2018 年から 7年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されている人材紹介会社の株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント。
徹底した禁煙施策をはじめ、運動習慣の定着化や健康的な食生活支援、病気の予防や生活改善まで幅広い施策を展開しています。
具体的な取り組み内容と効果、今後の展望などについて担当者のC%BディビジョンCompensation&Benefitsチームでマネージャーを務める安島礼子さんと同チームの末廣花子さんに話を伺いました。
――2018年から現在に至るまで「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定を取得し続けられていますが、健康経営の取り組みはいつ頃から始められたのですか?
本格的に始めたのは2017年からです。健康保険組合から健康診断や医療費のデータを提供されたとき、社員の生活習慣病リスクの高さが明らかになったことがきっかけでした。経営陣も社員の健康状態の改善の必要性を強く感じ、「健康経営」として本格的に取り組むことになりました。
2017年当初、もっとも注力したのが禁煙施策です。当時「喫煙率23%」と、厚生労働省から発表されている全国平均値よりも高い数値に課題を感じた当社グループ創業者であり取締役最高顧問の田崎忠良が「喫煙率をゼロにしよう」と決断し、2018年4月よりグループ全社員が禁煙を目指すことになったのです。
目標を達成するため、他社の先進事例を参考に効果がありそうな施策を次々と導入し、非喫煙者を採用する方針も掲げました。特に効果的だった施策は、全社員の喫煙状況をヒアリングし、田崎忠良自身が行った喫煙者との個別面談や、禁煙外来の費用補助です。全社をあげて取り組みを徹底した結果、一気に「喫煙率 10%未満」まで大幅削減することができました。こうした積極的な禁煙推進の動きに対し、今では他社から高い関心を寄せていただいています。
――他に取り組まれている独自の施策はありますか?
運動を習慣化させる目的で「ヘルシーチャレンジ」制度を実施しています。これは1週間の運動量に応じてポイントが付与され、3か月間で一定のポイントを取得したり、健康診断の成績がよかったりした場合にインセンティブ(最大4千5百円)がもらえる制度です。大変好評で2024年12月時点で社員の約30%が利用しています。ほかにもスポーツクラブの利用料を補助し、社員の運動機会の拡大を図っています。
また、社員の健康的な食生活をサポートするため、ヘルシーな惣菜や野菜などの一品メニューを購入できるサービスを、福利厚生の一環として取り入れています。
――人材業界は労働時間が長くなりがちな印象がありますが、そこに対してはどんな対策をされていますか?
過重労働を防ぐために残業時間の管理に力を入れています。所定勤務時間を7時間と短めに定めたうえで、残業時間も目安を設け、深夜や休日の労働を原則禁止しています。
当社の業態では、在職中の転職希望者との面談が夜遅い時間に設定されることも多く、退勤時間が20時半を過ぎることは珍しくありません。そのためフレックスタイム制を活用し、出社時間を遅らせるなどの対策を推奨しています。
成果を上げるために時間を気にせず頑張ろうとする社員も多いですが、業務システムやPCを22時から翌朝7時までは使用不可にしたうえで、オフィス自体も22時にロックするなど物理的な制限をかけて時間管理を促しています。
ただ、社員の仕事に対する熱意は尊重しつつ、健康を犠牲にすることのないような、労働時間管理とワークライフバランスの実現に向けては、まだ課題が多いと感じるので引き続き取り組んでいきます。
――今抱えている課題や、強化しようと思われている点はどんなところですか?
当社は平均年齢が比較的若いこともあり、生活習慣病の発症リスクが高いと判断される特定保健指導の対象となる社員は少なく、ボリュームゾーンの社員は健康で仕事に従事していると思います。しかし不健康になり得る生活習慣を持っていて、まだ症状が出ていないだけというケースもあるでしょう。
本来であれば不調になる前に、予防や生活習慣の改善のために医療関係者に気軽に相談できる環境が望ましいのですが、産業医との面談にハードルの高さを感じている社員が多いという点が課題です。そうした層に対し、これまであまり積極的な対策は打てていませんでしたが、今後は保健師の導入を検討するなどして、予防施策を強化していきたいです。
――最後に、今後に向けた意気込みをお願いします。
これまでは健康経営の施策が会社の利益や価値向上にどうつながっているのかを整理しきれていませんでした。今後は効果検証に力を入れ、効率的に結果を出していけるよう、今まで作ってきたものの再編成も行いたいと考えています。
そうして「ホワイト500」の再認定を目指すとともに、取り組みの対外発信も強化していきます。
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