おうたいきのうふぜん

黄体機能不全

最終更新日:
2023年01月26日
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2023/01/26
更新しました
2017/04/25
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概要

黄体機能不全とは、“黄体”と呼ばれる組織から分泌される女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の量が低下したり、これらのホルモンに対する子宮内膜の反応が悪くなったりすることで引き起こされる病気です。黄体とは卵巣に存在する卵胞が成長し、成熟卵子を排卵した後に形成する組織です。

黄体から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンは月経周期に合わせて子宮内膜の状態を変化させ、受精卵が着床しやすい状態に変化させるはたらきを持っています。

黄体機能不全の女性では月経周期において子宮内膜を安定させる“黄体期”の短縮がみられ、月経不順や不正出血を引き起こします。

また、子宮内膜が妊娠に適した状態を保てなくなることで、不妊や不育(妊娠しても流産を繰り返すこと)の原因となることがあります。

原因

黄体機能不全とは、黄体から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンの量が不十分なために、妊娠に必要な子宮内膜の変化(分泌期変化)に異常がみられる状態のことです。

エストロゲンとプロゲステロンは月経周期に合わせて子宮内膜の状態を変化させる役割を持っており、月経から排卵期まではエストロゲンによって子宮内膜を厚くし、排卵後はプロゲステロンによって子宮内膜をふかふかした状態にさせ、受精卵が着床しやすい状態にします。

黄体機能不全ではこのような子宮内膜の変化が不安定になるため、不妊や不育を引き起こすことがあります。

たとえば、ホルモンバランスが乱れる原因として多いものには急激なダイエットやストレスがあり、ストレスは脳からのホルモン分泌の経路に影響してエストロゲンやプロゲステロンの分泌を抑制することが分かっています。

また、何らかの病気が原因でこれらのホルモンの分泌不全を招くこともあり、代表的なものには高プロラクチン血症があります。

ホルモン分泌に異常がなくても、プロゲステロンが作用する子宮内膜の異常により、子宮内膜の分泌期変化が正常に起こらないこともあります。

プロゲステロンが作用する子宮内膜の受容体の異常や、子宮の血流不全などが原因になることが分かっています。

症状

黄体機能不全の主な症状は月経不順、不正出血です。

月経周期の後半にあたる黄体期が短縮するため、短い周期で月経が起こることがあります。

不正出血は機能性出血と呼ばれるもので、通常は器質的な異常はありません。

子宮内膜の分泌期変化が正常に起こらないため、不妊や不育の原因となることもあります。

検査・診断

黄体機能不全の診断は、黄体期の血中のプロゲステロン量や基礎体温での高温相の長さなどから行われます。

一般的には、以下の条件を満たすと黄体機能不全と診断されます。

  • 黄体期中期(黄体期7日目以降)の血中プロゲステロン値が10ng/mL未満
  • 基礎体温測定時の高温相が12日未満

ただし、黄体機能不全が起こるかどうかは排卵周期(月経周期)によって異なり、必ずしも毎回繰り返されるわけではありません。

治療

黄体機能不全の治療には、黄体賦活療法と黄体ホルモン補充療法と呼ばれるものがあります。

ただし、有効性は確立されていないため、治療の必要性について医師と相談したうえで行われます。

また、高プロラクチン血症がある場合は高プロラクチン血症の治療を行います。

このほかに、黄体機能不全による不妊治療として排卵誘発法や体外受精などを行うこともあります。

黄体賦活療法

hCG(絨毛性性腺刺激(じゅうもうせいせいせんしげき)ホルモン)の注射を数日から1週間ごとに行います。

黄体ホルモン補充療法

黄体ホルモン(プロゲステロンやジドロゲステロンなど)の注射剤か経口剤を使用します。

ドパミン作動薬療法

高プロラクチン血症に対する治療で、腫瘍(しゅよう)などの明らかな原因がない場合はドパミン作動薬と呼ばれる薬を使用します。

不妊治療

黄体機能不全による不妊に対しては、排卵誘発法と呼ばれる方法が用いられることがあります。

クロミフェンクエン酸塩やヒト絨毛性性腺刺激ホルモンなどの薬を用いて、排卵を誘発して妊娠しやすくします。クロミフェンクエン酸塩は卵胞刺激により、よい状態の黄体を形成し、黄体期を延長させるのに有効です。

このような方法を用いても妊娠が難しい場合は、体外受精(体外で卵子と精子を受精させ、胚まで成長した時点で子宮内に戻す治療)や顕微授精(顕微鏡下で細い針を用いて精子を卵子に直接受精させる治療)を検討することもあります。

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