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顎が腫れる:医師が考える原因と対処法|症状辞典

顎が腫れる

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 顎の形がわからない、目が開かないくらいに顔が腫れ、高熱があり息苦しさもある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 痛みがある
  • 口がきちんと開かない、開けるときに違和感がある
  • 強い打撲などきっかけがはっきりしており、強い痛みがある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

横浜市立大学附属市民総合医療センター 歯科・口腔外科・矯正歯科 部長/准教授

廣田 誠 先生【監修】

顎とは上顎と下顎からなり、下顎骨の一部は顎関節を構成し、開閉口運動をします。特に下顎は外力を受けやすい部位であるためさまざまなトラブルを引き起こすことがあります。“顎の腫れ”はよく見られる症状であり、原因は多岐にわたります。

  • 顎関節部が痛み、口を開けることができなくなった
  • 奥歯の痛みがあり、放置していたら顎の腫れが見られるようになった

これらの症状が見られた場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

顎はそしゃくや会話などによって日常的に多くのダメージが加わる部位です。そのため、さまざまなトラブルを引き起こすことがありますが、なかには思わぬ病気によって顎の腫れが生じることもあります。顎の腫れを引き起こす病気には以下のようなものが挙げられます。

顎関節は、側頭骨と下顎骨、周辺の筋肉・靱帯(じんたい)で構成される関節です。開口やそしゃくによって常に関節運動が生じるため、酷使されやすい関節でもあります。この顎関節に痛みを引き起こす主な病気は以下のとおりです。

顎関節症

硬いものを頻繁に食べる、加齢によって顎関節内の関節円板が変性することなどによって顎関節に痛みが生じ、開口やそしゃくに支障をきたす病気です。関節運動に連動して顎関節内で異音が生じるのも特徴の1つであり、関節内の炎症が悪化すると口が開かなくなることがあります。

顎関節症
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智歯周囲炎、歯根嚢胞など

いわゆる“親知らず”といわれる一番奥の臼歯である智歯を原因として生じる痛みや、腫れが悪化することで顎全体が腫れます。智歯は第三大臼歯ですが、歯茎の中に半端に埋まっていることが多く、歯茎に炎症が起こると波及しやすいです。虫歯にもなりやすく、そのまま根の先まで炎症が広がって顎が腫れることもあります。そのほかの歯でも虫歯が歯の根元にまで波及して嚢胞(のうほう)を形成する歯根嚢胞などは、顎の腫れを引き起こしやすいのが特徴です。

智歯周囲炎
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顎から首に至るまでの部位にはさまざまな病気が引き起こされることがあり、ときに腫れが生じるケースもあります。顎から首周辺に腫れを引き起こす主な病気は以下のとおりです。

顎下リンパ節炎

下顎下縁部には多くの顎下リンパ節が存在していますが、ここに細菌やウイルス感染などが生じるとリンパ節が腫れ、痛みや発赤、熱感などを伴うことがあります。コリコリとしたしこりとして触れることが多いですが、炎症が周辺に波及すると下顎全体が腫れることもあります。

顎下腺炎

下顎の内側には唾液を分泌する“顎下腺”が存在しており、顎下腺に細菌やウイルスが感染すると下顎の腫れや痛みを引き起こすことがあります。また、唾液の分泌路である導管が結石などで詰まる“唾石症”も、顎下腺炎の原因となります。重症化すると下顎が大きく腫れ上がることも少なくありません。

顎骨骨膜炎・骨髄炎

虫歯を放置することで、顎骨や顎骨の骨膜・骨髄にまで炎症が波及する病気です。非常に強い痛みが生じて下顎部が腫れ上がり、熱感や発赤を伴うのが特徴です。また口が開かなくなったり、高熱が出たりすることも少なくありません。

骨髄炎
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唾液腺腫瘍

唾液腺腫瘍(だえきせんしゅよう)とは、唾液をつくる役割をもつ“唾液腺”にできる腫瘍のことです。唾液腺には耳下腺・顎下腺・舌下腺からなる“大唾液腺”と、口腔(こうくう)内にある“小唾液腺”があります。このうち顎下腺に腫瘍ができると、下顎に腫れやしこりが見受けられるようになります。また、悪性の腫瘍である場合でも痛みを伴うことは少ないです。唾液腺腫瘍以外にも頭頸部(とうけいぶ)に発生した悪性腫瘍が頸部リンパ節に転移すると首まわりにしこりができます。

唾液腺腫瘍
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顎の腫れは日常的によく見られる症状であるため、軽く考えられがちです。しかし、顎の腫れは思いもしない病気が原因になっているケースも多く、看過できない症状でもあります。腫れが続くような場合には、放置せずに病院を受診しましょう。

特に、顎の腫れや痛みが強く口が開けられないようなとき、発熱などの全身症状を伴うとき、腫れが広範囲にわたっているようなときにはなるべく早めに病院を受診するようにしましょう。

受診に適した診療科は耳鼻咽喉科・歯科口腔外科ですが、明らかに何らかの全身症状がある場合にはかかりつけの内科などで相談するのも1つの方法です。また、受診の際にはいつから顎が腫れているのか、その誘因、随伴する症状、現在罹患している病気などを詳しく医師に説明するようにしましょう。

顎の腫れは日常生活上の好ましくない習慣によって引き起こされることがあります。原因となる主な習慣とそれぞれの対処法は以下のとおりです。

顎関節は関節運動による負荷が大きく、硬いものを頻回にそしゃくすることで炎症が生じ、顎関節症を引き起こすことがあります。

顎関節に優しい飲食とは

そしゃくした際に痛みを感じるようなものや、頻回にそしゃくを繰り返さなければならない硬いものの摂取は、ほどほどに控えましょう。また、顎に違和感や痛みがあるときは関節を休ませるためにも硬いものは控えることが大切です。

口腔内は汚れがたまりやすく、雑菌の繁殖に適した環境であるため不衛生になりやすい部位です。不衛生な状態が続くと、虫歯や歯周病を発症しやすくなって顎の腫れにつながることがあります。

口の中を清潔に保つには

毎食後の丁寧なブラッシングはもちろんのこと、ブラッシングでは取り切れない歯の隙間の汚れなどは歯間ブラシでしっかり除去するようにしましょう。また、セルフケアでは対処できない歯垢は定期的に歯科医院でクリーニングしてもらうことも大切です。

日常生活上の習慣を改善しても、症状がよくならないときや再発を繰り返すときには、思いもよらない病気が原因の可能性も考えられます。軽く考えず、なるべく早めにそれぞれの症状に適した診療科を受診しましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。