食道が外側から圧排されている状態です。
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