院長インタビュー

地域に開けた病院づくりを目指すJR大阪鉄道病院

地域に開けた病院づくりを目指すJR大阪鉄道病院
上田 祐二 先生

西日本旅客鉄道株式会社 大阪鉄道病院 院長

上田 祐二 先生

この記事の最終更新は2018年05月30日です。

創立103年の歴史を誇る西日本旅客鉄道株式会社 大阪鉄道病院(JR大阪鉄道病院)では、時代のニーズを反映した地域医療連携の充実や病院機能の最適化などを進めています。

院長の上田祐二先生に、JR大阪鉄道病院の概要、特徴、研修体制、どのような病院づくりを目指しているのかについて、お話を伺いました。

西日本旅客鉄道株式会社 大阪鉄道病院よりご提供

JR大阪鉄道病院は1915年に神戸市に神戸鉄道病院として開設、1928年に機能移転に伴い大阪鉄道病院に改称しました。現在の阿倍野区に移転したのは翌1929年のことです。開院当初は鉄道現場で働く職員と家族の健康を守るため、主に労働災害診療を中心に実施してきました。その後1982年に一般診療を開始、現在は西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)を母体とする企業立病院として、近隣地域にお住まいのみなさまに医療分野で貢献できるよう尽力しています。

2018年4月現在、医師73名、22診療科で診療にあたっています。[注1]

2017年度では、1日あたり732名の外来患者さんを受け入れました。年度内の手術件数は2,919件です。

[注1]記事中でご紹介する従業員の人数や配置状況は、現在の実態とは異なる可能性があります。ご了承ください。

当院は、2014年に公益財団法人日本医療機能評価機構による認定を受けています。これは質の高い医療を効率よく提供できているかを同機構が第三者の観点から評価したものです。

「私達は人間性を尊重し、謙虚で誠実な医療を提供します」という当院の理念のもと、患者さんやご家族に信頼される医療を提供し続けられるよう、職員一同取り組んでいます。

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限られた医療資源を有効活用するため、全国各地で地域医療連携が進められています。地域医療連携とは、診療所では日常的な体の不調、病院では重症度の高い病気に対して高度な検査や診療をそれぞれ行うといったように、医療機関の規模や設備等に応じて役割分担をして、地域全体で患者さんを診療する仕組みのことです。

JR大阪鉄道病院は、人口80万人を抱える大阪市阿倍野区、東住吉区、平野区の3区を中心とした大阪市南部医療圏における地域医療の中核的存在として、職員一同励んでいます。

当院は、回復期リハビリ病棟、化学療法センター、高精度放射線治療部門など専門性の高い診療とサポートができる設備を有しています。更に、大阪市南部医療圏では緩和ケア病床が極めて不足していたことを受け、2017年11月に急性期病棟1棟を全室個室の緩和ケア病棟に機能転換しました。また、大阪府がん診療拠点病院のみならず、基幹型臨床研修指定病院や大阪府救急告示病院の指定も受けています。

病院機能向上を目的としてイノベーション委員会を組織しています。

「診療の質向上」「地域連携」「活気ある職場づくり」のテーマとそれに伴う13の課題のもと、職員が職種の垣根を越えて自主的に集まり、問題の洗い出しや改善案の提出、問題解消に取り組んでいます。

イノベーション委員会により、職員同士の顔の見える関係づくりとチーム医療のさらなる円滑化、職員のワークライフバランスの向上など、さまざまな成果が出ています。

当院では、大阪市南部医療圏における「多機能型急性期病院」として、地域と時代に求められる病院づくりを目指しています。

地域医療連携には、近隣地域の診療所との連携が欠かせません。JR大阪鉄道病院では、よりスムーズで充実した病診連携の実現に向けて、近隣地区の医師会と協同で連携登録制度を立ち上げて連携を強化したほか、医療機関向け広報誌の発刊、当院主催の各種セミナーなどをつうじて情報発信しています。また今後は、職員の意識改革をさらに進め、二次救急医療にも本格的にも取り組んで行く予定です。

