ねんざ

捻挫

最終更新日:
2021年01月29日
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2021/01/29
更新しました
2017/04/25
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概要

捻挫(ねんざ)とは、外力がかかることにより、関節を支えている靱帯(じんたい)関節包(かんせつほう)などの軟部組織、軟骨が損傷することをいいます。損傷の多くは、靱帯のゆるみや一部もしくは完全な断裂であり、X線(レントゲン)検査で写る関節の骨折脱臼は含まれません。

捻挫は、足関節や手関節、肩関節や膝関節(しつかんせつ)など、全身のあらゆる関節部位で起こります。きっかけは、スポーツ活動中の激しいぶつかり合いや走っている最中の急な方向転換、交通事故や転倒、日常生活中に段差を昇り降りしたときなど、さまざまです。

自覚しやすい主な症状は、患部の腫れと痛みの2つです。このほかに、皮下や関節内の出血、熱感などが見られることもあります。膝関節捻挫では、損傷した靱帯の種類により、痛みを自覚しにくいこともあります。しかし、こうした捻挫を放置してしまうと半月板の損傷など、新たな問題が生じる可能性もあります。捻挫をしたときには、すみやかにRICE処置(ライスしょち)と呼ばれる応急処置を行い、医療機関で適切な検査や治療を受けることが大切です。

原因

関節に強い外力が加わり、本来の運動とは異なる非生理的な運動が生じることで起こります。たとえば、足首を内側に大きくひねることなどが、関節の非生理的運動の一例として挙げられます。

足関節を内側にひねることによる捻挫は、足関節内反捻挫とも呼ばれ、スポーツ時や日常生活中など、さまざまな場面で数多く発生しています。足関節内反捻挫の場合は、足関節の外側、外くるぶしの付近にある外側靱帯(がいそくじんたい)のうち前距腓靱帯(ぜんきょひじんたい)が引き伸ばされる、あるいは一部が切れることにより捻挫に至ることが多いとされています。

膝の捻挫の中でもよく見られる内側側副靱帯損傷(ないそくそくふくじんたいそんしょう)は、膝関節の外側から内側に向けて外力がかかることなどを原因として起こります。このような膝関節捻挫は、スポーツ活動中のジャンプ着地や急なターン、相手選手のタックルを受けた際などに起こることがあります。

肩の捻挫の1つで、肩甲骨と鎖骨の間にある肩鎖関節の捻挫もまた、相手選手との接触を伴うコンタクトスポーツ時に起こることがあります。具体的な種目の一例としては、柔道やラグビーなどが挙げられます。このほか、交通事故や転落、転倒時に肩の外側を強打することなども原因となります。

また首の捻挫である頚椎捻挫(けいついねんざ)は、いわゆるむち打ち損傷(正式名称は外傷性頚部症候群)の病態の1つで、交通事故などの際、首の損傷を避けるために筋肉を緊張させる防御反応が起こることが原因となっています。

症状

主症状は、患部の痛みと腫れです。痛みと腫れの程度は、靱帯の損傷が大きいほど強くなる傾向にあります。ただし、膝関節にある靱帯の1つ、前十字靱帯(ぜんじゅうじんたい)は、損傷しても痛みを自覚しにくく、保存療法では治癒が難しいという特徴を持つことから、症状の程度にかかわらず医療機関を受診することが大切です。

このほか、捻挫の重症度や損傷部位などにより、関節のぐらつき(不安定性)や可動域の制限、内出血などが生じることもあります。捻挫による強い痛みや腫れなどの症状は、受傷してから数週間~数か月経つと和らいでいき、その後は運動時の痛みや不安定性が自覚できる主な症状となります。この状態で無理をしてしまうと、ほかの組織の損傷などにつながり、慢性的な痛みや関節の変形(膝の変形性関節症など)などを生じることもあるため、捻挫をした時点で適切な診断と治療を受けることが重要です。

検査・診断

捻挫をしたときの状況や、どのような方向の外力を受けたかといった情報は、正確な診断のための重要な要素となります。問診時には、医師の質問に詳しく答えましょう。また診断時には、患部を押したときの痛み(圧痛)の有無や、関節の緩みの程度を触診や徒手テスト(医師の手による検査で評価すること)などで確認します。

診断はまず、受傷時の状態(関節がどのようになってけがをしたか)を詳細に知ることから始まります。

関節に直接力が加わったものか、ジャンプの着地で捻じったなど間接的な外力によるもの(非接触性のけが)か、けがのとき関節がどのような角度で、どちらの方向に動いたのかなど、受傷時の状態を伝えると診断にとても役立ちます。

その後の診察では、押さえたり関節に力を加えたりしたときの痛みの場所や、(靱帯のけがにより)関節がゆるくなっていないかどうかの評価を行います。またMRIは診断するうえで有用な情報が得られる検査です。これらの情報を総合して判断し、診断が下されます。

治療

応急処置

捻挫の可能性が考えられる場合は、すみやかに「RICE処置」と呼ばれる応急処置を行いましょう。RICE処置を行うことで、腫れや損傷部位の拡大、内出血などを抑えることができます。

  • Rest(安静):運動を中止して安静にし、患部を動かさないようにします。医療用テープや三角巾などを使い、患部を固定します。
  • Ice(冷却):氷を入れたビニール袋などをタオルやハンカチで包み、患部を冷やします。
  • Compression(圧迫):弾性のある包帯やU字パッド(スポンジ)などを使い、しびれや皮膚・爪の変色が生じない程度の強さで患部を圧迫します。
  • Elevation(挙上):クッションなどを使い、患部を心臓より高く上げた状態を維持します。

医療機関での治療

損傷部位や重症度により治療法は変わりますが、基本的には手術を行わない保存療法が選択されます。ギプスや三角巾などで患部を固定し、痛みや腫れがないようであれば、受傷後なるべく早い段階で運動の訓練を始める保存療法が選択されます。

足関節捻挫の中で不安定性が残存する症例や、膝関節内にある前十字靱帯を損傷している場合には、靱帯を再建する手術が検討されることがあります。アスリートの方など、スポーツ復帰を希望する患者さんの場合は、術後数か月から半年かけ、アスレティックリハビリテーションと呼ばれる専門的なリハビリを行います。

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