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QT延長症候群

最終更新日:
2025年01月09日
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2025/01/09
更新しました
2017/04/25
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概要

QT延長症候群とは、心電図波形の“QT時間”が長くなる病気のことです。心臓は筋肉でできており、絶えず収縮と弛緩を繰り返しています。この心筋(心臓の筋肉)の電気的な動きを記録する検査が心電図検査ですが、心電図で心筋が収縮した際に出始める波形を“Q波”、弛緩した際に出始める波形を“T波”と呼びます。この病気では、Q波の開始からT波が終わるまでの時間(QT時間)が長くなり、命に関わる不整脈を引き起こす可能性があることが指摘されています。

QT延長症候群は、心筋の動きを司る部位に生まれつき異常があることが原因で発症する“先天性QT延長症候群”と薬の副作用などによって引き起こされる“二次性QT延長症候群”に分類されます。二次性QT延長症候群の場合は、発症原因となっている薬剤の内服を中断することなどで自然に改善していきますが、原因がはっきり分からない場合や先天性QT延長症候群の場合は、症状によって薬物療法や植え込み型除細動器などによる治療が必要になることがあります。

原因

先天性QT延長症候群と二次性QT延長症候群で、発症の原因は異なります。

先天性QT延長症候群の原因は、心筋の電気的な活動を司るイオンチャネルという部位の生まれつきの異常とされています。現在のところ、先天性QT延長症候群を引き起こす遺伝子変異はいくつか明らかにされており、異常がある遺伝子によって症状の現れ方が異なります。

一方、二次性QT延長症候群は原因がはっきり分からないこともありますが、抗不整脈薬、抗菌薬、向精神薬、抗アレルギー薬などの副作用によって引き起こされることが多いとされています。そのほか、血液中のカリウム・マグネシウムの不足などの電解質異常や脈拍が遅くなることもこの病気の誘因となることが分かっています。

なお、二次性QT延長症候群は何らかの後天的な原因によって引き起こされますが、その原因があるからといって全ての人が発症するわけではありません。元々QT時間が長い傾向の人が発症しやすいとされており、詳しく調べると二次性QT延長症候群の患者の4分の1程度に、先天性QT延長症候群でみられる遺伝子変異が認められることが分かっています。

症状

QT延長症候群は無症状のこともあり、健康診断で見つかる場合もありますが、心筋の一部が異常に速く拍動するトルサードポアンと呼ばれる不整脈を引き起こす可能性があります。トルサードポアンが生じると、心拍数が高くなるために動悸を自覚するほか、心臓が十分な血液を全身に送り出すことができず脳への血流が低下するため突然の失神が生じます。また、中には心室細動や心停止に至って命に関わるケースもあるため注意が必要です。

なお、上述したように先天性QT延長症候群は、変異している遺伝子によってトルサードポアンなどの症状の現れ方が異なるとされています。運動中に起こるケースもあれば、強いストレスを感じるなど交感神経が緊張するタイミングで発症するケースや睡眠中などに発症するケースもあります。

検査・診断

QT延長症候群が疑われる場合は、次のような検査が行われます。

心電図検査

QT時間やそのほかの波形の異常を評価するために心電図検査が必要です。トルサードポアンなどの不整脈が生じていると考えられるときにも必要な検査となります。

また、通常の心電図検査のほかにも24時間心電図の波形を記録するホルター心電図検査などを行うのが一般的です。

血液検査

上述したように、二次性QT延長症候群は電解質異常などによって引き起こされることがあります。そのため、QT延長症候群の原因を調べるために血液検査を行うのが一般的です。

遺伝子検査

先天性QT延長症候群の確定診断には、原因となる遺伝子変異の有無を調べるための遺伝子検査が必要です。大学病院などの遺伝子検査を行うことができる医療機関で診察を受ける必要があります。

治療

QT延長症候群は先天性と二次性に分けられますが、薬の副作用など原因がはっきりしている二次性の場合は、薬の変更などを行って原因を排除すれば解決できます。

一方、先天性や原因がはっきりしない二次性の場合は、症状の現れ方に合わせて治療を行っていく必要があります。心電図上QT時間の延長が軽度で自覚症状がない場合は、特別な治療は必要なく定期的な経過観察が行われます。一方、QT時間が長く、動悸や失神などの症状がある場合は、交感神経のはたらきを抑える薬剤などを用いた薬物療法が行われます。また、薬物療法を行っても十分な治療効果が得られず、命に関わるような不整脈が出る場合は、ペースメーカーや植え込み型除細動器を植え込む手術が必要です。

予防

QT延長症候群の原因は大きく分けると先天性のものと後天性のものの2つのパターンがあります。遺伝子変異によって生じる先天性QT延長症候群は生まれつきの病気であるため予防することは難しいといえます。一方、薬の副作用など後天的な原因によって生じる二次性QT延長症候群の場合、QT延長症候群を起こし得る薬剤を長期間内服するときには定期的に心電図検査を受けるなどの対策も可能です。

また、QT延長症候群は健康診断などで偶然発見されることも多いとされています。健診で心電図の異常を指摘された場合は軽く考えずに精密検査を受けることが大切です。

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