院長インタビュー

ホスピタリティ・マインドのあふれる病院を目指す―松下記念病院の取り組み

ホスピタリティ・マインドのあふれる病院を目指す―松下記念病院の取り組み
山根 哲郎 先生

パナソニック健康保険組合 松下記念病院

山根 哲郎 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年09月19日です。

パナソニック健康保険組合 松下記念病院は大阪府守口市に位置します。パナソニック株式会社の社員やご家族はもちろん、地域の皆さんの健康を守るために急性期医療の提供に従事しています。同院が地域において担う役割は多岐にわたります。患者さんの心に寄り添った温かな医療を提供するために接遇研修の実施にも力を入れており、実際に心構えが変わったスタッフもいると院長の山根先生はおっしゃいます。同院の特色ある取り組みや医療にかける思いについて、院長である山根 哲郎先生にお話を伺いました。

松下記念病院 外観
松下記念病院 外観

当院は、1940年にパナソニック株式会社の健康保険組合によって設立されました。健康保険組合とは、社員の福利厚生や地域・社会貢献のための非営利団体です。そのため、当院はいわゆる企業病院とは異なります。パナソニックで働く社員とそのご家族の健康を支えると同時に、地域へ開かれた病院として北河内二次医療圏に広く医療提供を行っています。

当院は、「ホスピタリティ・コミュニケーション・チームワーク」の3つを医療提供の理念としています。思いやりの心である「ホスピタリティ」、患者さんとの対話による「コミュニケーション」、そしてスタッフ同士の密な連携を構築する「チームワーク」を大切に、開院以来よりよい医療の提供を目指してきました。

特に、「心からのおもてなし」や「思いやり」という意味をもつ「ホスピタリティ」を基本方針に盛り込むことで、心のこもった医療提供を永く続けていきたいという思いを込めました。これからも、この3つの理念を大切にしながら日々の診療を続けてまいります。

救急医療、がん診療をはじめとした急性期医療から地域包括ケア病棟での慢性期医療まで、患者さんの状態に合わせた医療を提供しています。地域に求められる医療の提供を実現するために、それぞれの診療科がその力を発揮して診療にあたっています。また、入退院支援にも力を入れており、医師、看護師だけでなく栄養士や薬剤師、事務スタッフが連携してスムーズな入退院、そして患者さんの退院後の生活をサポートします。

松下記念病院 外観
病院ロビー

当院は、大阪府からがん診療連携拠点病院の認定を受けています。もともと大阪府は、全国的にがんによる死亡率が高い地域です。なかでも、当院が医療圏とする北河内二次医療圏では、男性はすい臓、女性は大腸、胆嚢、すい臓、乳房、子宮のがんによって命を落とされる方が大阪府の平均よりも多い地域となっています。北河内二次医療圏は7市から構成され、人口約116万人の方々が生活しています(2015年時点)。この広大な北河内二次医療圏で、がん診療をカバーし、地域の皆さんが充実したがん診療を受けられるようにドック検診センターを構え、がん検診から手術、化学療法、放射線治療、緩和ケアまで一貫したがん治療を提供しています。

近年は、総合診療に力を入れてきました。地域の高齢化も進み、複数の病気の治療を進めている患者さんも少なくありません。当院の総合診療科の特徴は、医師たちが率先して総合診療を行っていることです。総合診療科に所属する医師たちは、それぞれの専門分野の診療を行いながら総合診療に従事してくれています。自身の専門分野以外の病気の症状がみられる患者さんをすぐに専門の診療科に診療をお願いするのではなく、1人の主治医として責任を持って診療にあたります。患者さんによりよい医療を提供するだけでなく、ときには専門の医師に相談したり、若手の医師で集まってディスカッションしたりと、自分自身の経験にもつながっていくと思います。

当院では、定期的に接遇研修を実施しています。研修には、職種に関係なく当院に在籍する全てのスタッフが参加しています。

研修の翌日から服装の乱れに気を使ったり、散髪をすませて出勤したりするスタッフもおり、患者さんとの接し方をあらためて考える機会となっていることを実感しています。

またこの研修は、他職種間のスタッフでつくったグループで参加してもらっており、普段は顔を合わせる機会の少ないスタッフ同士の交流の場にもなっています。

病院ロビー

病棟内

接遇研修のひとつとして、日本医療メディエーター協会の講習を定期的に受講しています。医療メディエーターは、医療従事者の伝えたいことと、患者さんがお話しされたいことをくみ取り、中立的な立場から医療従事者と患者さんの橋渡しを担います。実際に医療メディエーターとして患者さんと対話をしたり仲介役を担ったりするのは一部のスタッフですが、講習を受けることで患者さんとの会話のなかで、意識して言葉を選ぶことができると思います。

私が、日本医療メディエーター協会関西支部の支部長を務めていることもあり、当院でも医療メディエーターの講習に力を入れています。

当院は地域の医療機関であるとともに、今後の医療を担う若手医師を育成する教育機関でもあります。初期臨床研修医の定員は4名ですが、少ない人数だからこそ先輩医師からの密度の濃い指導を受けることが可能です(2019年8月時点)。また、診療科ごとの垣根もなく、密接な連携を行っているからこそ、疑問に思ったことや先輩医師の助言をもらいたいときに気軽に相談できます。

臨床研修施設の説明会では、2年目の研修医や当院で研修を経験した医師をブースに配置しています。当院で研修を受けた率直な感想を聞けるため、研修開始後とのギャップが少なくなると思います。そういった取り組みを通して、当院の初期臨床研修医のフルマッチが実現しているのだと思います。

若手医師の皆さんには、「この病院は、長い医師人生のなかのひとつの過程」であることを伝えています。ひとつの場所にこだわらず、さまざまな場所で経験を積んでください。ときには大学病院での医療を経験することや、地方の医療、医師のいない無医村で医療に従事することも必要なことです。そういったさまざまな経験を経て、やはり松下記念病院で医療を提供したいと思ったならいつでも戻ってきてください。

今後、当院は地域の皆さんに医療の知識を深めてもらう取り組みをはじめていきたいと考えています。医療の知識を深めることで、健康管理に対する意識を高めることにつながり、結果として病気の早期発見を可能にすると考えています。皆さんの意識を高めることで、地域の健康を守っていきたいと思っています。

当院は、いついかなる場合も患者さんを受け入れることを心がけてきました。今後もこの姿勢を継続することで、地域の方々に安心感を与えられる病院でありたいと考えています。どんなときにも、よりよい医療提供ができるよう努めてまいります。

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