インタビュー

慢性精巣上体炎とはどんな病気?陰嚢(いんのう)の違和感、にぶい痛みが長く続く

慢性精巣上体炎とはどんな病気?陰嚢(いんのう)の違和感、にぶい痛みが長く続く
岸田 健 先生

神奈川県立がんセンター 副院長/泌尿器科 部長

岸田 健 先生

この記事の最終更新は2015年05月14日です。

陰嚢内の違和感やにぶい痛みが長い期間続く、慢性精巣上体炎。いったいどのような病気なのでしょうか?その原因、症状、検査、治療について詳しく見ていきましょう。

慢性精巣上体炎は、陰嚢(いんのう:たまのふくろ)内のにぶい痛み、違和感が長い期間続く病気です。

  • 急性精巣上体炎が長引く場合(大腸菌やクラミジアなどが原因)
  • 特殊な菌による炎症が長引く場合(結核菌などが原因)
  • 原因がよくわからない場合

があります。

参考記事:急性精巣上体炎とは?

急性精巣上体炎の治療が十分に行われないと、細菌が精巣上体のなかにこもり、慢性的な炎症を引き起こします。(急性精巣上体炎は、大腸菌などが原因となって起こります。)

結核菌が感染した肺から、尿に感染が移動することで、引き起こされます。

精巣上体のにぶい痛み、違和感が長い期間続きます。熱、急激なはれ、激しい痛みなどはありません。

以下のような検査を行います。

  • 尿検査:尿中の白血球や細菌を調べます。
  • 尿検査で細菌が検出されない場合は、結核菌による炎症を疑い、尿中の結核菌を調べる検査を行います。

以下のような治療を行います。

  • 尿検査で菌が見つかれば、その菌に対する抗生物質を使います。
  • 結核菌による炎症の場合は、抗結核薬という薬による治療を行います。イソニアジド、リファンピシンにストレプトマイシン硫酸塩もしくはエサンブトール塩酸塩を組み合わせた治療です。
  • 菌が見つからず原因が分からない場合には、痛み止めなどで症状を和らげるような治療を行いつつ、様子をみていきます。

色々な治療を行ってもよくならない場合は、精巣上体または精巣そのものを摘出することもあります。

慢性精巣上体炎が、命に関わることはほとんどありません。よって、危険な病気ではありませんが、なかなか治りにくい病気です。放置していると、徐々に悪化することもありますので、きちんと泌尿器科を受診するようにしましょう。

また、慢性精巣上体炎は精子の通り道の炎症であるため、後遺症として精子が通りづらくなることがあり、左右両側に炎症を起こすと男性不妊の原因となります。

記事1:精巣腫瘍は治るがん?―精巣腫瘍の完治率、生存率について
記事2:精巣腫瘍の症状―「痛くないから大丈夫」は間違い?
記事3:どういう人が精巣腫瘍になりやすい?―精巣腫瘍の原因
記事4:精巣腫瘍と不妊症―精液保存のすすめ
記事5:精巣腫瘍の検査・診断―早めに検査を受けましょう
記事6:精巣腫瘍の治療・前編ー治療の流れについて
記事7:精巣腫瘍の治療・後編ー治療期間、治療後の通院、再発について
記事8:急性精巣炎とは?—おたふくかぜになったら注意
記事9:急性精巣上体炎とは?
記事10:慢性精巣上体炎とはどんな病気?陰嚢(いんのう)の違和感、にぶい痛みが長く続く

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