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インフルエンザの薬を飲んでも子どもの熱が下がらない理由は? ~対処法や、新型コロナウイルスに感染している可能性とは~

インフルエンザの薬を飲んでも子どもの熱が下がらない理由は? ~対処法や、新型コロナウイルスに感染している可能性とは~
伊藤 友弥 先生

あいち小児保健医療総合センター 救急科 医長

伊藤 友弥 先生

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この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2020年11月12日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。

インフルエンザは、感染すると発熱や体のだるさ、痛み、咳、鼻水などの症状が生じることで知られています。特に子どもがインフルエンザにかかった場合は、肺炎中耳炎を合併したり、熱性けいれん気管支炎を誘発したりすることがあるほか、ときに急激に悪化し急性脳症インフルエンザ脳症)が現れることもあるといわれており、大人と比べて重症化しやすいとされているため注意が必要です。

ただし早期に受診し、薬を服用することで通常は発熱期間が短縮され、次第に回復しますが、なかには薬を服用しても、なかなか熱が下がらない子どももいます。そこで本記事では、インフルエンザに感染している子どもの熱が下がらない理由や、その対処法について解説します。

熱が下がらない理由には、薬を服用するタイミングが遅れたことが考えられます。

インフルエンザでは、38℃以上の発熱が3~7日間程度持続することが一般的で、薬(抗インフルエンザウイルス薬)を服用しなくても7日間程度で自然治癒するといわれています。ただし子どもの場合、大人と比較してインフルエンザの重症化リスクが高いことから、重症化を予防するために抗インフルエンザ薬の早期投与が推奨されています。実際に発症から48時間以内に薬の服用を開始すると、発熱期間が1~2日間程度短縮されることが分かっています。

一方、発症から48時間以内に薬の服用を開始できなかった場合、その後薬を服用しても十分な効果が期待できず、なかなか熱が下がらない可能性があります。したがって、薬を飲んでも子どもの熱が下がらない場合は、発症から48時間以内に薬を飲むことができなかったことにあるといえるでしょう。

インフルエンザと同時に新型コロナウイルスに感染する可能性もゼロではありません。そのため、子どもの熱が下がらない原因には、インフルエンザの可能性に加えて新型コロナウイルス感染症にかかっていることもあるといえます。

特に2020~2021年の冬は、インフルエンザだけでなく新型コロナウイルス感染症の流行も懸念されています。新型コロナウイルス感染症の症状には発熱、体のだるさなど、インフルエンザによく似た症状もあり、自己判断することは困難です。そのため、気になる症状が現れた場合には受診を検討しましょう。

ただし、受診前には受診予定のクリニックや病院のホームページなどをあらかじめ見て、受診の方法(発熱があることを電話で伝える、車などで待機するなど)を確認してから受診しましょう。

発症から48時間以内に薬を服用した場合でも、その後3~4日程度発熱が続くことはありえます。そのため、熱が下がらなくても慌てず、まずは安静に休ませることを意識しましょう。その際は脱水を起こさないよう、小まめに水分補給をさせることも大切です。ただし、水分や食事を取ることができない状態の場合は、点滴が必要になることもあるため、病院の受診も検討しましょう。

インフルエンザで熱が下がらない場合、必要に応じて解熱剤が使用できることもあります。ただし子どもの場合、ライ症候群との関与が推測される“アスピリン”やインフルエンザ脳症の悪化因子として知られる“ジクロフェナクナトリウム”“メフェナム酸”は使用できません。そのため、自己判断で市販薬を使用せずに、医師や薬剤師と相談しながら、指示にしたがって解熱剤を使用するようにしましょう。なお、解熱剤が必要な場合にはアセトアミノフェンの使用が一般的です。

インフルエンザウイルス薬を服用しても発熱が5日以上続き、症状が重くなったり、新たな症状が見られたりする場合には、病院を受診することを考えましょう。また、症状によっては緊急の対応が必要となることがあります。けいれんを起こしたり、ボーッとしていたり、呼んでも反応がないなどの意識障害がある場合は、救急車を要請して急いで受診しましょう。

救急車を呼んだほうがよいと思われる症状

  • 手足をつっぱったり、がくがく震えたりするなどけいれんの症状が見られる
  • 視線が合わない、呼びかけに応じないなど意識障害が見られる
  • 顔色が悪く、唇が紫色をしている

休日や時間外でもすぐに受診をしたほうがよいと思われる症状

  • 意味が分からないことを話す、走り回るなどの異常行動が見られる
  • 呼吸が1分間に60回以上と速く、息苦しそうにしている
  • 肩でゼーゼーと呼吸をしている
  • 水分が取れず、半日以上排尿していない
  • 嘔吐や下痢を繰り返している など

薬を服用しても熱が下がらず3~4日間は発熱が続く場合は、過度に焦らずに子どもの安静を保つように心がけましょう。医師や薬剤師の判断で解熱剤が必要と考えられた場合には、医師の指示にしたがってアセトアミノフェンを服用するようにしましょう。特に2020~2021年の冬は、インフルエンザだけではなく、新型コロナウイルス感染症の流行も懸念されているので、不安や疑問がある場合は医師に相談するようにしましょう。

ただし、抗インフルエンザウイルス薬を使用しても発熱が5日以上続く場合や、徐々に症状が重くなったり、普段見られないような症状が現れたりする場合には合併症が生じている可能性もあるため、速やかに病院の受診を検討しましょう。

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