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インタビュー

精巣腫瘍の治療の完治率や生存率ー精巣がんは治る?

精巣腫瘍の治療の完治率や生存率ー精巣がんは治る?
岸田 健 先生

神奈川県立がんセンター 副院長/泌尿器科 部長

岸田 健 先生

目次
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この記事の最終更新は2015年05月08日です。

15〜35歳の若い男性にできるがんの中では最も多い精巣腫瘍。精巣腫瘍は、治療で治すことのできるがんなのでしょうか?精巣腫瘍の患者さんに向けたメッセージを第一人者である神奈川県立がんセンター泌尿器科部長の岸田健先生から頂きました。

精巣腫瘍は、精巣にできる腫瘍(おでき)です。悪性の腫瘍、いわゆる“がん”であることがほとんどです。
頻度としては10万人に1-2人のめずらしい病気ですが、15-35歳の若い方に多く、この年代の男性にできる悪性腫瘍のなかでは最も多い病気です。

稀に精巣にできるがんと同じ種類のがんが腹部や胸部に発生する事があり、これを性腺外胚細胞腫瘍と呼び、精巣腫瘍に準じて治療します。

精巣腫瘍の完治率は、精巣腫瘍の病状の重さによって変わります。精巣だけにとどまっている場合、適切な治療によりほとんどの方が完治します。
精巣から他の臓器に転移が広がっている場合、病状の重さをIGCC分類というもので3段階に分けます。病状が軽いものから順に、“予後良好”、“予後中程度”、“予後不良”となります。

転移した精巣腫瘍の治療は基本的に抗がん剤で行います。BEP療法という抗がん剤治療を行った場合、“予後良好”の方では95%が、“予後中程度”の方では80%が、“予後不良”の方でも50%の方が治癒することがわかっています。さらに最近の治療法の進歩により”予後不良“の方でも70%程度治癒する事ができるようになってきました。また、腫瘍がどこにも転移せず精巣だけにとどまっている場合は、適切に治療すれば95%以上完治することが可能です。

ちなみに、この場合の“治癒”とは、「がんが一時的に消えてなくなる」という意味ではなく、「完全にがんが治り、寿命を全うできるところまで生きられる」という事を目標としています。

精巣が腫れてがんかもしれない、ということはとても不安なことだと思います。しかし、まずは怖がらずに病院に来てください。そしてもしがんと診断されても絶対に治すんだという気持ちで治療に取り組んでいきましょう。

上に述べたように、50%しか治らないほど進行している場合もあるのですが、我々医師は絶対に治すという心構えで治療を行います。しかし、辛い治療を乗り切るには患者さんの気力、体力、治ろうとする気持ち、が大切です。患者さんも何としても治すんだという気持ちを持って治療に病気に立ち向かってください。

治療の期間は長く辛いかもしれませんが、それを乗り切ったら元の生活に戻ることは十分に可能です。治療のこと、将来のことなど不安なことがあれば何でも相談してください。そして病気をしっかり理解し、受け止め、前向きな気持ちで治療に専念していただくことが精巣腫瘍を克服する上で何よりも大切なことであると我々は考えています。

記事1:精巣腫瘍は治るがん?―精巣腫瘍の完治率、生存率について
記事2:精巣腫瘍の症状―「痛くないから大丈夫」は間違い?
記事3:どういう人が精巣腫瘍になりやすい?―精巣腫瘍の原因
記事4:精巣腫瘍と不妊症―精液保存のすすめ
記事5:精巣腫瘍の検査・診断―早めに検査を受けましょう
記事6:精巣腫瘍の治療・前編ー治療の流れについて
記事7:精巣腫瘍の治療・後編ー治療期間、治療後の通院、再発について
記事8:急性精巣炎とは?—おたふくかぜになったら注意
記事9:急性精巣上体炎とは?
記事10:慢性精巣上体炎とはどんな病気?陰嚢(いんのう)の違和感、にぶい痛みが長く続く

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    岸田 健 先生

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