いーじーえふあーる

eGFR

正式名称
推算糸球体濾過量
腎臓
血液検査
血液を採取し、その中に含まれる物質などを測定する検査です。
スクリーニング
ある特定の病気について、その可能性があるかどうかを広く知るために行われる検査です。具体的な診断をするためにはさらなる検査を必要とします。また、健康診断などで用いられることもあります。
確定診断
この検査を行うことで、ある特定の病気であるかどうかが明確にわかるものです。他の検査の結果を受けて精密検査として行われる場合もあります。
鑑別診断
この検査だけで病名を確定することはできませんが、異常の有無やどのような病気が考えられるかなどを知ることができるものです。検査結果に応じて、さらに検査が追加される場合があります。
フォローアップ
治療の効果や、病気の経過を知るために行われる検査です。定期的に繰り返して実施されることもあります。
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eGFRは、腎臓が老廃物を濾過(ろか)する能力(腎機能)を示す指標です。血清クレアチニン値*や年齢、性別から算出され、主に慢性腎臓病CKD)の診断や進行度の評価に用いられます。eGFRの数値が低いほど、腎機能が低下していると考えられています。

腎臓の内部には“糸球体”と呼ばれる毛細血管の塊が存在し、血液中の老廃物や余分な水分を物理的なフィルターとして()し出し、尿の原液(原尿)を生成しています。この糸球体が1分間にどれだけの量の血液を濾過できるかを示す指標が、糸球体濾過量(GFR)です。しかし、GFRの実測にはイヌリンという物質を点滴しながら複数回の採血・採尿などを行う大がかりな検査が必要となるため、一般的には推算値であるeGFRが用いられています。

*血清クレアチニン値:筋肉で作られる老廃物(クレアチニン)の血液中の濃度。

eGFRの値は、主に以下のような場面で確認されます。

健康診断・人間ドック

自覚症状が現れにくい初期の腎機能低下を、早期に発見するためのスクリーニングとして行われることがあります。結果が血清クレアチニン値のみ表示されている場合でも、以下の式からeGFRを算出することが可能です。

  • 18歳以上の男性……194×血清クレアチニン値(mg/dL)-1.094×年齢(歳)-0.287 (mL/分/1.73 m2
  • 18歳以上の女性……194×血清クレアチニン値(mg/dL)-1.094×年齢(歳)-0.287×0.739 (mL/分/1.73 m2

慢性疾患の経過観察

高血圧糖尿病、肥満などがある場合、合併症として腎障害(糖尿病性腎症や腎硬化症など)が生じる可能性が高いため、腎障害の有無や進行度を確認するために定期的な測定が大切です。

慢性腎臓病が疑われた場合

慢性腎臓病は、腎機能の低下と腎障害のいずれか、あるいはその両方が3か月を超えて続いた場合に診断されます。そのため、eGFRの値や、尿検査、画像検査などの結果に基づき判断が行われます。

特定の検査や治療の前

ヨード造影剤を使用する検査(CT検査や血管造影検査など)の前や、がん薬物療法の実施前に腎機能を評価する指標の1つとして調べることがあります。そのほかにも、腎機能が低下している場合は投与が難しい薬や、投与量を調節する必要のある薬などもあるため、薬の種類によっては検査が必要になることもあります。

eGFRには、推算に用いる物質や評価の目的に応じて、いくつかの種類があります。

  • JSN eGFRcr……血清クレアチニン値に基づいて算出されたeGFRです。日本の日常診療で最も広く用いられている指標です。
  • JSN eGFRcys……全身の細胞から一定の割合で産生されるタンパク質(シスタチンC)の血液中の濃度に基づいて算出されたeGFRです。筋肉量や食事などの影響を受けにくいため、筋肉量が極端に少ない方や多い方の評価に適しています。
  • 個別化eGFR……標準的な体表面積(1.73m2)で補正せず、個人の実際の体格に合わせて再計算した指標です。腎機能によって薬の投与量を調節する必要があるときに用いられます。

血清クレアチニン値や血清シスタチンC値は、一般的な血液検査によって測定します。前日の過度な肉の摂取や激しい筋力トレーニングなどは血清クレアチニン値を一時的に上昇させ、数値に影響を及ぼす可能性があります。

検査前に心がけるとよいこと

採血部位(肘の内側など)をスムーズに露出できるよう、袖口のゆったりした服装や着脱しやすい服装で受診しましょう。

検査は採血のみのため、一般的には数分程度で終了します。針を刺すときにチクッとした鋭い痛みがありますが、通常は一時的なものです。

eGFRの数値は、腎臓の濾過機能がどの程度保たれているかという目安を示しています。一般的には60 mL/分/1.73 m2以上を正常として、それ以下の場合は、腎臓の濾過機能が低下していると考えられています。

日本腎臓学会による慢性腎臓病の重症度は、原因疾患(Cause:C)、腎機能(GFR:G)、タンパク尿もしくはアルブミン尿(A)によるCGA分類で評価します。腎機能の区分はGFRの値に基づいてG1~G5のステージに分類されます。なお通常、GFRはJSN eGFRcrの値が用いられます。

  • G1(正常、または正常高値)……90 mL/分/1.73 m2以上
  • G2(正常、または軽度低下)……60~89 mL/分/1.73 m2
  • G3a(軽度~中等度低下)……45~59 mL/分/1.73 m2
  • G3b(中等度~高度低下)……30~44 mL/分/1.73 m2
  • G4(高度低下)……15~29 mL/分/1.73 m2
  • G5(高度低下~末期腎不全)……15 mL/分/1.73 m2未満

GFR 60 mL/分/1.73 m2未満の状態が3か月を超えて持続すると、慢性腎臓病と診断されます。

健康診断などでeGFR 45 mL/分/1.73 m2未満(40歳未満の場合は60 mL/分/1.73 m2未満)となり、異常が指摘された場合は、腎臓専門医が在籍している医療機関を受診しましょう。ただし、RA系阻害薬やSGLT2阻害薬などが処方されている方ではeGFRが低下することがあるため、まずかかりつけ医に相談することがすすめられます。

医療機関では、尿検査(タンパク尿やアルブミン尿)や追加の血液検査、画像検査なども行われます。eGFRだけでなく、これらの検査で3か月を超えて腎障害が続いていると認められた場合でも、慢性腎臓病と診断されます。

腎機能の低下を抑えるためには、以下のような生活習慣の改善が重要です。また、腎機能が低下している場合、一部の薬は症状を悪化させる可能性があるため注意しましょう。

  • 食事……エネルギー摂取量の目安は25~35 kcal/kg標準体重/日です。塩分摂取は1日6 g未満に抑えることが推奨されます。慢性腎臓病のステージによっては、タンパク質やカリウムなども制限される場合があります。
  • 血圧管理……医師の指導の下で、適切な血圧管理(目標130/80 mmHg未満など)を継続します。
  • 禁煙と体重管理……喫煙や肥満、脱水は腎機能悪化の危険因子となるため、禁煙や適度な運動・水分摂取を行います。
  • 服薬管理……非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの一部の薬は、腎機能を急激に悪化させるリスクがあります。市販薬を服用する場合は、事前に医師や薬剤師に相談し、自己判断で使用しないようにしましょう。

本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。

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