概要
髄膜炎菌性髄膜炎とは、髄膜炎菌と呼ばれる細菌を原因として引き起こされる細菌性髄膜炎のことを指します。集団発生が起こることのある髄膜炎であるため、流行性髄膜炎と呼ばれることもあります。
アフリカを中心として欧州、南北アメリカ、アジアの世界中で流行が見られ、致死率が高いことも知られています。しかし、日本においては1970年以降発症数が減っており、1990年代には一桁台にまで減少しています。
原因
髄膜炎菌性髄膜炎は、髄膜炎菌と呼ばれる細菌を原因として発症します。髄膜炎菌は鼻や咽喉の中に保菌していることがあり、咳や鼻水の中に含まれます。
そのため、菌を保菌した人の分泌物を吸い込むことや、キスなどの行為からも感染が成立します。
なお、人によっては髄膜炎菌を保菌するのみで、必ずしも髄膜炎を発症するとは限りません。ただし、寮生活など集団で密集する環境では菌の蔓延が懸念され、その結果として髄膜炎菌性髄膜炎の集団発生が起こることもあります。
症状
髄膜炎菌性髄膜炎では、病原体が血液中に入り込み、血流にのって中枢神経に侵入し、髄膜などに炎症を起こして発症します。
髄膜炎菌性髄膜炎を発症すると、発熱や全身倦怠感、吐き気や嘔吐、頭痛、出血斑などの症状が現れます。さらに、けいれんや意識レベルの低下、血圧の低下などの重篤な症状が現れることもあり、命に関わることもあります。
検査・診断
髄膜炎菌性髄膜炎では、髄液検査を行うことで糖分やタンパク、白血球などを測定します。また、病原体である髄膜炎菌を特定することも大切であり、顕微鏡による病原体の検索や培養検査、PCR法などの検査も行われます。
なお、髄液とは脳や脊髄の周りを循環する液体であり、腰骨の間から針を刺すことで採取されます。
また、血液検査も行われます。血液を用いた培養検査や臓器障害の程度も同時に確認されます。
治療
髄膜炎菌性髄膜炎では、髄膜炎菌に対して効果を期待できる抗菌薬を用いて治療します。血圧低下やけいれんなどの重篤な状況に陥ることもあるため、補液や昇圧剤の使用、抗けいれん薬の使用などの集学的な治療も検討されます。
また、予防的な観点を取り入れることも重要です。髄膜炎菌感染者との濃厚な接触があった際には、予防として抗菌薬の使用が検討されます。
髄膜炎菌はワクチン接種も可能であるため、日本ではまれですが、流行地に赴く際には、ワクチン接種が大切です。
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