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インタビュー

精巣腫瘍と不妊症ー精液保存のすすめ

精巣腫瘍と不妊症ー精液保存のすすめ
岸田 健 先生

神奈川県立がんセンター 泌尿器科部長

岸田 健 先生

15〜35歳の若い男性にできるがんの中では最も多い精巣腫瘍。精巣といえばお子さんを作るために欠かせない精子を作る臓器です。今回は精巣腫瘍と不妊症の関係について、神奈川県立がんセンター泌尿器科部長の岸田健先生にうかがいました。

精巣腫瘍は、精巣にできる腫瘍(おでき)です。悪性の腫瘍、いわゆる“がん”であることが多いです。
精巣腫瘍は頻度としては10万人に1〜2人のめずらしい病気ですが、15〜35歳の若い方に多く、この年代の男性にできる悪性腫瘍のなかでは最も多い病気です。

精巣腫瘍の方は一般の方よりも不妊症の率が高いと言われています。

これは、精巣腫瘍の治療により、2個ある精巣のうち片方を摘出し、1個になってしまったからという理由ではありません。精巣の精子を作る能力が正常であれば、精巣が1個になったとしても、精子を作る能力や男性ホルモンを作る能力は維持することができます。

しかし、精巣腫瘍の方は、もともと精子を作る能力が落ちていることが一般の方より多いようです。しかし、半数以上の方は一つの精巣でも十分な精子形成能力を持っていますので、心配ならばまず精液検査をすると良いでしょう。

また、もともと精子を作る能力が正常な方でも、精巣腫瘍の転移に対する抗がん剤治療により、精子を作る能力が低下します。

このため、将来的にお子さんを作る希望がある方は、抗がん剤治療を行う前に、精液保存をすることをお勧めします。精液保存をしておけば病気が治って子供がほしいと思った時に、抗がん剤により精子が作れなくなってしまったとしても、抗がん剤治療前に保存していた精子を使って、人工授精を行うことができるのです。

ただし、抗がん剤治療前の精液保存のときに精液を調べると、精子が十分ある方もいれば、精子が少ない方もいます。これは抗がん剤治療の影響ではなく、もともと精子を作る能力が落ちている場合があるということであり、精巣がんと関わりなく、不妊症であったという診断になります。

精子が十分ある方で、抗がん剤治療前に精液保存をして、人工授精でお子さんに恵まれた方は実際にいます。精巣腫瘍だからといってお子さんに悪い影響が出ることはありません。不妊治療も急速に進歩しているので、精液保存をしておけば、将来使えるチャンスは広がるのではないかと思います。

抗がん剤治療後に腹部に残ったリンパ節を摘出する手術を行うことがあります。この手術に際して、射精に関係する神経を犠牲にしなければならないことがよくあります。すると手術後に、勃起は可能ですが逆行性射精になってしまう状況が生じます。逆行性射精は、精液が外へ出ず、膀胱の方に流入してしまう現象です。当然、通常の形での妊娠はできなくなりますが、膀胱の尿から精液(精子)を回収して人工授精をすることが可能です。

記事1:精巣腫瘍は治るがん?―精巣腫瘍の完治率、生存率について
記事2:精巣腫瘍の症状―「痛くないから大丈夫」は間違い?
記事3:どういう人が精巣腫瘍になりやすい?―精巣腫瘍の原因
記事4:精巣腫瘍不妊症―精液保存のすすめ
記事5:精巣腫瘍の検査・診断―早めに検査を受けましょう
記事6:精巣腫瘍の治療・前編ー治療の流れについて
記事7:精巣腫瘍の治療・後編ー治療期間、治療後の通院、再発について
記事8:急性精巣炎とは?—おたふくかぜになったら注意
記事9:急性精巣上体炎とは?
記事10:慢性精巣上体炎とはどんな病気?陰嚢(いんのう)の違和感、にぶい痛みが長く続く

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  • 神奈川県立がんセンター 泌尿器科 部長

    岸田 健 先生

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