院長インタビュー

全人的医療で患者さんの幸せと生きがいに貢献する栄光病院

全人的医療で患者さんの幸せと生きがいに貢献する栄光病院
青戸 雄司 先生

社会医療法人 栄光会 理事長

青戸 雄司 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年04月12日です。

福岡県糟屋郡に所在する栄光病院は、全人的医療をモットーに、ホスピスを中心にした医療により、患者さんが幸せな生活を営むためのトータルケアを提供しています。同院内にはチャプレン(病院付き牧師)が在籍していて、結婚式や葬式を挙げることも珍しくありません。理事長の青戸雄司先生は、「患者さんの幸せと生きがいに貢献する全人的、総合的診療を果たしたい」とおっしゃいます。

栄光病院の理念、目標、実際に行われている独自の取り組みについて、青戸先生にお話しいただきました。

栄光病院外観
栄光病院外観

医療とは「人の幸せと生きがいに貢献する行為」であると考えています。キリスト教主義の栄光病院は、この理念を第一に置いて、患者さんの心と体の両方を癒すことに注力しています。

医療の原点とは人間にあり、その根幹は医師と患者さん、人と人との個人的関係であると考えます。また、医療の担い手である医師とは、どれほど医療技術が進歩しても患者さんを「生活を営む存在」として総合的にとらえる存在だと考えます。

栄光病院は設立当初から、病気を診るのではなく人を診る医療、すなわち全人的・総合的医療で患者さんの生活の質(QOL)を向上させることを目標に、今日まで歩んできました。

栄光病院の前身となる亀山病院は、炭鉱付属病院として昭和初期に誕生しました。その後キリスト教主義の病院を作ろうという方針が定められ、1986年に福岡亀山栄光病院を開院し、ホスピス中心の病院として再出発を果たします。

1999年に現名称となり、2019年現在はホスピスを筆頭にプライマリーケアや人生の最終段階における医療(終末期医療)(注)、救急医療、一般診療まで幅広い医療を提供しています。

ホスピスは近年では周知されつつある言葉ですが、開院当時はホスピスのことをご存知の方は多くありませんでした。ホスピスを地域の方々に知っていただこうと当院では1989年からホスピスセミナーを開催し、地道に啓発活動に努めてきました。その結果、ホスピスと当院は、徐々に地域住民の方に受け入れられていったのです。

注:平成27年3月に厚生労働省 検討会において終末期医療から名称変更

栄光病院礼拝堂
栄光病院礼拝堂

キリスト教を信仰する栄光病院には、院内に礼拝堂が置かれていて、チャプレン(院内牧師)が在籍します。礼拝堂では、患者さんのご関係者の結婚式や葬式を実施することもあります。なぜ病院でこうした儀式を執り行うのか、疑問に感じた方もおられるでしょう。一見無関係のように思えますが、実際は密接に関わっています。

結婚式や葬式は、人生の中で非常に重要なライフイベントととらえられています。特に葬式は、その方にとって最後のライフイベントとなります。全人的医療で人の一生を支えることを理念に置く当院は、患者さんが希望をもって、幸せな死を迎えることが大切だと考えています。

当院はターミナルケアを強みとしており、ケアを必要としている地域の患者さんを受け入れています。福岡県の近隣地域病院では診ることが困難な患者さんも受け入れていますし、在宅・病棟内両方で看取りを行っています。

また、冒頭で少し述べましたが、ホスピスの啓発活動も積極的に行っています。具体的には、病棟でのホスピス活動の様子を季刊誌として発行したり、ホスピスセミナーを年3回開催して地域に普及したりといった活動が中心です。セミナーの規模によっては参加人数が400名を越える場合もあります。

栄光病院はホスピスやリハビリテーションが中心の施設ですが、2次救急病院に認定されており、急性期疾患にも対応が可能です。総合病院から診療所に至るまで、地域の各医療機関と連携して、必要に応じて急性期の患者さんの受け入れや紹介を行います。

病病連携

栄光病院には回復期リハビリテーション病棟が設置されています。2019年4月の時点で、病棟内には理学療法士(PT)5名・作業療法士(OT)5名・言語聴覚士(ST)2名を含めて計12名のスタッフが在籍しています。

遠方の大病院で骨折や脳血管障害の治療を受けた方が、回復後、地域に戻って当院でリハビリテーションを受けるケースが比較的多い傾向です。

栄光病院ならではの特徴として、キリスト教にちなんだ行事を、年間を通して行っている点が挙げられます。

クリスマスの時期にはクリスマス会を各部署において開催して患者さんも職員も楽しみます。4月の復活祭(イースター)では、以前はゆで卵(イースターエッグ)を患者さんにプレゼントしておりましたが、現在は、記念品程度に変更しています。

青戸先生

栄光病院では、一般診療から急性期医療、リハビリテーション、ホスピス、終末期医療まで総合的な医療を提供することで、地域の皆さんと共に歩んでいきたいと考えています。

当院ではキリスト教を背景としている病院ですが、もちろん宗教的背景で患者さんを区別することは一切ありません。キリスト教以外の宗教を信仰される方や無宗教の方も受け入れているので、安心してお越しください。

栄光病院の母体である社会医療法人栄光会は、時代の変遷と共に地域の方々の需要にこたえる形で拡大し続けてきました。

栄光病院の関連施設には、退院後の生活が不安な方を支えるための在宅療養診療所である『亀山クリニック』、有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)『かめやま』、社会福祉法人特別養護老人ホーム『こころ』、小児医療の充実を図る『栄光会こどもクリニック』などがあります。これらの施設は、総じて地域住民の方々の声にこたえる形で作られました。地域の求めに応じて展開していこうという精神は、これまでもこれからも変わらないでしょう。

栄光病院は、地域の皆さまが幸せに生活できることを目標に掲げ、地域から必要とされる病院であるために取り組み続けます。

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