さいきんせいずいまくえん

細菌性髄膜炎

最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

細菌性髄膜炎とは、細菌が原因となって発症する髄膜炎のことを指します。髄膜とは、脳の周りを覆っている膜(軟膜・くも膜・くも膜下腔)のことで、この髄膜のなかにある髄液中に細菌が入り込むことが原因です。内科でみられる病気のなかでは、治療の緊急性が高い病気のひとつといわれています。

原因

原因となる細菌はさまざまですが、年齢によって大きく異なることが知られています。新生児期から生後3か月後ごろまでは、お母さん由来の菌による感染がみられること、免疫が未熟なことが特徴となります。そのため、お母さんが保菌または感染しているB群溶連菌、リステリア菌などが原因となって髄膜炎を発症することがあります。大腸菌などの菌もみられることがあります。

生後3か月以降から就学前までは、乳幼児で気道などにいる細菌が原因となることがあります。なかでも多くみられたのが、肺炎球菌やインフルエンザ菌でした。しかし、現在は、これらの菌はワクチンによって激減しました。

学童以降から若年成人での細菌性髄膜炎はまれになってきて、基礎疾患がある場合が多くみられます。主要な起因菌は、肺炎球菌が挙げられます。それ以外では、寮生活などとの関連性が強い髄膜炎菌、免疫不全ではさまざまな菌が原因となります。50歳以上の中高年では、肺炎球菌のほかに、再びリステリア菌がリスクとなります。

脳外科手術、頭蓋内シャントの留置と関連して髄膜炎が発症することがあります。この場合には、本来無菌状態である髄液中に、皮膚のブドウ球菌が侵入して髄膜炎を発症することがあります。

症状

細菌性髄膜炎の症状は、発熱や頭痛、吐き気や嘔吐です。また、意識状態が悪くなることや、けいれんを起こすこともあります。小さいお子さんの場合はあまり症状がはっきりせず、何となく元気がない、遊ばない、活気がない、食欲がない、といったものです。

細菌性髄膜炎の経過は急激であり、急速な進行から病状が悪化して、命にかかわる病気です。また、急性期(病気が始まり、病状が不安定かつ緊急性を要する期間)の治療が奏功した場合でも、後遺症としててんかん発達障害などが残るケースもあります。

検査・診断

診断には、髄液の採取が必須です。背中から針を刺して髄液を採取し、髄液中のタンパク質や糖分、白血球などを調べます。また、グラム染色と呼ばれる染色法をとり、顕微鏡で原因菌を推定します。さらに、髄液検査の培養検査をおこない、原因となった病原体の詳しい特定や抗菌薬に対しての感受性(細菌に対して効果があるか)の確認もおこないます。

治療

診断がつき次第、できるだけ早く点滴による抗菌薬の投与を開始することが大切です。この際、どのような抗菌薬を使用するかは、年齢や発症時の状況、グラム染色の評価などをもとに選択されます。培養検査で原因菌が確認できれば、よりその原因に合った抗菌薬を使用します。また、一部の起因菌や年齢では、炎症を抑えるために抗菌薬投与前にステロイドを使用することもあります。

細菌性髄膜炎のなかには、ワクチンの接種で予防が可能なものもあります。インフルエンザ菌b型や肺炎球菌など、ワクチン接種で予防することが大切です。

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