原因
骨軟化症の原因は、「FGF23」が過剰に作られることによる低リン血症や、ビタミンDの作用不足、腎臓の尿細管障害やその他の石灰化障害などさまざまです。ここでは、FGF23関連低リン血症を原因とした骨軟化症について解説します。
【FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症(ビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症)の原因と発症メカニズム】骨軟化症のなかには、「FGF23」というホルモンが過剰に作られ、低リン血症をきたすことで起こるFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症(ビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症)があります。リン(P)はミネラル成分のひとつで、骨の成長や石灰化に欠かせないミネラルです。
FGF23関連低リン血症は先天的・後天的な原因によりFGF23が増え、腎臓におけるリンの再吸収障害が起こり、摂り込んだリンが尿中に過剰に排泄されることで起こります。またFGF23は、腸管におけるリン吸収も抑制する作用を持っています。
先天性FGF23関連低リン血症の原因は、遺伝子異常です。原因となる遺伝子異常によりFGF23が過剰に作られることで、血中リン濃度の低下が引き起こされるとされています。先天性FGF23関連低リン血症にはいくつかの病気が含まれますが、最も頻度が多い病型はPHEX遺伝子の異常によるX染色体優性低リン血症性くる病(XLH)とよばれる疾患です。しかし、本疾患においてFGF23がどういったメカニズムで過剰につくられてしまうかについては2018年1月現在、明確にされていません。
後天的なものの代表例としては、Phosphaturic mesenchymal tumor, mixed connective tissue variant(PMTMCT)と呼ばれる腫瘍によりFGF23が過剰に作られる「腫瘍性骨軟化症」が知られています。一部の腫瘍性骨軟化症の原因となる腫瘍では、病気を引き起こす体細胞変異(後天的で一部の組織にかぎられた遺伝子変異)が報告されていますが、すべての腫瘍でFGF23が過剰に産生される原因が解明されているわけではありません。
また、ファンコーニ症候群というFGF23とは関係なく、腎臓でのリン再吸収が直接的に障害される病態もあります。
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