JR大阪鉄道病院のある大阪市南部のがん罹患率は全国平均より高く、がん検診受診率は低い傾向にあります。今後さらなる高齢化が予測されているため、がん診療に対するニーズはより増加かつ多様化すると推察しています。当院は大阪府がん診療拠点病院の指定を2011年4月に受けており、急性期から回復期、緩和医療やエンドオブライフ・ケアなど、患者さん一人ひとりに合わせたトータルながん診療を提供しています。

当院の化学療法センターでは、患者さんに外来通院をしていただき、がんのタイプに合わせた抗がん剤を選択して、科学的根拠に基づいた治療を実施しています。

歳を重ねると、膝や股関節に痛みを感じる、骨粗しょう症などにより骨折しやすくなった、背骨が曲がるなど、筋骨格系の問題を抱えやすくなるため、整形外科やリハビリテーションに対するニーズも増えていくと考えています。

当院の整形外科では、骨粗しょう症や脊椎疾患に対する低侵襲手術、股関節や膝関節に対する人工股関節手術などに力を入れています。術後は当院に併設されている回復期リハビリテーション病棟と連携しながら、社会復帰に向けたリハビリテーションに取り組んでいただける環境が整っています。

血液内科では、血液そのものの病気、血液をつくる骨髄の病気、リンパの病気、血が止まりにくくなる病気などに対する診療を実施しています。

当院の血液内科では、各種ガイドラインと最新の医学根拠に基づき、患者さんに寄り添った診療をするよう心がけています。

消化器内科とは、食道や胃など上部消化管、小腸や大腸など下部消化管、肝臓・胆のう・膵臓の病気を扱う診療科です。消化器疾患は多岐にわたり、治療方法などの選択肢もさまざまなことから、患者さんのQOL[注2]に配慮して体にかかる負担を最低限に抑えた治療を選択、実施しています。

[注2]QOL:Quality Of Life.生活の質

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患者さん一人ひとりの状態に最適な診療を実現するため、医師や看護師だけでなく、薬剤師、検査技師、理学療法士や言語聴覚士などのリハビリ技師、医療ソーシャルワーカーなどのスタッフが手を取り合い、専門性や知識を持ちよるチーム医療を実践しています。

病気に対する疑問や心身の悩みはいつでもご相談ください。

JR大阪鉄道病院は臨床研修指定病院として毎年数名の研修医を受け入れています。当院は急性期型の多機能病院であるため、急性期から回復期まで研修を通じてさまざまな立ち位置からの医療アプローチを身につけることが可能です。

全国各地から研修医が集まっているため、お互いのよい所を認めて高めあう気風にあふれています。これから続く医師人生をより豊かに、そして困難に立ち向かう仲間を得るため、人との出会いを大切にしてください。

心身の悩みを抱える患者さんやご家族を支えるため、看護部では「私たちは、温かいこころで、信頼される看護を提供します」という理念を胸に、日々看護に取り組んでいます。

当院の看護部には、看護師を丁寧に教えて育てる組織風土と教育体制が整っており、何事も自発的に取り組む方をサポートしています。

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JR大阪鉄道病院は地域と時代に求められる医療を提供するため、大きく変化しつつあります。

日本全体で高齢化が進んでいますが、この波は当院のある大阪市にも少しずつ、確実に押し寄せています。「JR大阪鉄道病院があるから安心」と思っていただけるような存在となるべく、職員一同全力で取り組んでまいります。

患者さんを思いやり気遣うように、職員同士にも思いやりが必要です。優しさと思いやりによる人の輪を大切にして、医療をつうじて安心と安全を提供し続けていきましょう。

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  • 西日本旅客鉄道株式会社 大阪鉄道病院 院長

    上田 祐二 先生

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