目次
eGFRは、腎臓が老廃物を濾過する能力(腎機能)を示す指標です。血清クレアチニン値*や年齢、性別から算出され、主に慢性腎臓病(CKD)の診断や進行度の評価に用いられます。eGFRの数値が低いほど、腎機能が低下していると考えられています。
腎臓の内部には“糸球体”と呼ばれる毛細血管の塊が存在し、血液中の老廃物や余分な水分を物理的なフィルターとして濾し出し、尿の原液(原尿)を生成しています。この糸球体が1分間にどれだけの量の血液を濾過できるかを示す指標が、糸球体濾過量(GFR)です。しかし、GFRの実測にはイヌリンという物質を点滴しながら複数回の採血・採尿などを行う大がかりな検査が必要となるため、一般的には推算値であるeGFRが用いられています。
*血清クレアチニン値:筋肉で作られる老廃物(クレアチニン)の血液中の濃度。
eGFRの値は、主に以下のような場面で確認されます。
自覚症状が現れにくい初期の腎機能低下を、早期に発見するためのスクリーニングとして行われることがあります。結果が血清クレアチニン値のみ表示されている場合でも、以下の式からeGFRを算出することが可能です。
高血圧や糖尿病、肥満などがある場合、合併症として腎障害(糖尿病性腎症や腎硬化症など)が生じる可能性が高いため、腎障害の有無や進行度を確認するために定期的な測定が大切です。
慢性腎臓病は、腎機能の低下と腎障害のいずれか、あるいはその両方が3か月を超えて続いた場合に診断されます。そのため、eGFRの値や、尿検査、画像検査などの結果に基づき判断が行われます。
ヨード造影剤を使用する検査(CT検査や血管造影検査など)の前や、がん薬物療法の実施前に腎機能を評価する指標の1つとして調べることがあります。そのほかにも、腎機能が低下している場合は投与が難しい薬や、投与量を調節する必要のある薬などもあるため、薬の種類によっては検査が必要になることもあります。
eGFRには、推算に用いる物質や評価の目的に応じて、いくつかの種類があります。
血清クレアチニン値や血清シスタチンC値は、一般的な血液検査によって測定します。前日の過度な肉の摂取や激しい筋力トレーニングなどは血清クレアチニン値を一時的に上昇させ、数値に影響を及ぼす可能性があります。
採血部位(肘の内側など)をスムーズに露出できるよう、袖口のゆったりした服装や着脱しやすい服装で受診しましょう。
検査は採血のみのため、一般的には数分程度で終了します。針を刺すときにチクッとした鋭い痛みがありますが、通常は一時的なものです。
eGFRの数値は、腎臓の濾過機能がどの程度保たれているかという目安を示しています。一般的には60 mL/分/1.73 m2以上を正常として、それ以下の場合は、腎臓の濾過機能が低下していると考えられています。
日本腎臓学会による慢性腎臓病の重症度は、原因疾患(Cause:C)、腎機能(GFR:G)、タンパク尿もしくはアルブミン尿(A)によるCGA分類で評価します。腎機能の区分はGFRの値に基づいてG1~G5のステージに分類されます。なお通常、GFRはJSN eGFRcrの値が用いられます。
GFR 60 mL/分/1.73 m2未満の状態が3か月を超えて持続すると、慢性腎臓病と診断されます。
健康診断などでeGFR 45 mL/分/1.73 m2未満(40歳未満の場合は60 mL/分/1.73 m2未満)となり、異常が指摘された場合は、腎臓専門医が在籍している医療機関を受診しましょう。ただし、RA系阻害薬やSGLT2阻害薬などが処方されている方ではeGFRが低下することがあるため、まずかかりつけ医に相談することがすすめられます。
医療機関では、尿検査(タンパク尿やアルブミン尿)や追加の血液検査、画像検査なども行われます。eGFRだけでなく、これらの検査で3か月を超えて腎障害が続いていると認められた場合でも、慢性腎臓病と診断されます。
腎機能の低下を抑えるためには、以下のような生活習慣の改善が重要です。また、腎機能が低下している場合、一部の薬は症状を悪化させる可能性があるため注意しましょう。
本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。