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編集部記事

精巣腫瘍のステージ(病期)はどのように分けられるの? 日本泌尿器科学会の病期分類を解説

精巣腫瘍のステージ(病期)はどのように分けられるの? 日本泌尿器科学会の病期分類を解説
堀江 重郎 先生

順天堂大学大学院医学研究科 泌尿器外科学 教授

堀江 重郎 先生

目次
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精巣腫瘍(せいそうしゅよう)とは、男性特有の臓器である精巣(睾丸(こうがん))から発生する腫瘍のことです。良性と悪性がありますが、ほとんどが悪性(がん)といわれ、悪性の場合は進行すると転移することもあります。

悪性では進行度に応じたステージ(病期)があり、さまざまな検査を経てステージが決定します。また、精巣腫瘍の組織型にセミノーマと非セミノーマがあり、ステージや組織型によって治療方針が異なります。

精巣腫瘍のステージ分類には、日本泌尿器科学会病期分類、TNM病期分類、IGCCC分類などがあり、それらを用いて進行度合いを判断します。

ここでは日本泌尿器科学会の分類法を紹介します。

日本泌尿器科学会の病気分類では、進行度に応じてステージI~IIIに分類され、ステージIIとIIIにおいては転移の状態に応じてさらに細かく分けられています。簡単にまとめると、転移がないものがステージI、精巣近くのリンパ節にのみ転移しているものがステージII、肺などほかの臓器に遠隔転移しているものがステージIIIとなります。

ステージI

腫瘍が精巣に限局している(転移がない)

ステージII

横隔膜(おうかくまく)以下のリンパ節にのみ転移している

  • ステージIIA:後腹膜転移巣が長径5cm未満
  • ステージIIB:後腹膜転移巣が長径5cm以上

ステージIII

遠隔転移がある

  • ステージIII0:腫瘍マーカーは陽性だが、転移巣を確認できない
  • ステージIIIA:縦隔もしくは鎖骨上リンパ節(横隔膜以上)に転移しているが、その他の遠隔転移はない
  • ステージIIIB:肺に遠隔転移している
  • ステージIIIB1:肺の転移巣が4個以下で、かつ直径2cm未満
  • ステージIIIB2:肺の転移巣が5個以上もしくは直径2cm以上
  • ステージIIIC:肺以外の臓器にも遠隔転移している

精巣腫瘍の主な組織型に精上皮腫、胎児性がん卵黄嚢腫(らんおうのうしゅ)絨毛(じゅうもう)がん、奇形腫があります。このうち、精上皮腫のみで構成されるものを“セミノーマ”、それ以外の単一組織型やセミノーマを含む複合組織型を“非セミノーマ”と呼びます。

セミノーマは全体の約70%を占め、非セミノーマが約30%とされています。非セミノーマはセミノーマよりも再発や転移を起こしやすいため、セミノーマに比べると予後はよくありません。

精巣腫瘍では通常どのような場合でも手術で腫瘍を摘出しますが、その後の治療についてはステージや組織型によって異なります。主な治療法として、経過観察、放射線治療、後腹膜リンパ節郭清術、化学療法(抗がん剤治療)があります。

ステージI

セミノーマのステージIでは、再発してもカルボプラチン単剤による化学療法でほぼ100%治癒可能なため、多くは経過観察が選択されます。

セミノーマは非セミノーマよりも放射線治療の効果が高いことから、再発や転移を予防する目的で放射線治療や化学療法が行われることもあります。経過観察での再発率は15~20%程度ですが、これらの予防治療を行うことで再発率を5%以下に抑えることができます。

ステージII以上

ステージIIAに対しては、リンパ節の転移巣を治療する目的で放射線治療が行われる場合があります。ステージIIB以上では化学療法が一般的で、ブレオマイシン、エトポシド、シスプラチンの併用療法(BEP療法)や、エトポシドとシスプラチンの併用療法(EP療法)などが行われます。

ステージI

非セミノーマのステージIでは、経過観察、後腹膜リンパ節郭清、化学療法のいずれか、または併用して治療を行います。後腹膜リンパ節郭清とは、手術によって後腹膜リンパ節(お腹にあるリンパ節)を摘出する治療法です。非セミノーマは放射線治療による効果が低いために、予防的に後腹膜リンパ節郭清や化学療法が行われる場合があります。

ステージII以上

ステージIIAでは後腹膜リンパ節郭清または化学療法、ステージIIB以上では化学療法による治療が一般的です。化学療法はセミノーマの場合と同様、BEP療法やEP療法などが行われます。

精巣腫瘍はステージIであれば一般的に術後経過観察のみですが、放射線治療や化学療法、後腹膜リンパ節郭清といった補助治療によって再発や転移の可能性を抑えることができます。しかし、これらの補助治療には副作用や合併症などのデメリットもあります。

ステージや組織型に応じた治療法が選択されますが、患者さんの希望も考慮して決定するため、治療については担当医とよく話し合い、自分に合った治療を選ぶことが大切です。

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